栄養機能食品をご存じですか?日ごろ不足しがちな栄養成分を手軽に補給できて、どのような効果があるのかも表示しています。健康のためにぜひ活用してほしい食品です。栄養機能食品を賢く利用するためのポイントを解説します。
栄養機能食品とは?
栄養機能食品は、ビタミンやミネラルなどの特定の栄養成分を一定量含有しています。摂取量が不足しがちな栄養成分を補給する目的で利用します。
栄養機能食品は、消費者庁の「保健機能食品制度」に位置づけられています。「保健機能食品制度」には栄養機能食品のほか、特定保健用食品(トクホ)と機能性表示食品があります。

トクホや機能性表示食品と「栄養機能食品」はどう違うの?

これらの3つは、健康への効果をパッケージに表示できます。では、栄養機能食品はトクホや機能性表示食品と何が違うのでしょうか?
- 栄養機能食品として販売するために、国の許可などが不要なこと。一定の要件を満たせば、企業の判断で栄養機能食品として販売できます。これに対し、トクホは国の許可、機能性表示食品は国への届出が必要です。
- 栄養機能食品の対象となる栄養成分が、主にビタミンとミネラルであること。一方、機能性表示食品はビタミン・ミネラルを対象から除外するなど、すみ分けを行っています。
- 健康への効果の表示方法をあらかじめ国が定めていて、その通りに表示しなければならないこと。
トクホや機能性表示食品の表示内容は企業の創意工夫に基づきますが、栄養機能食品では企業の希望や考えが入り込む余地がないわけですね。
- 表示する栄養成分の含有量が国の基準内であること。国は各栄養成分について、含有量の「上限量」と「下限量」を定めています。
栄養機能食品として販売するためには、この「上限量」と「下限量」の間で含有量を定めなければなりません。この点も、トクホや機能性表示食品と大きく異なります。
栄養機能食品の対象成分は20種類
栄養機能食品の対象となる栄養成分は、ビタミン13種類、ミネラル6種類、脂肪酸1種類の合計20種類です。
・ビタミン:ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、B1・2・6・12、C、D、E、K、葉酸
・ミネラル:亜鉛、カリウム、カルシウム、鉄、銅、マグネシウム
・脂肪酸:n-3系脂肪酸
n-3系脂肪酸と聞いてもピンと来ませんよね。例えば、青魚に含まれるDHAやEPA、亜麻仁油に含まれるα-リノレン酸などです。
栄養機能食品で表示できる内容
栄養機能食品では、あらかじめ国が定めた健康への効果を表示します。ビタミンCの栄養機能食品を例に表示内容を見ましょう。
パッケージには「栄養機能食品(ビタミンC)」の表示と、「ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素です。」という効果に関する定型文を表示します。
この定型文を勝手に変更することはできません。同時に、定型文を逸脱して「美肌」「風邪予防」といった表示も禁止されています。
以下の表に、国が定めた定型文をまとめました。

注意喚起表示などもしっかりと読もう!

栄養機能食品では注意喚起表示などの表示も求められます。誤った利用の仕方を防ぐためです。
まず、「摂取上の注意事項」の表示があります。これは栄養成分ごとに定められています。
例えばビタミンB・C・D・Eの場合、「本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。」と表示します。
次に、「1日あたりの摂取目安量」や「栄養素等表示基準値に占める割合」も表示しなければなりません。
「1日あたりの摂取目安量」は過剰摂取を防止するためのもの。「1日あたり5粒」「1日あたり1本」などと表示します。
「栄養素等表示基準値に占める割合」は、表示する栄養成分の「1日に必要な目安量」に対して、「『1日あたりの摂取目安量』に含まれる栄養成分の量」がどのくらい占めているのかを表しています。ビタミンC を例に挙げてみますね。
ビタミンCの栄養素等表示基準値は「100mg(1日に必要な目安量)」なので、「1日あたりの摂取目安量:1本」にビタミンC50mgを含む場合は、「ビタミンC 50%」と表示します。
この表示によって、栄養機能食品を利用すれば、1日に必要な量の何%を摂取できるのかが簡単にわかります。
これらのほか、以下の表示も必要となります。
・「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」
・「本品は、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官による個別審査を受けたものではありません。」
賢く利用するためのポイント
栄養機能食品を賢く利用するために、どのような点を心がければよいのでしょうか。
1点目は、あなた自身の最近の食生活を思い出して、不足しがちな栄養成分は何かを考えること。当然ですが、不足気味の栄養成分を配合した栄養機能食品を選びます。
一方、毎日の食事で十分に摂取できている栄養成分については、わざわざ栄養機能食品で補給する意味はありません。
2点目は、「1日あたりの摂取目安量」を守って、食べ過ぎないようにしましょう。栄養機能食品を必要以上にたくさん食べたからといって、より大きな効果が得られるわけではありません。むしろ、過剰摂取は体調不良を招く恐れがあります。
3点目は、商品によっては消費者を誤認させる表示も見られますので、注意すること。
例えば、「栄養機能食品(ビタミンC)/コラーゲン配合」といった表示です。この場合、パッケージに表示されている健康への効果がビタミンCによるものなのか、それともコラーゲンにも同様の効果があるのかが不明で、消費者に誤認を与えてしまいます。
表示している効果は、栄養機能食品の対象である栄養成分に限定されます。それ以外の成分には当てはまらないことを理解しましょう。
食生活の改善にもつなげよう!

栄養機能食品の健康への効果は、国の責任の下で明確にされたもの。一部の研究ではなく、国内外の多数の研究データを慎重に検証した結果なのです。
科学的なエビデンスが明確なことから、栄養機能食品を上手に利用すれば、あなたの健康の維持・増進に役立つと言えます。
不足しがちな栄養成分があることに気づいたら、栄養機能食品の利用をおすすめします。同時に、食生活の改善にも取り組んでくださいね。