これからママになる方が食事や栄養で注意すべき点とは?

これからママになる方にとって、どのような食品をしっかりと摂るべきか、また摂り過ぎに注意すべきかを知ることはとても重要です。内閣府食品安全委員会や厚生労働省の見解を参考にしながら、ポイントを押さえましょう。

しっかりと摂取すべき栄養成分は「葉酸」

葉酸はビタミンBの1種。海藻や緑黄色野菜などに豊富に含まれています。野菜では、菜花・グリーンアスパラガス・ハクサイ・春菊などがあります。

妊娠を予定している女性にとっての葉酸の重要性は国内外で知られています。受胎前後にしっかりと摂取することで、赤ちゃんの神経管閉鎖障害の予防に役立ちます。

厚生労働省では、妊娠1カ月前から妊娠初期まで、通常の食事からの推奨量(1日あたり240µg)に加え、サプリメントや葉酸を強化した加工食品によって1日あたり400µgの摂取を推奨しています。

ビタミンAや大豆イソフラボンの過剰摂取にご注意!

ビタミンAを妊娠初期に過剰摂取すると、胎児の奇形を発症する恐れがあります。

妊娠期間中には、貧血を防ごうとして、鉄分が豊富なレバーを食べる方もいますが、鶏や豚のレバーにはビタミンAが多く含まれています。できるだけ、鶏や豚のレバーを避けるようにしましょう。

一方、トマトやニンジンなどに含まれるβカロテン、クリプトキサンチンといったカロテノイドは体内でビタミンAに変換されますが、食品安全委員会では、カロテノイドによるビタミンAの過剰症の心配はないと説明しています。

大豆イソフラボンも摂り過ぎは禁物です。大豆イソフラボンは、納豆や豆腐といった大豆製品に豊富に含まれ、女性ホルモンに似た作用を持ちます。

食品安全委員会では、妊婦や胎児については十分な試験データがあるとは言えず、将来的にどのような健康への影響が生じるのかが判断できないと指摘。このため、日常の食事に上乗せして、大豆イソフラボンを摂取することは推奨できないとしています。

カフェインの過剰摂取は胎児に有害

コーヒーや栄養ドリンクに含まれるカフェインは、多量に摂取すると健康を害します。最近ではエナジードリンクが流行っていますが、商品によっては大量のカフェインを含んでいます。

カフェインを過剰摂取すると、一時的に、めまい、心拍数の増加、消化器系の不調などを生じます。長期的な作用としては、高血圧のリスク拡大があります。特に妊娠中の過剰摂取は、胎児の発育に影響する可能性が指摘されています。

妊娠中は、カフェインの摂り過ぎに注意しなければなりません。世界保健機関(WHO)では、妊婦の健康に悪影響がない1日あたり摂取量を最大300mgと設定。欧州食品安全機関では200mgとしています。

妊娠中にアルコールは口にしないこと

妊娠中には、そもそも口にすべきでない食品・飲料もあります。その代表的なものに、アルコールが挙げられます。

妊娠中にアルコールを飲むと、赤ちゃんの低体重をはじめ、中枢神経の障害(学習・記憶・コミュニケーションの障害など)を伴う先天異常を起こす場合があります。飲酒による赤ちゃんの障害は、妊娠期間中のどのタイミングでも生じる可能性があると言われています。

このため、妊娠が分かってから授乳が終わるまでの間は、アルコールは避けてくださいね。

生ハムやナチュラルチーズ、加熱が不十分な肉なども避けること

生ハムやナチュラルチーズ、スモークサーモンなども避けるのが賢明です。これらの食品は、食中毒菌「リステリア」による食中毒を起こす可能性があるためです。

妊娠中にリステリアに感染すると、早産や流産の原因になります。さらに、胎児に影響が出ることも報告されています。

また、加熱が不十分な肉も避けてください。寄生虫の「トキソプラズマ」は、加熱が不十分な豚肉などに含まれることがあるためです。

妊娠中に初めてトキソプラズマに感染すると、流産や死産の原因となります。それに加えて、胎児が先天性トキソプラズマ症になることもあります。

食品添加物ってどうなの? 気になる方はオーガニックをチョイス

妊娠中に、食品添加物や残留農薬を心配する方も少なくありません。「赤ちゃんの健康に影響しないかしら?」と心配になるからです。

ただ、食品添加物と残留農薬については、生涯にわたって毎日食べても健康に悪影響を及ぼさないと考えられる「許容1日摂取量(ADI)」が設定され、食品ごとの食品添加物の規格基準や作物ごとの農薬の残留基準も定められています。

厚生労働省の調査によると、食品添加物も残留農薬も食事からの摂取量はADIのほぼ1%未満。安全性の面では、神経質になる必要はないと言えるでしょう。

とは言え、「やはり食品添加物や農薬は避けたい」と思う方も多いです。安全性で問題がなくても、「自然に近い食品を取り入れたい」「余計なものはできるだけ口にしたくない」というニーズは根強く、商品を選択する際の指標の1つとなっています。

そうした方には、オーガニックの食品がオススメです。妊娠中も、オーガニックの加工食品や飲料、デザートなどを活用して、あなたが納得できる食生活を楽しんでくださいね。

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フリーライター。食品、サプリメント、医薬品、医療、通販などの分野を中心に取材・執筆活動。玉石混交の情報が氾濫する中で、正しい情報の発信を目指します。千葉ロッテマリーンズを応援。仕事で疲れた時は、MISIAさんの歌が一番の癒し。