脚光を浴びるオーガニック食品市場、取り巻く環境が変化!?

日本では、なかなか広がりを見せなかったオーガニック食品市場。しかし、近年は市場拡大が続き、にわかに注目され始めています。その背景には、どのような事情があるのでしょうか。

世界のオーガニック食品市場は右肩上がりで拡大中

世界のオーガニック食品市場は、2018年時点で約11兆6,000億円。2000年以降、右肩上がりで拡大を続けています。有機農業の農地面積は1999年から2018年の間に6.5倍も拡大しました。

世界最大のオーガニック食品市場を持つのが米国で、5兆円を超えています。ドイツやフランス、中国もそれぞれ1兆円超の市場を形成しています。

1人あたりのオーガニック食品への支出額は、世界平均で1,638円。スイスがもっとも多く、スウェーデン、オーストリア、フランス、ドイツ、米国の順です。

日本でも広がってきた有機農業

日本のオーガニック食品市場は1,850億円(推計)。市場規模は世界で13位、アジアでは中国に次ぐ2位です。近年、日本でも着実に市場拡大が続いています。

有機農業の取り組み面積も拡大を続け、2万3,700ヘクタールに達しました。過去10年で45%増となっています。

なぜ今、オーガニック食品が注目されているの?

ここ数年、日本でもオーガニック食品が注目されています。その理由の一つに、環境保全に役立つという評価があります。

従来の「安全」「健康」というイメージ優先ではなく、近年では消費者の6割がオーガニック食品に対し、「環境に負荷をかけていない」と評価。環境保全の観点から支持を集めているようです。

もう一つの理由に、高めの価格でも売れるオーガニック食品は生産者にとって魅力的という点があります。農林水産省の調査では、有機農業に取り組む生産者の65%が販売価格に満足していると報告しています。

そうした事情から、有機農業に取り組む生産者が増えています。特に新規参入者の2~3割が有機農業を選択しているとみられています。

SDGsとオーガニック あなたも地球環境に貢献!

前述したように、オーガニック食品に対する消費者の評価に「環境に負荷をかけていない」があります。これは世界的な共通認識と言えます。

有機農業やオーガニック食品の普及は、国連サミットの「持続可能な開発のための2030アジェンダ」で示されたSDGs(持続可能な開発目標)にも合致しています。

と言っても、ピンとこない方も多いのでは?有機農業やオーガニック食品と、世界の諸問題の解決を目指すSDGsは、どう関係しているのでしょうか。整理すると、以下の点が挙げられます。

・有機農業のシステムは、持続可能な食料生産を促進する。

・化学肥料・農薬の使用削減による水質汚染防止は、人々の健康や福祉につながる。

・オーガニック商品の購入は、持続可能な食料生産への貢献につながる。

・適切な土壌管理は気候変動の抑制につながる。

・生態系の維持、生物多様性に貢献できる。

これらに加えて、化学肥料・農薬の製造工場から排出される二酸化炭素の削減も、地球温暖化防止につながるわけですね。

政府はオーガニック推進に本腰

SDGsへの対応、生産者や食品業界の支援を念頭に、農水省は2021年5月、「みどりの食料システム戦略」を決定しました。

そのなかで、2050年までに有機農業の取り組み面積を全体の25%に当たる100万ヘクタールに拡大する方針を打ち出しました。加えて、2050年までに化学肥料の使用量の3割低減、化学農薬の使用量の5割低減も目標に掲げています。

目標の100万ヘクタールは、2018年時点の取り組み面積である2万3,700ヘクタールの40倍に相当し、この方針は国内農業や食品業界に大きなインパクトを与えています。

新法によるオーガニック推進策とは?

さらに政府は2022年2月、「みどりの食料システム法案」を国会へ提出しました。

新法は、有機農業に取り組んだり、化学農薬・肥料の使用量の低減に取り組んだりする生産者の認定制度を導入し、税制・融資で優遇する施策を柱に据えています。

食品業界についても、環境負荷の少ない技術開発を行う企業を対象とした認定制度を創設。税金の軽減措置などを実施する予定です。

これらの施策によって、有機農業の取り組み面積を100万ヘクタールに拡大するといった目標を実現していく考えです。

私たち一人ひとりがオーガニック食品と向き合う時代に

このように、政府は有機農業の推進とオーガニック食品の普及に本腰を入れる構えを見せています。

一方、私たち消費者には、SDGsに掲げられた環境保全や持続可能な食料生産システムの構築への協力が求められています。

今後は、従来の「安全」「健康」といったイメージ優先ではなく、世界の潮流に沿った観点から、国も生産者も企業も、そして私たち一人ひとりもオーガニック食品と正面から向き合うことになるでしょう。

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フリーライター。食品、サプリメント、医薬品、医療、通販などの分野を中心に取材・執筆活動。玉石混交の情報が氾濫する中で、正しい情報の発信を目指します。千葉ロッテマリーンズを応援。仕事で疲れた時は、MISIAさんの歌が一番の癒し。