危ない添加物「リン塩酸」がなぜ危険か?私たちが理解するべき食品添加物とその解決策

食べるものや肌につけるものは安全なものがいい、と常日頃からオーガニックや天然性のものにこだわる人の多くは、食品添加物について情報のアンテナを張り巡らせているかもしれません。よく週刊誌などで「危ない添加物」として、リン塩酸が取り上げられていますが、なぜそこまで危険視されているのか気になる人も多いはずですよね。そこで本記事では、リン塩酸がどのような悪影響を与えるのか説明します。

ミネラルの1つであるリンが添加物化されたのが「リン塩酸」

そもそもリンは人間に必要なミネラルの一種です。リンの大半はカルシムと結合して歯や骨の材料になり、残りは全身の細胞に存在して糖質の代謝を促すなどの働きをもっています。

有機リンと無機リンとに分けられ、リン酸塩は無機リンとして食品添加物に含まれています。両者の大きな違いは吸収率にあり、有機リンは体内で10~40%吸収されるのに対し、無機リンはおよそ90%吸収されます。

ミネラルであるリンが吸収されるのはいいことなのでは?と思われるかもしれませんが、実はリンの過剰摂取が近年、問題視されているのです。

リンの過剰摂取は骨粗しょう症の原因に

リンは食品のなかに比較的多く含まれる栄養素であり、サプリメントなどで意識して摂取する必要はないと言われているほどです。むしろ、現代の食生活において過剰摂取が心配されています。

リンはカルシウムとタッグを組んで効果を発揮するため、カルシウムとの摂取バランスが非常に重要になります。カルシウムが圧倒的に少なくてリンが過多になってしまうと、血液中のリン濃度が上昇します。すると、濃度を下げるために骨から血液中にカルシウムが送られ、骨が弱くなったり、血管壁にカルシウムが溜まってしまったりすることがあります。

カルシウムが不足するとマグネシウムとのバランスも崩れて正常に働くなることもあります。カルシウムはマグネシウムと結合して、丈夫な骨を作ったり、筋肉や肝臓などの働きをサポートしたりするので、バランスをとらなければなりません。

骨粗しょう症の原因にもなると言われているリンの過剰摂取ですが、どれくらいの摂取量が望ましいのか知りたいところですよね。食品にどれくらい含まれているのかも理解しておくと、あなたがリンの過剰摂取をしているかどうか判断できるのであわせてチェックしておきましょう。

リンの摂取量。理想と現実は?

以下の表は厚生労働省が定める、リンの適切な摂取量です。

引用:日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要

では、私たちが普段よく食べる食品にどれくらいリンが含まれているか見てみましょう。

食品名 リンの量(食品100gあたり)
イワシ(丸干し) 570mg
大豆(乾) 580mg
いくら 530mg
たらこ 390mg
ワカサギ 350mg
豚レバー 340mg
ロースハム 306mg(90gあたり)
プロセスチーズ 183mg(25gあたり)
ヨーグルト 100mg
牛乳 96mg

肉や魚、加工食品などに多く含まれていることがわかります。食の欧米化が進み、肉食を好む人々の増加や、おいしさや便利さに魅力を感じて気軽に加工食品を食べる人がいることを考えると、現代の日本人はリンの過剰摂取を懸念されてもおかしくはありません。

リンを抑え、私たちはどんな栄養素をとるべきか

リン塩酸をはじめとする食品添加物は、私たちの体内の栄養のバランスを崩してしまいます。では、現代人が不足しがちな栄養素とはいったい何でしょうか。失われがちな栄養素とその役割、どんな食品で補うことができるかを説明します。

・主要ミネラルである「マグネシウム」

前述でカルシウムと結合して体内で働くと説明したマグネシウムですが、最低でも1日100mgは摂取したいところです。マグネシウムはストレスを緩和させる働きもあり、ストレス社会で生きる私たちの生活には欠かせない栄養素です。ストレスを強く感じるほどマグネシウムの消費量も激増しますので、意識的に摂取する必要があります。

また、リン濃度を抑えるために血液中に流れたカルシウムが、血管壁に沈着して動脈硬化になるのを防ぐのもマグネシウムの働きです。

マグネシウムが多く含まれる食品は、アサリ、ほうれん草、バナナ、アーモンドなどです。

・水に溶けやすく、コンスタントに摂りたい「ビタミンB群」

ビタミンは、3大栄養素をはじめ他の栄養素の吸収や代謝を促進して健康的な体を築いていくための大事な栄養素です。ビタミンは脂溶性と水溶性とに分けられており、ビタミンB群は水溶性に分類されます。

ビタミンB群は8つの栄養素から構成されており、体の機能を向上させたり、美しい肌を維持したりする働きをもっています。

なぜ意識的に摂取しなければならないのかというと、ビタミンB群は水に溶けやすいので、摂取しても2~3時間で排出されてしまう栄養素なのです。排出の頻度が高いため吸収される量が少なくなってしまうので、毎食必ずビタミンB群を摂っていきたいところです。

食べるべき食品は玄米、納豆、アボカド、ブロッコリーなどです。

忙しい現代人にこそ、豊富な栄養素が補給できるオーガニック食品を

食品添加物が使われる食品が多く市場に出回り、おいしさや利便さを感じながらも体内では適切な栄養バランスが崩壊していることが、現代人の健康問題の1つです。

末永く健やかな体づくりをするためにも、食品がどんなものから構成されているかを理解しておく必要があります。できるだけ食品添加物を使用せず、必要な栄養素がたっぷり詰まったオーガニック食品は、みなさんの健康をサポートしてくれることでしょう。

ABOUTこの記事をかいた人

本田あや/1987年生まれ。東京で保育士として勤務していたが、結婚を機に夫の海外勤務に帯同。フリーランスでWebメディアでの執筆や編集業務をこなす2児の母。出産後に胆石が見つかり、胆のう摘出の手術を受けて食事の大切さを痛感。食育アドバイザーや薬膳インストラクターなどの食に関する資格を取得し、心と体にやさしい食事づくりを日々心がける。薬事法管理者の資格取得を目指しており、人々を健やかにする商品や広告の制作に貢献したく邁進中。