食品添加物の表示ルールが大きく変わる!「人工」「合成」の使用が禁止?!「無添加」「不使用」はどう表記されるの?

食品添加物の表示ルールが大きく変わります。「人工」「合成」といった用語の使用が禁止となり、「無添加」「不使用」の表示ルールが導入されます。食品添加物を避けたい方は表示ルールがどう変わるのかを知り、商品選びに役立ててくださいね。

改正ポイントの3点を押さえる

食品添加物表示制度の見直しは、消費者庁の「食品添加物表示制度に関する検討会」で議論されました。検討結果は2020年3月に報告されています。

改正のポイントは3点です。1点目は、「人工」「合成」といった用語の使用禁止。2点目は、「無添加」「不使用」表示のルール導入。3点目は、「栄養強化の目的」で用いる食品添加物の表示ルールの変更。これらは、商品パッケージの表示を対象とした施策となります。

時系列で見ると、「人工」「合成」については2022年4月1日から全面的に使用禁止となっています。「無添加」「不使用」表示のルール導入は、2024年3月までを猶予期間とし、同年4月から本格的に運用が開始されます。「栄養強化の目的」の表示ルールの変更については、検討スケジュールなどが未定です。

「人工」「合成」が消えた!

まず、「人工」「合成」といった用語の禁止について解説します。従来、「人工甘味料」「合成保存料」などの表示を見かけることがありましたが、既に全面的に禁止となっています。なぜ禁止したのでしょうか。

食品添加物には化学的に合成されたものもあれば、天然由来のものもあります。例えば、カレーを黄色くするために用いるウコンは、天然由来の着色料です。一部の消費者の間では、「人工」「合成」の食品添加物よりも、「天然」の方が安全というイメージが定着しています。

「天然」の方がより安全と思いがちですが、食品添加物については「天然」も「合成」も、安全性の面で差がありません。そうした消費者の誤認を排除するために、「人工」「合成」といった用語の使用を禁止したわけです。

「無添加」「不使用」表示にルール導入

次は、「無添加」「不使用」表示のルール導入について見ていきましょう。

「無添加」「不使用」表示については、これまでルールがありませんでした。このため、一部の業界で不適切な表示が横行していたと言われています。

一例を挙げると、パン製造で用いる「イーストフード」「乳化剤」の不使用表示があります。製造時にイーストフードや乳化剤と同様の物質を使用していながら、「イーストフード、乳化剤不使用」とうたっているケースが問題視されています。

消費者庁は消費者の誤認を防ぐため、「無添加」「不使用」表示について、一定のルールを導入することを決定しました。商品パッケージに次の10パターンの表示を行うことを禁止します。

1  単なる「無添加」の表示

2  食品表示基準に規定されていない用語を使用した表示

3  食品添加物の使用が法令で認められていない食品への表示

4  同一機能・類似機能を持つ食品添加物を使用した食品への表示

5  同一機能・類似機能を持つ原材料を使用した食品への表示

6  健康、安全と関連付ける表示

7  健康、安全以外と関連付ける表示

8  食品添加物の使用が予期されていない食品への表示

9  加工助剤、キャリーオーバーとして使用されている食品への表示

10 過度に強調された表示

これら10パターンの禁止事項のうち、消費者の商品選択に大きく関わるものとして、「単なる『無添加』の表示」があります。

商品パッケージに「無添加」や「添加物不使用」としか書かれていない場合、「着色料」が無添加なのか、「保存料」が不使用なのか、または、あらゆる食品添加物を一切使用していないのかがわかりません。そこで、「着色料無添加」「保存料不使用」などと、使用していない食品添加物を具体的に明示することを求めています。

また、商品選択に直結するものとして、「無添加だから安全」「添加物不使用だからおいしい」といった表示も禁止されます(「健康、安全と関連付ける表示」「健康、安全以外と関連付ける表示」に該当)。これは科学的な観点から、無添加の食品と一般的な食品を比べて、安全性や風味で優劣をつけがたいからです。

「栄養強化の目的」で用いる場合、すべての加工食品に表示を義務化

最後に、「栄養強化の目的」で用いる食品添加物の表示について解説します。

栄養強化の目的で用いる食品添加物とは、ビタミン類やミネラル類、アミノ酸などを指します。現行ルールでは一部の食品群を除いて、栄養強化の目的で用いた場合、表示は不要とされています。

例えば、ビタミンCを「酸化防止剤」(本当の目的)として使用しても、栄養強化の目的で用いたと主張すれば、表示をしなくても済むわけです。

この点を悪用した表示が散見されることから、消費者庁では原則、すべての加工食品に表示を義務づける方針を固めています。ただし、今後の検討スケジュールは未定となっています。

あいまいな表示を排除

これまで食品添加物表示をめぐり、消費者の誤認を生むケースが少なくありませんでした。今回の改正により、そうしたあいまいな部分が排除されることになります。

食品添加物を避けたい方にとっては、より正確な情報が得られやすくなる面もあります。ぜひ、新たな表示ルールを理解し、商品を選ぶ際に役立ててくださいね。

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フリーライター。食品、サプリメント、医薬品、医療、通販などの分野を中心に取材・執筆活動。玉石混交の情報が氾濫する中で、正しい情報の発信を目指します。千葉ロッテマリーンズを応援。仕事で疲れた時は、MISIAさんの歌が一番の癒し。