毎年、スーパー店頭にさまざまな夏野菜がお目見えしますが、近年話題となっているのがモロヘイヤです。栄養価の高さから多くのメディアで紹介され、産地も全国に広がっています。モロヘイヤに含まれる栄養成分や上手な選び方を紹介します。
クレオパトラも愛用したモロヘイヤ
モロヘイヤはアオイ科の一年草。茹でて食べると、ネバネバした食感を楽しめます。みそ汁に入れたり、納豆や冷奴に添えたりと、いろいろな用途があります。
モロヘイヤはアフリカ北部が原産地。あのクレオパトラも愛用したとか。古代エジプトの王がモロヘイヤのスープを飲んで健康になったことにちなんで、「王の野菜」と呼ばれるようになったと伝えられています。
日本では1980年代から栽培されるようになりました。モロヘイヤの人気上昇につれて、今では全国各地で栽培されています。特に、群馬県や沖縄県などが有力な産地です。
β-カロテンの含有量はトップクラス
モロヘイヤは、栄養価の高い野菜として知られるようになりました。特筆すべきは、β-カロテンが豊富なこと。生鮮のモロヘイヤ100gあたりに、1万㎍(マイクログラム)ほど含有されています。
β-カロテンは緑黄色野菜などの色素成分の一つ。ビタミンAの前駆体で、摂取後に体内でビタミンAに変換されます。モロヘイヤのβ-カロテン含有量は野菜のなかでトップクラスを誇り、緑黄色野菜の代表格の一つに挙げられます。
ビタミン類はこのほか、ビタミンB2(0.42mg)やナイアシン(1.1mg)といったビタミンB群、ビタミンK(640㎍)などが含まれています。
カリウムやカルシウム、たんぱく質、食物繊維も
ミネラル類もリッチです。生鮮のモロヘイヤ100gあたりに、カリウム530mg、カルシウム260mg、鉄1mg、リン110mgなどが含まれています。
さらに、たんぱく質を100gあたりに4.8g含みます。食物繊維も5.9g含有し、そのうち不溶性食物繊維が4.6g、水溶性食物繊維が1.3gの内訳となっています。
家庭菜園では「老化した枝葉」と「種子」にご注意!

モロヘイヤを家庭菜園で育てて、料理に用いる場合には注意が必要です。モロヘイヤの「老化した枝葉」「種子」は絶対に食べないでください。
というのも、老化した枝葉や種子には、強心配糖体「ストロファンチジン」が含まれているからです。この成分には強心作用があり、老化した枝葉や種子を間違って食べてしまうと、めまいや嘔吐などの健康被害が発生します。
ただし、スーパー店頭やネット通販などで販売されている生鮮のモロヘイヤ、加工食品、サプリメント・茶などにはストロファンチジンが含まれていませんので、安心して利用できます。
スーパー店頭でのモロヘイヤの選び方
家族の健康を考えて、家庭料理にモロヘイヤを使用する方が増えています。1年のうち、スーパー店頭で最もモロヘイヤを見かけるのは旬の夏場です。ハウス栽培も行われていますので、夏場以外でも入手できます。
生鮮のモロヘイヤは、ほかの野菜と同様にできるだけ新鮮なものを選びましょう。選び方のポイントは主に次の3点です。
・葉が深い緑色をしていて、葉の先などに張りのあるものを選びましょう。それとは逆に、葉が変色していたり、張りがなかったりするものは鮮度が落ちている証拠です。
・茎の切り口にも注目してくださいね。切り口が乾燥していたり、黒ずんでいたりするものは新鮮でないため、避けるようにしましょう。
・茎が太いものも避けるのが無難です。茹でても十分に柔らかくならず、食べにくいからです。茎は太すぎず、しなやかな感じのするものを選ぶようにします。
モロヘイヤの粉末食品やサプリメントも人気

モロヘイヤを原料に使用した加工食品も人気です。冷凍のカット野菜をはじめ、インスタントみそ汁、モロヘイヤを練り込んだ麺類などが売られています。
インターネット通販では、モロヘイヤの粉末食品が売れ筋となっています。パウダー状で使い勝手が良く、さまざまな料理に振りかけるだけで、栄養価のアップが図れます。色をつける目的で、スムージーや菓子づくりに利用することもできます。
さらに、モロヘイヤのサプリメントも登場しています。手軽に、いつでもどこでも、モロヘイヤに含まれる栄養成分を摂取できます。オーガニックにこだわる方に向けて、有機栽培によるモロヘイヤのサプリメントも販売されています。
食事に取り入れて健康をサポート

日本でも夏野菜として、すっかりお馴染みとなったモロヘイヤ。今回紹介したように、栄養価の高さは折り紙付きです。ビタミン類やミネラル類を豊富に含むモロヘイヤを食事に取り入れて、あなたや家族の健康維持に役立ててくださいね。
手っ取り早く摂取したい方には、モロヘイヤの粉末食品やサプリメントが味方になってくれます。適切な摂取量を守って活用し、厳しい夏場を乗り切りましょう!