あなたは一汁三菜？それとも一汁一菜？

「一汁三菜」がよいのか、それとも「一汁一菜」がよいのか、という論争が話題となっています。どちらも和食の基本的なスタイルですが、それぞれメリットもあれば、デメリットもあります。一汁三菜と一汁一菜について考えてみましょう。

1例を挙げると、「ご飯、味噌汁、焼き魚、野菜、煮物」といった組み合わせが典型的なメニューとなります。
一汁三菜は、和食の基本的なスタイルとして定着してきました。夕食の献立を考えながら、自然と一汁三菜を念頭に置いて、買い物をする方も多いのではないでしょうか。

粗食とも呼ばれる「一汁一菜」

一汁一菜は、一汁三菜よりも古くから伝わってきた和食の形式です。最近では著名な料理研究家が提唱したことで、静かなブームを呼んでいます。

一汁一菜は、ご飯と汁物におかず1品を加えた簡素なメニュー。現在のように豊かな食生活ではなかった時代、一汁一菜は当たり前でした。いわば“元祖”和食の基本形式といったところです。一汁一菜を粗食と呼ぶこともあります。

一汁三菜のメリットと落とし穴とは？

一汁三菜の最大のメリットは、栄養のバランスを取りやすい点。ご飯と汁物に加え、おかずが3品もあり、日常の活動の源となるエネルギー、体を作るたんぱく質、体調を整えるビタミン・ミネラルをしっかり摂取することが容易です。
一般的に一汁三菜の場合、エネルギーや各種の栄養成分が不足することはないと考えられています。また、魚料理や肉料理といったメインディッシュをはじめ、野菜料理や煮物などが食卓に並ぶと、食事がいっそう楽しくなります。多種類の料理を食べることで、満足感や満腹感も得られやすいですね。
一方、一汁三菜にはデメリットもあります。おかずが3品もあるため、主菜でも副菜でも、揚げ物や炒め物などの脂っぽい料理が重なることがあります。そうなると、脂肪分の摂り過ぎにつながり、体重オーバーの原因となります。

さらに、和食は味噌汁が定番の上、しょうゆや塩で味付けをする料理が多いため、塩分を摂り過ぎる傾向があります。もともと日本人の塩分摂取量は多く、生活習慣病の原因となることから注意が必要です。
一汁三菜については、各種の栄養成分を十分に摂取しやすい半面、脂肪分や塩分を過剰摂取しがちになるという落とし穴もあるわけです。
このほか、おかずが多いことから、毎日の献立に頭を悩ませることもデメリットの一つ。料理にかける時間も長くなり、負担が大きくなります。

前述したように、脂肪分や塩分の摂り過ぎを防ぐために、献立に配慮しなければならないことも面倒かもしれませんね。

一汁一菜のメリットは？デメリットは？

一汁三菜の短所・長所を反転させると、一汁一菜のメリットとデメリットが浮かび上がります。
つまり一汁一菜の場合、汁物1品とおかず1品しかないため、カロリーオーバーや塩分の摂り過ぎが起こりにくいと言えます。
特に、太り気味の方やダイエット中の方には適しています。おかずが少ないことから、「今日の夕食の献立をどうしよう？」という悩みも軽減されます。
料理にかける時間も短くなり、負担が減ることも一汁一菜の大きなメリットです。ただし、一汁一菜にもデメリットがあります。粗食のため、脂肪分や塩分の摂り過ぎを避けやすくなりますが、反対に、健康を守る上で必要な量のたんぱく質やビタミン・ミネラル、食物繊維などを十分に摂取できるのか、という心配が出てきます。
栄養バランスを考えると、汁物を豚汁にしたり、汁物に旬の野菜やキノコ、海藻をふんだんに使用したりするなど、たんぱく質やビタミン・ミネラルなどをしっかり補給できるようにする工夫が必要です。

ライフスタイルや都合に合わせて選択してみましょう！

ここまで見てきたように、一汁三菜と一汁一菜についてはそれぞれメリットとデメリットがあり、どちらがよいとは簡単に言えません。
重要なのは、あなたや家族の健康を守るために必要な各種の栄養成分を十分に確保できているかどうか、また過剰に摂取していないかどうか、です。どちらが優れているのかを考えるよりも、「今日は忙しいから一汁一菜で」、「冷蔵庫に残り物の食材が多いから一汁三菜に」というように、都合に合わせて選択してみてはどうでしょうか。また、育ち盛りの子どもがいる家庭では、栄養面で一汁三菜の方が安心できます。健康診断で体重をコントロールするように指導された方では、一汁一菜も選択肢となるでしょう。