MCTオイルやえごま油をカップ麺に入れると危険!

健康を気遣って、即席カップ麺に健康オイルを加えて食べる方がいますが、オイルの種類によっては容器が変質して底に穴が開き、汁が漏れて火傷を負うことも。意外なところで危険な目に遭う可能性があります。即席カップ麺とオイルの問題について解説します。

国民生活センター「MCTオイルやえごま油を加えるのはやめましょう」と注意喚起

仕事や家事などで忙しい時、食事を即席カップ麺で済ますことはありませんか?そんな場合、カップ麺には十分な栄養成分が含まれていませんので、健康を考えて、「せめて健康に良い食用油を加えて食べよう」と思う方もいます。ところが、加えるオイルの種類によっては、思いがけない被害に遭うことがあります。

独立行政法人国民生活センターは2023年4月26日、「発泡ポリスチレン製容器にMCTオイルやえごま油を加えるのはやめましょう」という注意喚起を行いました。

国民生活センターによると、過去5年間に、発泡ポリスチレン製のカップ麺容器に熱湯を入れて、健康オイルを加えたところ、容器が破損して中身の汁が流れ出したという相談が6件寄せられていて、その中には、火傷を負ったという事例も含まれています。

相談内容を見ると、「2種類の即席カップ麺にMCTオイルを入れたところ、いずれも容器が破損し、中身が漏れて食べられなかった」、「即席カップ麺に湯とMCTオイルをほぼ同時に入れて食べようとしたところ、容器の底が抜け、足に湯がかかった」などがあります。

MCTオイルを加えると容器が破損、液漏れが発生

即席麺業界では自主的な取り組みとして、カップ麺の容器包装上に、「容器が変質・破損する恐れがあるため、添付以外の食用油を加えないようにしてください」という注意喚起を表示しています。また、一部の食用油でも、「ポリスチレン製の容器に使用しないでください」という表示が見られます。

そうした情報を基に、国民生活センターでは「MCT(中鎖脂肪酸)オイル」(2銘柄)、「ココナッツオイル」「えごま油」「アマニ油」(各1銘柄)をポリスチレン製容器に加えるという商品テストを実施しました。

商品テストでは、容器に沸騰した湯を約550ml注いでから、3分後に食用油(1日あたりの摂取目安量または大さじ1杯)を加えました。その結果、MCTオイルについては、「数十秒ほど」で液面が接する部分や底の部分などが破損し、中身の湯が漏れることが確認されました。ココナッツオイル、えごま油、アマニ油については、液面が接する部分と底の部分が変質しましたが、10分ほど経過しても液漏れには至らなかったと説明しています。

次に、先に食用油を加えて、その直後に沸騰した湯を約550ml注ぐケースをテストしました。その結果、MCTオイルではわずか「数秒」で容器が破損し、湯が漏れ出しました。ココナッツオイル、えごま油、アマニ油については、容器の内側の表面が変質しましたが、湯の漏れは確認されませんでした。

商品テストを通して、カップ麺容器に食用油を加えるタイミングにかかわらず、容器が変質・破損し、液が漏れ出して火傷を負う恐れがあることがわかりました。

ただし、なぜ容器が変質するのかというメカニズムについては、把握していないそうです。

破損した容器を食べてしまったら?

MCTオイルによってカップ麺容器が変質して破損するわけですが、食べてしまっても健康に影響はないのでしょうか?「容器の一部を飲んでしまったかも…」と心配になる方もいることでしょう。

しかし、健康被害の心配は不要と考えられます。万一、容器の一部を食べてしまったとしても、排出されるからです。それよりも、熱湯が漏れ出して手や足などにかかり、火傷を負うことの方が心配です。前述したように、実際にそうした被害事例が報告されています。

健康オイルを加えたい場合は違う容器に移すこと

国民生活センターが業界団体にヒアリングしたところ、即席カップ麺のうち、紙製容器については変質・破損は生じないということです。また、ポリスチレン製容器であっても、内面に高密度ポリスチレンシートを用いた容器では影響が見られないとしています。

国民生活センターでは消費者に向けて、「発泡ポリスチレン製容器の即席カップ麺を調理する際には、添付以外の食用油を加えないように」と呼びかけています。どうしても加えたい場合には、中身を発泡ポリスチレン製以外の容器に移してから調理するようにアドバイスしています。

調理前に注意喚起表示を読みましょう!

便利な加工食品が次々と登場していますが、思いがけないところに危険が潜んでいることもあります。今回紹介した即席カップ麺と健康オイルのケースもその1つです。

どの加工食品についても言えることですが、使用する前に、まずは製品パッケージの表示をしっかりと読むクセをつけましょう。特に、注意喚起表示は必ず読んでから使用するように心がけてくださいね。

ABOUTこの記事をかいた人

フリーライター。食品、サプリメント、医薬品、医療、通販などの分野を中心に取材・執筆活動。玉石混交の情報が氾濫する中で、正しい情報の発信を目指します。千葉ロッテマリーンズを応援。仕事で疲れた時は、MISIAさんの歌が一番の癒し。