タンパク質は私たちの体をつくる“材料”となり、各組織で重要な働きをします。タンパク質と言えば「肉や卵などをたくさん食べれば大丈夫」と思いがちでは?しかし、健康のためには肉や卵などだけでなく、植物性タンパク質もバランス良く摂り入れることが大切。野菜・果物などに含まれる植物性タンパク質について解説します。
植物性タンパク質を増やすメリットとは?
人の体内でつくれない「必須アミノ酸」をバランス良く含む点で、動物性タンパク質では肉・卵・魚・牛乳・乳製品、植物性タンパク質では大豆・大豆製品が“優等生”。この点で、動物性タンパク質は野菜・果物などに含まれるタンパク質よりも優れています。だからと言って、動物性タンパク質ばかり摂取するのは、健康を守る上で避けた方がよいのです。
これまでの学術研究によって、動物性タンパク質ばかり摂る人と比べて、植物性タンパク質も摂り入れている人の方が、長生きすることが報告されています。なぜなら、肉・卵・魚・牛乳・乳製品には動物性脂肪も多く含まれているからです。動物性脂肪の摂りすぎは疾病や肥満の原因となります。これに対し、豆類・野菜・果物は脂肪分も摂取エネルギーも少なく、太りにくいというメリットがあります。さらに、食物繊維やポリフェノールなども豊富で、これらが健康増進に寄与していると言われています。
豆類は植物性タンパク質の宝庫
植物性タンパク質と言えば、真っ先に思い浮かぶのが大豆。大豆には100gあたりにタンパク質が33g含まれています。大豆以外の豆類もタンパク質を多く含みます。ソラマメ、インゲンマメ、エンドウ豆が代表選手。ソラマメには100gあたり26g、エンドウ豆には21.7gも含まれています。
米や麦といった穀類もタンパク質が豊富。特に小麦粉には100gあたり8~9g含まれています。日頃の食事でパンやパスタなどによって、タンパク質を摂っているわけですね。意外と知られていないのがソバ。ソバ粉には100g中に12g含まれています。このほか、えん麦(オートミール)やキヌアには約13g、ライ麦や玄米にも10g以上のタンパク質が含まれています。
<豆類・穀類の主な例:100gあたりのタンパク質含有量>
- 大豆(全粒) 33g
- ソラマメ(全粒) 26g
- エンドウ豆(全粒)21.7g
- ソバ粉(全層粉) 12g
- 小麦粉(薄力粉) 8~9g
タンパク質が摂れる野菜
野菜や果物、キノコにもタンパク質が含まれていることは、あまり知られていません。まず、タンパク質を豊富に含む野菜を紹介します。乾燥野菜はワラビ・トウガラシ・ゼンマイ・トマトが含有量の上位。干しワラビには100gあたり20gのタンパク質が含まれ、乾燥野菜のなかでトップです。
生鮮野菜または調理野菜は、ブロッコリー・切り干しダイコン・ニンニク・芽キャベツ・ヨモギ・モロヘイヤ・ナズナ・ホウレンソウ・モヤシ・トウモロコシなど。ニンニクは100gあたり約6g、ブロッコリーは約5gのタンパク質を含みます。また、青汁原料の明日葉やケールもタンパク質が豊富。明日葉には100gあたり3.3g、ケールには2.1g含まれています。明日葉もケールも栄養価の高い食材として知られていますが、タンパク質も多く含んでいるのですね。
<主な例:100gあたりのタンパク質含有量>
- 干しわらび 20g
- ドライトマト 14.2g
- 切り干しダイコン 9.7g
- ニンニク(生鮮) 約6g
- ブロッコリー(生鮮)約5g
- 芽キャベツ(生鮮) 5.7g
<青汁原料:100gあたりのタンパク質含有量>
- 明日葉(生鮮) 3.3g
- ケール(生鮮) 2.1g
タンパク質が摂れる果物
タンパク質は果物にも含まれています。ドライフルーツと生鮮果実に分けて見ていきましょう。ドライフルーツでは、クコ・アンズ・ナツメ・バナナ・マンゴー・イチジク・ブドウなどがタンパク質を豊富に含みます。生鮮フルーツでは、アボカド・ドリアン・ココナッツ・カシスなど。アボカドには100gあたり2.1g含まれています。このほか、アサイー・サクランボ・バナナ・キウイフルーツ・メロンなども1g以上のタンパク質を含みます。
<ドライフルーツの主な例:100gあたりのタンパク質含有量>
- クコ 12.3g
- アンズ 9.2g
- バナナ 3.8g
- ブドウ 2.7g
<生鮮果実の主な例:100gあたりのタンパク質含有量>
- アボカド 2.1g
- ドリアン 2.3g
- バナナ 1.1g
- キウイフルーツ 1~1.1g
- メロン 1~1.1g
タンパク質はキノコ類にも豊富
キノコ類もタンパク質が豊富というと、意外に思うかもしれませんね。マイタケは乾燥タイプが100gあたりに21.9g、生が2g。シイタケは乾燥タイプが21.2g、生が3g前後です。このほか、キクラゲ・ヒラタケ・シメジ・マッシュルーム・エリンギなどにもタンパク質が含まれています。
<キノコ類の主な例:100gあたりのタンパク質含有量>
- マイタケ 乾燥21.9g/生2g
- シイタケ 乾燥21.2g/生約3g
- キクラゲ 乾燥6.9g/生0.7g
- マッシュルーム 生2.9g
- シメジ 生2.5~2.7g
動物性・植物性タンパク質をバランス良く摂る
ここまで解説してきたように、動物性タンパク質と植物性タンパク質にはそれぞれメリットとデメリットがあります。このため、どちらか一方を食べればよいというわけではありません。健康のためには、両方をバランス良く摂ることが大切。それぞれのメリットを生かす上で、毎日の食事でタンパク質の摂り方についても工夫してくださいね。