私たちの体にとって欠かすことのできない「たんぱく質」。プロテインをはじめ、たんぱく質を高含有した食品がブームです。プロテイン市場の動向やたんぱく質の基礎知識について解説します。
プロテインブームの背景
たんぱく質補給食品の代表選手はプロテイン。近年、プロテインがブームですが、その背景は何でしょうか。
まず、筋トレブームが挙げられます。体づくりを行う際に筋トレにプロテインの摂取をプラスすると、より効率的だからです。
次に、コロナ禍の影響が挙げられます。テレワークが増え、外出の機会が減るなど、健康維持が困難になっています。健康・美容のためにプロテインを勧める食品企業が増えたことも、プロテインブームに拍車をかけました。
国内のプロテイン市場は930億円
調査会社(株)富士経済の調査によると、2021年のプロテインパウダーの国内市場規模は930億円と推計されます。前年よりも13.8%も増加。今後も市場は拡大を続け、2026年には1,500億円規模に達すると予想しています。
たんぱく補給食品の国内市場については、2011年の558億円から21年に2,216億円に急拡大。26年には3,218億円になると予想されています。
3大プロテインはホエイ、カゼイン、ソイ

プロテインは使用する原材料によって、大きく3種類に分けることができます。
ホエイプロテインは、牛乳から精製されます。ヨーグルトを数日間、冷蔵庫に入れておくと上澄み液が出てきますよね。この液体をホエイと呼びます。ホエイに含まれるたんぱく質がホエイプロテインです。
カゼインプロテインは、牛乳に含まれるカゼインから精製されます。カゼインは、牛乳からホエイと脂肪分を取り除いた不溶性の固形成分で、牛乳に含まれるたんぱく質の約8割を占めます。
大豆(ソイ)プロテインは、大豆のたんぱく質の部分だけを粉末化したもの。水分・脂質を減らして、効率的にたんぱく質を摂取できるようにしています。
賑わうたんぱく質補給食品市場

たんぱく質補給食品のブームを牽引するのはプロテインですが、それ以外にも多様な商品が登場し、市場を賑わせています。
静かなブームが続いているのが豆乳です。豆乳は、大豆を水に浸してすりつぶし、煮詰めた汁から繊維質を除去して得られた飲料。植物性たんぱく質を効率的に摂取できて、吸収率が高いのが特徴です。豆乳にはたんぱく質のほか、イソフラボンも豊富に含まれています。
ヨーグルトもたんぱく質補給食品として人気です。なかでも、ギリシャヨーグルトはしっかりとした食感が特徴で、一般的なヨーグルトと比べて2倍程度のたんぱく質を含んでいます。
このほかにも、クッキーやビスケット、乳飲料、アイスクリーム、スープなど、たんぱく質を高含有させた商品が登場しています。
たんぱく質はどのくらい摂ればいいの?

たんぱく質は「炭水化物」「脂質」とともに、3大栄養素の1つ。体内でアミノ酸と呼ばれる最小単位に分解され、吸収されます。アミノ酸には、体内で合成できないために食事から摂取しなければならない必須アミノ酸が9種類あります。
大豆や牛乳、豚肉・鶏肉・牛肉などは、すべての必須アミノ酸をバランス良く含み、優れたたんぱく源として知られています。
毎日の食事で、たんぱく質をどのくらい摂取する必要があるのでしょうか。厚生労働省の食事摂取基準2020年版によると、総エネルギー量に占めるたんぱく質由来のエネルギー量の割合は、男女ともに49歳までが13~20%、65歳以上が15~20%。
「推奨量」は、64歳までの成人男性が65g/日、65歳以上が60g/日。成人女性は50g/日です。
摂り過ぎると健康上のリスクも

たんぱく質は必要不可欠な栄養素ですが、摂り過ぎは逆効果です。
食品で摂取したたんぱく質のうち、過剰なものは分解されて窒素となり、アンモニアに変わり、尿として排出されます。たんぱく質を過剰に摂取すると窒素も多くなり、腎臓に負担をかけます。
たんぱく質もエネルギーを持つ栄養素であるため、摂り過ぎるとカロリーの過剰摂取にもつながります。たんぱく質補給食品によっては、たんぱく質以外に糖質や脂肪分を含みますので、大量に摂取すると脂肪を増やす原因となります。
植物性のオーガニック製品も
有機原料をお求めの方には、植物性のオーガニックプロテインがオススメ。オーガニックプロテインは、有機栽培による大豆やエンドウ豆などを原材料に使用しています。オーガニック原料を使用した豆乳も売られています。
また、遺伝子組み換え大豆を避けたい方には、非遺伝子組み換え大豆を使用した商品も販売されています。
基本は肉・魚・乳製品・大豆製品、プロテインや豆乳でプラス

たんぱく質摂取の基本は毎日の食事から。良質なたんぱく質を豊富に含む食材に、豚肉・牛肉・鶏肉、マグロ・カツオ・サバなどがあります。チーズやヨーグルトといった乳製品、大豆製品の納豆や豆腐もオススメです。
もう少し補給したい方には、プロテインや豆乳をはじめとするたんぱく質補給食品がサポートしてくれます。健康維持のために、たんぱく質を適切に摂るように心がけましょう。