話題の「短鎖脂肪酸」「酪酸」とは?

健康志向が高まるなか、菌活ブームが到来。善玉菌にはビフィズス菌、乳酸菌、納豆菌など多種類がありますが、最近では「酪酸菌」が話題となっています。酪酸菌は、短鎖脂肪酸の1つの「酪酸」と深く関係する菌です。短鎖脂肪酸や酪酸菌についてお話します。

脂質と脂肪酸

まず、短鎖脂肪酸のお話の前に、脂肪酸について押さえておきましょう。

脂質は、炭水化物、たんぱく質と並んで「三大栄養素」の1つです。脂質と聞くと、油っぽい食べ物や、お腹周りのぜい肉を思い浮かべ、体に悪いというイメージを持つ方も多いことでしょう。当然、摂り過ぎると肥満の原因となります。

しかし、脂質は、日常活動を続けるためのエネルギー源になるほか、私たちの体の細胞膜やホルモンを構成する材料となります。また、ビタミンAやビタミンDといった脂溶ビタミンの吸収を促進する作用もあります。

脂肪酸は、脂質に含まれる栄養素。脂肪酸を化学記号で見ると、炭素(C)・水素(H)・酸素(O)で構成され、炭素原子が鎖状につながっていて、その端にカルボキシル基(-COOH)が付いています。

私たちが日ごろの食事から摂取する脂質は、その大半が「トリアシルグリセロール」です。体内でエネルギー源などに使われる脂肪酸は、体内でトリアシルグリセロールとして蓄えられます。

長鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸、短鎖脂肪酸

脂肪酸は、構成する炭素(C)の数や、そのつながり方によって性質が異なり、多くの種類があります。つながっている炭素の長さによって、「長鎖脂肪酸」「中鎖脂肪酸」「短鎖脂肪酸」に分けることができます。

魚油に含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)は炭素(C)の数が22個、イコサペンタエン酸(EPA)は20個で、長鎖脂肪酸に該当します。オリーブオイルやキャノーラ油に含まれる脂肪酸も、その多くが長鎖脂肪酸です。

炭素(C)の数が10個前後の中鎖脂肪酸としては、カプリン酸、ラウリン酸、カプリル酸などがあります。中鎖脂肪酸を多く含むものに、ココナッツオイルやパーム核油をはじめ、バターやチーズといった乳製品があります。中鎖脂肪酸を中心とする油脂が、MCTオイルです。

話題の短鎖脂肪酸とは?

最近、注目が集まっているのが短鎖脂肪酸です。短鎖脂肪酸は、構成する炭素(C)の数が少数(6個以下)のものです。

短鎖脂肪酸は、大腸内に存在する腸内細菌がオリゴ糖や食物繊維をエサとしてつくり出す物質の総称。具体的には、酢酸、酪酸、プロピオン酸などがあります。食事で摂取したオリゴ糖や食物繊維が大腸まで届き、これを腸内細菌が発酵させることで、短鎖脂肪酸の酢酸や酪酸などが生成されるわけですね。

生成された酢酸や酪酸は体内に吸収され、健康効果に関するさまざまな働きを発揮します。

酪酸菌の働きと酪酸

短鎖脂肪酸の酢酸は、酢の酸味成分です。酢独特の刺激臭の元ですね。古くから酢は食用として利用され、体に良いものと伝えられてきました。これは経験から生まれた話ですが、近年の研究によって、さまざまな健康効果があることが確認されています。

酪酸も短鎖脂肪酸の1つです。酪酸は、腸管の働きを正常に保つ上で、でさまざまな重要な役割を果たしています。

この酪酸を産生するのが酪酸菌です。では、酪酸菌とは何でしょうか?腸内フローラは1,000種類以上の腸内細菌によって形成されています。腸内細菌は健康に役立つ善玉菌、健康に悪影響を与える悪玉菌、その中間にある日和見菌に分けることができます。

大腸にはビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が存在しますが、酪酸菌も腸内に存在する善玉菌の1つです。しかも、腸内で酪酸をつくり出せるのは酪酸菌だけと言われています。

酪酸菌が注目される背景

酪酸菌が注目を集めるようになった背景の1つに、近年の菌活ブームがあります。健康志向が高まるなか、ビフィズス菌や乳酸菌をはじめとした善玉菌が注目されるようになりました。

あなたも「プロバイオティクス」や「プレバイオティクス」という言葉を耳にしたことがあると思います。プロバイオティクスは、健康維持に有効な微生物のことで、ビフィズス菌や乳酸菌が代表選手です。プレバイオティクスは、腸内の善玉菌のエサとなる消化しにくいオリゴ糖や食物繊維などを指します。

そうした菌活ブームが本格化するなかで、酪酸菌に関する研究が進展し、話題に上るようになりました。研究成果は、機能性表示食品にも活用されています。酪酸菌を継続的に摂取することにより、善玉菌(酪酸菌)、短鎖脂肪酸(酪酸・酢酸)が増加するというメカニズムに着目したものです。

酪酸菌を多く含む食品はほとんどありません。このため、水溶性食物繊維など、酪酸菌が好む成分を補給するとよいと言われています。

摂り過ぎは禁物

菌活がブームとなっていますが、どのような食品・成分も、たくさん摂取すればよいというわけではありません。あなたの健康を守るためには、栄養バランスの取れた食事を心掛けることが基本となります。

それにプラスして、水溶性食物繊維などを意識的に摂取するようにしましょう。

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フリーライター。食品、サプリメント、医薬品、医療、通販などの分野を中心に取材・執筆活動。玉石混交の情報が氾濫する中で、正しい情報の発信を目指します。千葉ロッテマリーンズを応援。仕事で疲れた時は、MISIAさんの歌が一番の癒し。