蜂がつくり出す栄養満点の成分
蜂はローヤルゼリーやプロポリスなど、健康に役立つ成分をつくり出します。自然界が生み出す蜂由来の成分は謎も多く、国内外の研究機関が解明に向けて取り組んでいます。自然の恵である蜂由来の成分について解説します。
ローヤルゼリーとは?
蜂がつくり出す成分の1つにローヤルゼリーがあります。ローヤルゼリーは「女王蜂」のエサ。そのほかの働き蜂はハチミツなどを食べて育ちます。
ローヤルゼリーは、働き蜂の咽頭腺やあご腺でつくられる分泌物。構成成分は60~70%が水分、12~15%がタンパク質、10~16%が糖分、3~6%が脂質。ビタミン類やミネラル類、アミノ酸なども含みます。
健康に役立つ成分として、「10-ヒドロキシデセン酸」が知られています。これはローヤルゼリー全体の1.7~2.3%を占めています。
プロポリスとは?
蜂がつくり出す成分で、多くの健康食品やサプリメントに使用されているのがプロポリス。
プロポリスは、蜂が樹木から採取した樹液や色素などに蜂の分泌液を混合させたもの。蜂は巣の“建築資材”として、巣の外壁や隙間にプロポリスを使用します。
プロポリスにはフラボノイド類、フェノール酸類、エステル類、各種のアミノ酸、ビタミン類、ミネラル類など数百種類にも上る成分が含まれています。このため、どの成分が健康に役立っているのかを特定しにくいという課題もあります。
主な産地はブラジル。このほか、アルゼンチンやイギリスなども知られています。産地によって、蜂が樹液を採取する植物も異なり、プロポリスの成分構成も違ってきます。日本で流通しているサプリメントの原材料は、ブラジル産プロポリスが主流です。
ハチミツや蜂の子も
蜂がつくり出す食品で、多くの方が真っ先に思い浮かぶのがハチミツでしょう。ハチミツは、働き蜂が花の蜜を集めて巣に貯蔵・熟成させたもの。蜂のエサとなります。
ハチミツは北海道や長野県をはじめ、秋田県、熊本県、青森県などが産地として有名。輸入品は中国産が大半を占め、そのほかアルゼンチン産、カナダ産などが流通しています。
主成分は果糖とブドウ糖で、全体の80%程度を占めます。このほか、ショ糖やマルトースなどを含みます。風味や含有成分は、蜜の起源となる花の種類によって異なります。マヌカの花から蜜を採取した「マヌカハニー」など、機能性が高いものもあります。
蜂の子も健康食品・サプリメントに使用されます。これは文字どおり、蜂の幼虫やさなぎであり、いわゆる「昆虫食」の1つ。
蜂の子はタンパク質を豊富に含有。ビタミン・ミネラル類なども含み、栄養面で優れた素材です。
どれだけ安全?安全性と機能性について
ローヤルゼリーの安全性は確認されています。ただし、アトピー性皮膚炎や喘息などの方は控えてくださいね。アレルギー反応を生じさせる可能性があります。
ローヤルゼリーの機能性については、多数の研究が進められています。そうした研究成果を基に、特定保健表食品(トクホ)としてローヤルゼリーペプチドを関与成分とした商品が許可されています。また、機能性表示食品でもローヤルゼリー由来ペプチド、10-ヒドロキシデセン酸を配合したサプリメントが登場しています。
前述したとおり、ローヤルゼリーは女王蜂のエサであり、とても神秘的な面があります。しかし、実際にローヤルゼリーを利用する場合、自然界の神秘的な話を鵜呑みにすることは避けるべきです。
かつては「女王蜂のための食べ物」であることを強調し、イメージだけを伝えた健康食品の宣伝が多かったと言えます。こうした宣伝は、健康食品の信頼性を損なうことにつながります。あくまでも科学的に行われた研究の結果に基づいて、利用するかどうかを判断しましょう。
プロポリスも安全性が確認されています。機能性については国内外で多くの研究が進展中。その結果、プロポリスにはさまざまな健康への働きが報告されています。
ハチミツを赤ちゃんに与えないように!
ハチミツは、1歳未満の赤ちゃんには与えないように注意してくださいね。赤ちゃんが食べると、乳児ボツリヌス症にかかることがあるためです。
ネットで情報が集められる時代ですが、初めてのママになる方は知らない場合もあるでしょう。健康への効果だけに気を取られず、安全性を十分に確認するようにしましょう。
今また脚光を浴びている蜂からの恵み
国内の健康食品市場で、ローヤルゼリーはもっとも歴史の長いものの1つ。健康食品市場が形づくられる過程で、大きな存在感を示してきました。その後、さまざまな成分・素材が登場し、その地位は低下。しかし、近年の研究の進展によって再び脚光を浴びつつあります。
プロポリスはサプリメント市場で一定の地位を確立。この背景には、科学的な研究が進んできたことがあります。成分の特定が困難という課題もありますが、今後の研究による解明が期待されます。
ハチミツはかつて健康食品の代名詞でした。しかし、現在はどちらかと言うと、一般食品の位置づけに近づきつつあると言えます。
また、蜂の子については、世界的にタンパク源としての「昆虫食」が注目されていることから、今後スポットが当たる可能性があります。一方、健康食品・サプリメントとして普及するためには、さらなる科学的な研究の蓄積が必要と考えられます。
商品選択はイメージではなく、科学的根拠を拠り所に
ここまで解説してきたように、蜂由来の成分にもさまざまなものがあります。商品選択でポイントとなるのは、広告でうたう「イメージ」ではなく、科学的な研究によって確認された成分、安全性、機能性です。
ローヤルゼリーやプロポリスなどのそれぞれの特性を理解し、健康の維持・増進のために上手に利用してみましょう。