最近、よく目にする「アミノ酸サプリ」や「話題のアミノ酸」といった健康食品の広告。「アミノ酸」と聞けば、なんとなく体に良さそうな気がしますね。ところで、アミノ酸とはどのようなものでしょうか?今回はアミノ酸の基礎知識について解説します。
20種類のアミノ酸が10万種類のタンパク質をつくる
私たちの体の約60%は水分。その次に多いのがタンパク質で、全体の約20%を占めます。タンパク質は臓器や筋肉をはじめ、毛髪・爪・骨など全身のあらゆる組織で異なる役割をしています。炭水化物、脂肪とともに「三大栄養素」と呼ばれ、人が生きていくために不可欠な栄養素です。
実は、この大事なタンパク質を構成しているのがアミノ酸。
自然界では約500種類のアミノ酸が見つかっていますが、私たちの体に必要なアミノ酸はわずか20種類です。
人の体内で働くおよそ10万種類のタンパク質は、20種類のアミノ酸の組み合わせによってつくり出されます。ちょうど、私たちが46文字の仮名を用いて、数十万個の単語を表現するのと似ていますね。
9種類の必須アミノ酸は食事からしか取れない
人の体に必要な20種類のアミノ酸は、「必須アミノ酸」と「非必須アミノ酸」に分けられます。
必須アミノ酸は体内で合成できない、または合成できたとしてもごくわずかな量のため、食べ物から取り入れる必要があります。
必須アミノ酸には次の9種類があります。
イソロイシン ロイシン リジン
メチオニン フェニルアラニン トレオニン(スレオニン)
トリプトファン バリン ヒスチジン
必須アミノ酸は1種類でも欠乏すると、深刻な栄養障害を招きます。と言っても、普通の食生活をしている限り、必須アミノ酸が不足することはまずありません。
一方、非必須アミノ酸は体内で合成されます。
非必須アミノ酸は以下の11種類です。
アラニン アルギニン チロシン
システイン アスパラギン酸 アスパラギン
セリン グルタミン酸 グルタミン
プロリン グリシン
「非必須」というと、重要でないと思われるかもしれませんが、そうではありません。体内でつくられるため、意識して食べ物から摂取しなくてもよいという意味です。
これらの20種類のアミノ酸には、それぞれ異なる働きがあります。筋肉をつくったり、精神を安定させたり、成長を促進したりと、私たちが生きていくために不可欠な役割を果たしているのです。
また、アミノ酸は体のさまざまな組織で作用するだけでなく、各種のホルモンや、遺伝情報を司るRNA・DNAなどの原料にもなります。
分岐鎖アミノ酸(BCAA)とは?
健康食品やサプリメントの広告で、「BCAA配合」というキャッチコピーを見かけることがあります。
BCAAとは「分岐鎖アミノ酸」のことで、必須アミノ酸のバリン・ロイシン・イソロイシンを指します。この3つの必須アミノ酸の総称です。
BCAAを豊富に含む食材には、マグロ(赤身)・卵・肉類などがあります。肉類では、特に牛肉に豊富に含まれています。
スポーツ・運動に役立つ働きが注目され、BCAAを配合したサプリメントやスポーツ飲料が販売されています。
知っておきたい「アミノ酸スコア」
先ほど説明したように、必須アミノ酸は人の体内でつくることができないため、食べ物によって補う必要があります。
料理に使用する食材に、9種類の必須アミノ酸がすべてきっちりと含まれているかどうかがわかれば、便利だと思いませんか?そうした場合に役立つのが、食品中の必須アミノ酸の充足率。これを「アミノ酸スコア」と言います。
「アミノ酸スコア」は数字で表します。「100」が満点で、数字が100に近いほど、アミノ酸摂取の点で優秀な食品であることを意味します。
「アミノ酸スコア」が100の食品には、動物性では牛乳・卵・魚類・牛肉・豚肉・鶏肉があります。植物性では、大豆がスコア100です。ほとんどの人はこれらの食品を日常的に食べているはずで、必須アミノ酸を十分に摂取していると思われます。
目的に合ったアミノ酸を選ぼう!
ここまで見てきたように、アミノ酸は人の体内でタンパク質をつくる重要な栄養素であることを理解できましたか?
バランスの良い食事をとっている方は、必須アミノ酸を十分に摂取できています。日常の食事で注意しなければならないのは、「アミノ酸スコア」が高い食品を取り入れること。魚類や肉類、卵、牛乳、大豆などをしっかり食べるように心がけましょう。
とはいっても、どの食品のアミノ酸スコアが高いか低いかなんて、普段わからないですよね。実は、アミノ酸スコアが100に満たない食品でも、組み合わせて一緒に摂取することで、アミノ酸スコアを上げることができます。
つまり、色々な食材を組み合わせてバランスの良い食事を摂ることが大切ですね。
バランスの良い食事とともに、自分自身の目的に合ったアミノ酸の健康食品の活用も、あなたの健康的な毎日をサポートしてくれるでしょう。