最近、よく耳にする乳酸菌生産物質。「乳酸菌とは違うの？」――きっと、そうした疑問を持つ消費者も多いはず。名称から乳酸菌と混同されがちですが、実は似て非なるもの。その違いを知れば知るほど、乳酸菌生産物質のファンになるかもしれません。
あなたの健康のために。その機能性が注目される「乳酸菌生産物質」
乳酸菌生産物質は、主にサプリメントや飲料に使用される機能性素材。健康増進に役立つ多種類の成分を含み、働きを体感しやすいことから注目されています。サプリメントメーカーに限らず、大手食品企業も商品開発に乗り出すなど、市場の裾野は広がりつつあります。
長期にわたって「生きた乳酸菌」という表現がもてはやされてきたこともあり、「乳酸菌」と「乳酸菌生産物質」は目立たない存在でした。ところが、学術研究の進展につれて、「生きていない菌」も健康増進に有効であることが判明。さらに、乳酸菌生産物質にはそれ以上の効果を期待できることが理解され始め、クローズアップされるようになりました。
しかし、消費者にとって、乳酸菌生産物質は親しみのない素材。「乳酸菌と同じようなもの」と思うかもしれませんね。乳酸菌生産物質の説明に入る前に、まず乳酸菌がどのようなものかを確認しましょう。
乳酸菌とは大きく異なる乳酸菌生産物質
乳酸菌とは、発酵によって糖から乳酸をつくる微生物のこと（ビフィズス菌も乳酸菌の１種）。善玉菌とも呼ばれ、腸内で悪玉菌の増殖を抑制します。乳酸菌を使用したヨーグルト商品などがたくさん販売されているので、身近に感じる方も多いでしょう。
これに対して乳酸菌生産物質は、乳酸菌が「作り出す成分」が主役であり、乳酸菌は脇役なのです。
乳酸菌生産物質は大豆・豆乳・乳などを培地に用いて、数種類または十数種類の乳酸菌を培養し、発酵させることで得られます。発酵過程で、乳酸菌はさまざまな物質を作り出します。作り出された物質は「代謝産物」と呼ばれ、乳酸菌生産物質の大部分を占めています。
代謝産物というと、なんだか小難しいですね。でも、人が食品を食べると、体内で酵素を介して化学的な反応が起きて、生命や健康の維持に必要なさまざまな成分に形を変えるのと同じと考えれば、理解しやすいと思います。
乳酸菌生産物質は、アミノ酸、ペプチド、ポリフェノール、脂肪酸など含有
乳酸菌が作り出す物質（代謝産物）は多種多様。主なものに、アミノ酸やペプチド（アミノ酸が2個～数十個つながったもの）、ポリフェノール類、脂肪酸、有機酸、ビタミン類などがあります。用いる培地や乳酸菌の種類によって変わってきますが、100種類以上の物質が乳酸菌生産物質に含まれていると言われています。
代謝産物に加えて、製造工程で働きを終えた乳酸菌（βグルカンなどを含有）、培地の大豆や豆乳由来の有効成分（大豆イソフラボンなど）が含まれている点も、乳酸菌生産物質の特長。
つまり、（1）乳酸菌が作り出すさまざまな有効成分（代謝産物）、（2）乳酸菌の菌体成分、（3）培地の大豆や豆乳など由来の有効成分――が組み合わさったものが、乳酸菌生産物質なのです。
このうち、人の体に対してもっとも強く働きかけるのが、アミノ酸やペプチドといった代謝産物。乳酸菌生産物質が効果を体感しやすいのも、多種類の代謝産物が豊富に含まれているからです。
ヨーグルトの場合、多数の乳酸菌を摂取できるというメリットがある半面、代謝産物はわずかな量しか摂取できません。一方、多種類の代謝産物をたくさん摂取できる点が、乳酸菌生産物質の最大の魅力。さらに、菌体成分や培地由来成分の作用も加わり、強い体感を生むと考えられています。
乳酸菌生産物質の機能性に関する研究も進行中。
乳酸菌生産物質の機能性に関しても大学の研究チームなどが行った多数の研究成果が論文化され、公表されています。
また、一部の乳酸菌については、従来乳酸菌の働きによって生まれると考えられていた機能性が、最新の研究により、実は乳酸菌が作り出す代謝産物の働きによるものだったと判明するケースもあります。
そうした研究成果が蓄積されて、乳酸菌生産物質の評価が高まってきたわけです。乳酸菌や乳酸菌生産物質についてはまだまだ謎も多く、引き続き、新たな発見が相次ぐと予想されます。
乳酸菌生産物質は「培地」も大切。遺伝子組み換え大豆を使用しない培地を。
安全性の面でも、乳酸菌生産物質は優等生。これまでに、特段の健康被害は報告されていません。もともと使用する原料は乳酸菌と、培地の大豆や豆乳などで、どれも安全性の高いものばかり。これに加えて原料メーカー各社は、各種の安全性試験によって乳酸菌生産物質の安全性を確認済み。
また、原料メーカーでは、培地に使用する大豆や豆乳について、遺伝子組み換え原料を使用しているかどうかもチェックPOINTです。遺伝子組み換え食品を避けたい消費者にとっても、選びやすい商品群であるといえます。
乳酸菌が作る代謝産物が、健康的な生活を強力にサポート
乳酸菌と乳酸菌生産物質の違いを理解していただけたでしょうか。科学に裏付けられた機能性をもつ素材でありながら、使用する原料はシンプル。そうした安心感も、乳酸菌生産物質がクローズアップされる要因の一つです。
ここまで見てきたように、乳酸菌生産物質の魅力は、なんといってもハイレベルの機能性と安全性を兼ね備えていること。今後はいろいろな商品が登場し、市場が賑わうと予想されます。
乳酸菌が生み出す代謝産物である乳酸菌生産物質は、健康的な生活を力強くサポートしてくれるでしょう。
