「糖質を〇〇%カット」を“売り”にする糖質カット炊飯器が、女性や中高年の方に人気です。しかし、その広告をめぐって消費者トラブルが増加しています。糖質カット炊飯器は、どのような問題を抱えているのでしょうか?
「糖質20%抑制」といった魅力的な宣伝文句
一般的な炊飯器でご飯を炊く場合と比べ、糖質を大幅にカットできるとうたう糖質カット炊飯器は、人気家電の1つとなっています。
各メーカーの広告を見ると、「いつものお米を最大で33%の糖質カット」「糖質約20%抑制」「いつも食べているお米を使って、糖質を最大約1/3カットしたご飯が炊ける」といった宣伝文句も。さらには、糖質をおよそ半減できると表示した広告も散見されます。
糖質を大幅にカットして、いつものようにご飯を炊くことができるのならば、ダイエット中の方にとって、これほどうれしいことはありませんよね。また、血糖値が高めの方も利用してみたいと思うことでしょう。
約6年間に250件の消費者相談
しかし、国のPIO-NETには、糖質カット炊飯器に関する相談が、約6年間に250件も寄せられています。主な相談内容を紹介します。
「糖質カットの炊飯器を購入したが、この炊飯器で本当に糖質が表示している程度、カットされるのか知りたい。私は糖尿病なので心配だ」(60代女性)。
「店舗で糖質カットができる炊飯器を購入し、説明書どおりに米を炊いたが、お粥だった。改めて説明書を確認し炊いたが同じだった」(60代女性)。
「5日前に届いて使用しているが、1日3回測っている血糖値に全く変化がない。広告に血糖値の改善との説明はなかったと思うが、糖質カットにより血糖値も改善されるのではないか」(60代男性)。
炊いたご飯は柔らかく感じる
どうも、期待していた効果が得られなかったり、炊き上がったご飯がお粥のような状態だったりと、ユーザーは不満を抱いているようですね。
では、その原因は何でしょうか?国民生活センターが実施した商品テストの結果(2023年3月発表)から、糖質カット炊飯器の仕組みが判明しましたので、詳しく見ていきましょう。
商品テストでは、糖質カット炊飯器6製品を使用。各製品の「通常炊飯」と「糖質カット炊飯」の機能による炊き上がりのご飯の状態を比較したところ、全製品で「通常炊飯」と比べて「糖質カット炊飯」では柔らかく感じられたと報告しています。
次に、炊いたご飯100gあたりに含まれる水分量を比較しました。その結果、すべての製品で、「通常炊飯」と比べて「糖質カット炊飯」では水分量が1~2割ほど多いことがわかりました。
炊き上がったご飯の糖質の総量は同程度
また、「通常炊飯」と「糖質カット炊飯」で炊いたご飯100gあたりに含まれるデンプンの量を比べました。ご飯の糖質のほとんどがデンプンと考えられることから、デンプンの量を糖質の量としました。その結果、全製品とも「糖質カット炊飯」では、100gあたりに含まれるデンプンの割合が1~3割ほど低いことがわかりました。
結論を言えば、同じ量の米を炊飯した場合、「糖質カット炊飯」のご飯は1~3割ほど重量が重かったのですが、その中に含まれるデンプン(糖質)の総量に差はありませんでした。
すでに、あなたもお気づきかと思いますが、通常のご飯と比べて水分量が多い分、全体の重量も増えます。当然、普通に炊いたご飯と比べて柔らかく炊き上がります。
つまり、水分量が多いため、炊き上がったご飯100gあたりで比較した場合、「糖質カット炊飯」で炊いたご飯の方が糖質の量が少なくなりますが、炊き上がったご飯全体(米+水分)の糖質の量は同程度となります。お粥をイメージするとわかりやすいと思います。
炊き上がったご飯に含まれる糖質の合計量は、普通に炊いたご飯と同程度であるにもかかわらず、「糖質〇〇%カット」と宣伝していたわけですね。
販売会社4社に景表法違反で行政処分

糖質カット炊飯器の購入者は、そうした仕組みを知らずに、広告の「糖質を〇〇%カット」という効果を鵜呑みにしたと考えられます。当然、そうした広告は消費者に誤認を与え、問題となります。
このため、消費者庁は2024年2月、糖質カット炊飯器の販売会社4社に対し、景品表示法違反により行政処分を出しました。
各社は「糖質約48%カット」、「お米を炊くときにでる糖質(でんぷん)を低糖質釜を使って分離しご飯の糖質(でんぷん)をカット」などと広告で説明し、一般的な炊飯器で炊いたご飯と同じように仕上がるという印象を与えていました。
しかし、消費者庁の調査によると、実際には一般的な炊飯器で炊いたご飯と比べて水分量が多く、病院食の「軟めし」や「全かゆ」に近い状態になることが判明。水分を多めに吸って重量が重くなることで、同じ量の通常のご飯と比べた場合に糖質の量が大幅に減るという、見せかけの糖質カット割合を表示していたと判断されたわけです。
大げさな宣伝にご注意!

健康食品でも大げさな効果をうたうと購入者の商品選択を誤らせることになりますが、家電製品についても行き過ぎた宣伝には注意が必要です。
もし、糖質カット炊飯器を購入する場合は、水分量が増えてご飯が柔らかくなることを理解した上で利用することが大切です。





