タンパク質をもっと知ろう

「プロテイン」「アミノ酸」「ペプチド」を配合した健康食品やサプリメント。これらはすべてタンパク質の仲間。私たちの健康を守る上で、もっとも大切な栄養素の一つであるタンパク質について解説します。

タンパク質とは?

タンパク質は、炭水化物と脂質とともに「三大栄養素」と呼ばれます。炭水化物と脂質は、主に日常生活を送るために必要なエネルギーとして使用されます。これに対してタンパク質は、主に私たちの体をつくる材料となります。タンパク質は筋肉をはじめ、骨・皮膚・毛髪・臓器などを構成する成分。各種のホルモンや酵素などをつくる役割もあります。私たちの体の半分以上は水分で、次に20%近くをタンパク質が占めます。「髪が長くなった」「爪が伸びた」というのも、食事で摂ったタンパク質が、あなたの体の中でしっかりと働いた結果なのです。

ペプチドとは?

健康食品やサプリメントの広告で、「〇〇〇ペプチド配合」の宣伝を見かけることがあります。このペプチドとは何でしょうか。肉や魚などに含まれるタンパク質は、そのままの形ではサイズが大きすぎて、小腸から吸収できません。そこで、口から入ったタンパク質は、まず胃で胃液の働きによってある程度のサイズに分解されます。さらに十二指腸や小腸でも分解され、小腸から吸収できる小さなサイズになっていきます。このようにして分解されたタンパク質の最小単位を「アミノ酸」と呼びます。

タンパク質は多数のアミノ酸がつながって構成されています。このうち、アミノ酸が2~50個ほどつながっているものがペプチドです。健康食品やサプリメントの広告では、「〇〇〇ジペプチド配合」や「〇〇〇トリペプチド配合」の表示も見かけます。「ジペプチド」はアミノ酸が2つつながったもの。「トリペプチド」はアミノ酸が3つつながったものです。最小単位のアミノ酸、その次に小さなジペプチドやトリペプチドならば、小腸から吸収されやすいということがイメージできますよね。

アミノ酸と

前述したように、タンパク質の最小単位がアミノ酸です。アミノ酸は20種類あり、その組み合わせによって筋肉や臓器、皮膚・髪・爪などそれぞれの組織をつくっています。アミノ酸は、必須アミノ酸と非必須アミノ酸に分かれます。このうち必須アミノ酸(9種類)は体内で合成できないため、食事から摂取する必要があります。

ここまでの説明をまとめると、食品に含まれるタンパク質は次のような流れによって体内で働きます。

  1. 胃で一定程度のサイズに分解
  2. 十二指腸でさらに小さなサイズに分解
  3. 小腸でアミノ酸に分解、(またジペプチドやトリペプチドの状態でも)体内へ吸収
  4. 血中に入り、肝臓を経由して全身に運ばれて各組織を合成

良質なタンパク質」の摂取が重要

毎日の食事では、「良質なタンパク質」を含む食品をしっかりと食べることが大切。良質なタンパク質とは、体内でつくることができない必須アミノ酸をバランス良く含むタンパク質を指します。良質なタンパク質を含む食品を紹介します。動物由来では牛肉・豚肉・鶏肉、卵、牛乳、ヨーグルトなど。イワシ・カツオ・アジ・サケといった魚類もバランスの良さで優れています。植物由来では大豆などです。タンパク質は毎日、どのくらい摂取すればよいのでしょうか。厚生労働省の食事摂取基準によると、成人女性の「推奨量」は1日あたり50g。成人男性の場合は64歳までが65g、65歳以上が60gとされています。

健康食品・サプリメントで摂取する意義とは?

日頃の食事で肉や魚、大豆製品などをバランス良く食べれば、タンパク質の摂取については問題ありません。では、なぜ、タンパク質を分解した「ペプチド」や「アミノ酸」を配合した健康食品・サプリメントが販売されているのでしょうか。

理由その1:アミノ酸の種類や組み合わせの効果

アミノ酸の種類によって健康への効果も違うことがあります。同様に、アミノ酸の組み合わせによって多種類のペプチドがあり、それぞれ健康への効果が異なります。特定の効果を狙って、特定のアミノ酸やペプチドを効率的に摂取できるようにしたのが、「〇〇〇アミノ酸配合」「〇〇〇ペプチド配合」の健康食品やサプリメントなのです。市販商品を見ると、アミノ酸ではアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、グリシンなどを配合したものが人気。ペプチドでは「コラーゲンペプチド」「イワシペプチド」「ラクトトリペプチド」「カツオ由来ペプチド」などがあります。

理由その2:より効率よく体に働くために

吸収性に優れていることが挙げられます。アミノ酸、アミノ酸が2個のジペプチド、3個のトリペプチドは小腸から吸収され、健康への効果を発揮します。たとえば、「コラーゲン」はサイズが大きすぎてそのままの姿では吸収されないため、健康食品やサプリメントに使用できません。そこで、コラーゲンペプチドに精製して配合するわけです。

プロテイン商品についてはどうでしょうか。健康食品に使用するプロテインは基本的に、食事から摂取するタンパク質と同じものと考えてかまいません。ただし、肉料理や卵料理などはカロリーや脂肪分が気になりますよね。また、スポーツ愛好家の場合、筋肉をつけるためにタンパク質の摂取量を無理なく増やしたいというニーズがあります。そこで、良質なタンパク質だけを効率的に摂取できるようにしたのがプロテイン商品なのです。市販商品の多くは大豆やホエイを原料に用いています。

目的に合わせて日常の食事にプラス

健康食品やサプリメントでは、「タンパク質〇〇g含有」「〇〇〇ペプチド配合」「アミノ酸配合」といった宣伝が見られます。それぞれどのようなものかが理解できれば、商品選択で役立ちます。健康を守る上で基本となるのは、毎日の食事で良質なタンパク質を含む食品をしっかりと取ること。健康食品やサプリメントはそれにプラスする形で、目的に合わせて利用するようにしましょう。

ABOUTこの記事をかいた人

フリーライター。食品、サプリメント、医薬品、医療、通販などの分野を中心に取材・執筆活動。玉石混交の情報が氾濫する中で、正しい情報の発信を目指します。千葉ロッテマリーンズを応援。仕事で疲れた時は、MISIAさんの歌が一番の癒し。