最近、「フェムテック」や「フェムケア」という言葉を耳にしませんか？これは、女性の健康に関する課題を解決する商品・サービスを意味する言葉。日本国内のフェムテック、フェムケア市場の動向について解説します。
女性特有の健康の課題を解決する商品・サービス
フェムテック（Femtech）は「Female（女性）」と「Technology（技術）」を組み合わせた造語で、フェムケア（Femcare）は「Female（女性）」と「care（ケア）」を組み合わせた造語です。2013年ごろから、ヨーロッパで広がり始めたといわれています。
フェムテック、フェムケアは、女性が社会や職場で活躍を続けるために、女性特有の健康に関する課題を解決することが重要という考え方に立ち、悩みを解決してくれる商品・サービスを意味します。テクノロジーを活用する場合をフェムテック、そうでない場合をフェムケアと呼びます。
フェムテック、フェムケアが注目される背景
フェムテック、フェムケアの商品・サービスが広がってきた背景のひとつに、社会背景があります。企業や公共機関では女性の活躍を期待したいのですが、人によっては女性特有の事情や健康上の問題から仕事を続けられないケースもあります。
例えば、妊娠・出産・育児によって仕事を続けられないことも。生理を起因とする体調不良によって長期休暇を取ったり、不妊治療に集中するために退職したりする方もいます。更年期になると、女性ホルモンの影響によって体調を崩してしまう女性も少なくありません。
日本全体で見ると、労働力不足が大きな社会問題となっています。このため、女性が長く働き続けられる環境を整備することが、各企業で重要な課題に浮上しているわけです。
こうしたことを背景に、女性の健康に関する課題の解決が社会的な関心を集め、妊娠・産後、生理、更年期といった各ステージの悩みをサポートする商品・サービスが求められるようになっています。
2021年の国内市場規模は643億円、予想される市場の拡大
フェムテック、フェムケア関連の商品・サービスの市場動向を見てみましょう。民間調査会社の矢野経済研究所が発表した調査結果によると、2021年の関連市場は約643億円で、前年から7.7％伸びています。
2020年は前年比4％程度の伸びだったことから、市場拡大の勢いが増していて、22年もその勢いが続いているとみられています。
これまでは、「吸水ショーツ」「月経カップ」「オンラインピル」などが主な商品でしたが、新規参入企業が増え、さまざまな商品・サービスが登場して市場の裾野が広がりつつあります。
さらに、21年後半から22年にかけて、法人向けのサービスが拡大。今後はオンライン健康相談サービス、妊活サポート、低用量ピル服薬支援プログラムなどが、福利厚生サービスとして法人に導入される可能性も大きいと指摘しています。
漢方薬やサプリメントにも注目集まる
国内市場を見ると、多数の企業から、さまざまな商品・サービスが提供されるようになっています。
主な商品を見ると、前述の吸水ショーツや月経カップをはじめ、優しい肌触りの布ナプキン、忙しい時でも迅速に測れる体温計、妊娠時の化粧品、尿漏れケアアイテム、冷え対策インナー、ホルモン検査キットなどが発売されています。
体の内側からケアする商品としては、漢方薬やサプリメント（機能性表示食品が中心）をはじめ、女性の健康に役立つ成分・食品が注目されています。
サービスでは、妊活コンシェルジュサービス、不妊治療クリニック検索サイト、子宮内フローラチェックキット、オンラインピル配送サービスなどがあります。
経済産業省がサポート事業に乗り出す
フェムテック、フェムケア市場はこれまで民間主導で広がってきたのですが、ここに来て政府も本格的に向き合うようになりました。
経済活動の発展を維持する観点から、経済産業省では女性の就業継続を支援する方針を決定し、「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」などを展開しています。
この補助金を使った実証事業として、生理用品の計量管理による生理周期の把握、アプリを使用した就業中の女性の疲労やストレスの緩和、妊活と仕事を両立させるためのサポートといった取り組みが行われています。
企業にとって労働力不足が深刻な問題となるなか、女性が働き続ける環境の整備は喫緊のテーマ。フェムテック、フェムケアに対する期待は大きく、今後は官民連携による取り組みがいっそう活発化すると予想されています。
関連商品の活用で悩みを軽減
フェムテック、フェムケア市場の拡充は働く女性にとって朗報。手軽に利用できて、悩みを軽減してくれる商品・サービスが増えることで、従来よりも働きやすい環境が整ってくると期待されています。
食品業界でも、妊娠を計画している女性に向けた葉酸を含む食品の開発や、中高年の女性の悩みに応えるサプリメントの開発などが進んでいます。 あなたの悩みに適応した商品・サービスがあれば、ぜひ活用してみてくださいね。
