インターネット上の販売サイトでは、「〇〇配合サプリ 売上№1」「顧客満足度 第1位」といったナンバーワン表示があふれかえっています。しかし、不適切な表示が多く、取り締まり事案が急増中です。ナンバーワン表示の問題点について解説します。
客観的な手法による調査結果と思わせているが…
ナンバーワン表示とは、「お客様満足度 第1位」「〇〇サプリメント 市場シェア№1」「販売数 業界1位」といったもの。このほかにも、「国内トップの〇〇」「売上日本一」といった表現もあります。
健康食品の販売サイトでも、そうした表示を見かけます。「№1」「1位」の文字を強調した派手な図柄を施しているケースが多いです。その下側に小さな文字で、リサーチ会社の名称や調査実施期間などを記載していることもあります。
そうしたナンバーワン表示を見た方は、リサーチ専門会社が客観的な手法によって適正に調査した結果、第1位だったと思うことでしょう。しかし、そこには“落とし穴”が待ち受けているのです。
利用経験を確認せず、販売サイトの印象を聞くだけ
健康食品の事例を見ると、2023年12月に機能性表示食品のサプリメントのナンバーワン表示が、景品表示法に違反するとして行政処分を受けました。
ダイエットサプリメントで「30~60代女性が選ぶ」「一番継続しやすい」「一番効果が期待できそう」などの6項目について、10商品のなかで自社の商品が第1位になったと宣伝していました。つまり、6冠達成ということですね。
ところが、消費者庁の調べによると、調査手法が不適切であることが判明。調査対象者が商品を実際に利用したことがあるかどうかを確認せずに、質問していたということです。利用経験の有無も不明な状況下、「一番継続しやすい」などの順位を決めていたわけです。
2023年6月には、ペット用サプリメントの販売会社が不適正なナンバーワン表示を行い、景品法事法違反で行政処分を受けています。この事案では、「愛犬のアイケアサプリ 口コミ人気」など7項目で第1位を獲得したと表示していました。
しかし、実際に行った調査は、ライバル会社のウエブサイトの印象を問うという内容で、客観的な調査手法でないと判断されました。
2024年に入り、ナンバーワン表示の取り締まりは加速しています。2月下旬から3月にかけて、約10件もの行政処分が行われました。
代理店が小細工して第1位に改ざん

景品表示法違反の事例に共通しているのは、客観的な調査手法によってナンバーワンであることが証明されていなかったこと。そのほとんどが、各企業のウエブサイトを見せて、感想を聞くという「イメージ調査」と呼ばれる手法でした。しかも、調査対象とした消費者に対し、実際に商品を利用した経験があるかどうかさえも確認していませんでした。
さらに、悪質なケースも見られます。健康食品ではなく、エステサービスのナンバーワン表示では、次のような操作を行っていました。
広告主が№1広告を申し込んだ代理店とその提携先のマーケティングコンサル会社は、広告主の要望に沿うアンケートを組み立てました。代理店はリサーチ会社へ調査を依頼し、リサーチ会社は調査結果(第2位だった)を代理店へ報告したのですが、代理店とマーケティングコンサル会社は第1位となるように細工し、広告主に第1位の結果を納品したという流れです。
事業者が注意すべき点とは?
違法なナンバーワン表示が横行していることを受けて、消費者庁は2024年3月からナンバーワン表示に関する実態把握調査に乗り出しました。24年秋に調査結果を取りまとめ、事業者がナンバーワン表示を行う際に注意すべきポイントを示す予定です。
実態把握調査は、(1)広告主や事業者団体へのヒアリング、(2)消費者意識調査、(3)サンプル調査という内容。「顧客満足度」などでありがちな印象を聞く手法によるナンバーワン表示にフォーカスして、調査する方針です。
国の「No.1表示に関する実態調査報告書」や「比較広告に関する景品表示法上の考え方(比較広告ガイドライン)」によると、違法とならないためには、(1)ナンバーワン表示の内容が客観的な調査に基づいていること、(2)調査結果を正確・適正に引用していること――という2つの要件を満たす必要があります。
これに加えて、広告にナンバーワン表示を掲載する場合、具体的な調査条件や出典をわかりやすく記載しなければなりません。
ナンバーワンありきの依頼
ナンバーワン表示を広告でうたう事業者の多くは、“ナンバーワンありき”を前提に調査を依頼することが多いといわれています。このため、依頼を受けた代理店やリサーチ会社では、何とかして第1位とするために工夫する傾向にあります。
例えば、大手ショッピングモールで「〇月〇日の販売個数 第1位」や、市場規模の小さい成分を対象とした「〇〇配合サプリ 売上№1」など、対象範囲を可能な限り絞り込んでいるケースもあります。これらは事実であったとしても、消費者を惑わせる恐れがあります。
「第1位」「№1」の宣伝文句に警戒を!

インターネット広告には法律に抵触する表示をはじめ、違法とは言えなくても私たちを誤認させる表示があふれかえっています。
今回のナンバーワン表示もその1つです。あなたが商品を探す際に、「第1位」「№1」という宣伝文句を見かけたら、警戒するように心がけてくださいね。






