「減塩」が注目されている理由とは?

健康診断で血圧が高めの場合、医師から「食事を改善して塩分を控えるように」と言われます。これは血圧が高くなると、生活習慣病を発症する恐れがあるためです。日本人の塩分摂取量は海外諸国と比べて多く、医療費や高齢社会を考えると切実な問題となっています。このため、国も減塩の取り組みに本腰を入れ始めました。

2019年度「10.1g→2032年度「7g

厚生労働省が掲げる栄養・食生活の目標として、適正体重を維持する人の増加、バランスの良い食事を摂っている人の増加、野菜摂取量の増加、果物摂取量の改善、食塩摂取量の改善があります。

野菜摂取量は1日あたり350g、果物摂取量は同200gが目標です。食塩摂取量の平均値は2019年度に10.1gでしたが、これを2032年度に7gまで低減すること目標に掲げています。

これらの政策は、私たちが健康でいるためにいずれも重要ですが、特に注目されているのが、食塩摂取量の低減です。

死亡につながるリスク要因…食事関連で「塩分」がトップ

食塩摂取量の低減に関心が集まっている理由を見ていきましょう。

日本人の死亡の内訳を見ると、がんが27.3%、心疾患が15.0%、老衰が8.8%、脳血管疾患が7.7%、肺炎が6.9%など。

死亡の要因は、喫煙や飲酒、運動不足などさまざまです。2007年のデータ(我が国における危険因子別の関連死亡者数)を見ると、トップは喫煙で、2位が高血圧、3位が運動不足。これに次いで多いのが「塩分の高摂取」で、研究対象とした約96万人のうち約3万4000人に関連していました。

食事関連では、ほかにも「多価不飽和脂肪酸の低摂取」や「果物・野菜の低摂取」などがありますが、塩分の摂り過ぎがダントツで多いようです。

日本人の食塩摂取量の平均値は10.1g。海外諸国を見ると、韓国が9.9g、米国が9.0g、イギリスが8.6g、カナダが8.5g、オーストラリアが6.2gなどで、日本は世界でトップクラスの摂取量となっています。

日本人の食塩摂取量は1995年の13.9gから低下傾向にありましたが、ここ数年は下げ止まりの状態が続いています。

厚労省は減塩商品の普及に注力

長年にわたって塩分摂取を控えるように呼びかけてきた結果、一定の成果が見られましたが、1日あたりの摂取量は約10gのままで、下げ止まりの傾向にあります。そこで、厚生労働省が打ち出したのが、通常の食生活をしながら、自然と減塩ができる取り組みです。

これは、食品メーカーが減塩商品を開発・製造し、小売店舗が減塩商品の販売を促進するという内容。そうした取り組みを積極的に行う企業に対し、一定のインセンティブを与える方針です。

厚生労働省は2022年3月、産学官連携による推進体制「健康的で持続可能な食環境戦略イニシアチブ」の活動を開始。2023年10月時点で、大手・中堅の食品メーカーを中心に32社が参画しています。

減塩しょうゆは一般的になってきましたが、さまざまな加工食品が塩分を抑えて製造され、当たり前のようにスーパー店頭に並ぶ状況が生まれれば、私たちは意識しなくても、日常の食事で減塩が可能になると期待されています。

消費者庁、「包装前面栄養表示」を導入へ

一方、消費者庁では、栄養成分表示を商品パッケージの正面に記載させる方策を検討中です。

栄養成分表示制度では、「熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物・ナトリウム(食塩相当量で表示)」を商品パッケージに表示することを義務づけています。

消費者庁が実施した消費者意向調査によると、食品の購入時に栄養成分表示を参考にしている消費者は全体の63%。その一方で、「表示事項が多すぎて見にくい」、「容器包装の底面など目立たないところに表示されているため見つけにくい」という不満が多いこともわかりました。

そうした状況を踏まえ、消費者庁では、栄養成分表示を商品パッケージの正面に記載する「包装前面栄養表示」を導入する方向にあります。現行の裏面などに記載される栄養成分表示とは別に、これを補足するために、商品パッケージの正面にマークやロゴを活用したわかりやすい表示を導入する考えです。

「包装前面栄養表示」は、多くの海外諸国で既に実施されています。スウェーデンでは、脂質・飽和脂肪酸・糖類・食物繊維・食塩相当量の基準値を満たす場合に、健康的な食品であることを示すシンボルマークを企業の任意で貼付できます。カナダでは、飽和脂肪酸・糖類・ナトリウムが基準値を超える場合、過剰摂取につながる旨を示すシンボルマークに、該当する栄養成分名を添えて、パッケージ前面に表示することを義務づけています。

消費者庁の検討会は2024年3月までに中間取りまとめを行い、それを踏まえて具体的な表示方法などを詰める予定です。

有機大豆を使用した減塩しょうゆや減塩みそも

私たちは日頃の食事で、塩分を多く含むみそ汁や漬物を口にし、刺身や焼き魚などでしょうゆを用います。和食は健康的ですが、塩分の摂り過ぎにつながる面もあります。

減塩しょうゆや減塩みそなどの活用は簡単にできますので、まずは可能なところから減塩に取り組むことが大切です。

農薬を使って栽培された原料を避けたい方にとっては、有機大豆を原料とした減塩しょうゆや減塩みそが各メーカーから販売されていますので、そうした商品がオススメです。

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フリーライター。食品、サプリメント、医薬品、医療、通販などの分野を中心に取材・執筆活動。玉石混交の情報が氾濫する中で、正しい情報の発信を目指します。千葉ロッテマリーンズを応援。仕事で疲れた時は、MISIAさんの歌が一番の癒し。