ステルスマーケティングって何? 取り締まりは?

「ステルスマーケティング」という宣伝手法が問題となっています。ステルスマーケティングは略して「ステマ」と呼ばれます。消費者をだます悪質な手口であり、海外諸国で厳しく禁止されていますが、日本では野放しの状態が続いてきました。そこで、消費者庁はステマを取り締まるため、新たな規制の導入を決定しました。ステマをめぐる動向について解説します。

タレントやインフルエンサーを隠れ蓑に宣伝

ステマとは、事業者の広告であることを隠して、タレントや著名人、インフルエンサーと呼ばれる影響力を持つ人などに宣伝してもらう手法です。

なぜ、ステマは問題視されるのでしょうか。

例えば、人気女優が自身のアカウントのインスタグラムで、「このサプリメントを試してみて、体重が5㎏も落ちて驚いています!」と書き込むと、その女優のファンは「彼女の意見だから信頼できる」と信じて、サプリメントを購入しようと思うでしょう。これに対し、事業者の広告であることがわかれば、購入意欲は幾分低下することになります。

ステマは事業者の広告であることを伏せ、第三者の公正・公平な意見と見せかけて、消費者の購入意欲をかき立てます。その結果、消費者の適切な商品選択を妨害します。ステマは消費者にとってデメリットしかないことから、世界中で問題となっています。

グルメサイト、化粧品、サプリメント・・・

ステマとして有名なのが、今から10年ほど前にインターネット上のグルメサイトで発覚した事件。クチコミ代行業者が、費用を支払った外食店の評価を高めに付けたことが判明し、大きな関心を集めました。

このほか、近年では、化粧品や健康食品、サプリメント、雑貨などの分野でもステマが流行。ステマによって急激に業績を伸ばした販売会社も少なくないとみられています。

ステマで売上が2割、ランキングが20位も上昇

ステマが横行しているのは、通常行われる事業者による広告と比べて、その効果が大きいからです。

消費者庁の調査によると、広告業界には、ステマによって大手ECサイトの売上ランキングが20位ほど上がったり、売上が少なくとも20%増加したりするという見解があります。

また、インフルエンサーに聞いた結果、広告主からステマを依頼されたことのある方は全体の41%を占めていました。そのうちの45%が、実際に依頼を受けたことがあると回答しています。日本ではステマが横行している状況がうかがえます。

特にSNS上では、ステマの疑いのある事例が確認されています。ツイッターやインスタグラムで商品の紹介とともに、ハッシュタグに「#拡散希望」「#〇〇〇円の報酬」などを入れて不正レビューを募集しているケースなどは、典型的なステマと言えるでしょう。

日本の消費者はステマの“カモ”に

海外諸国ではステマの規制が整備されています。OECD加盟国の名目GDP上位の国で、ステマの規制がないのは日本だけです。米国・ドイツ・イギリス・フランス・イタリア・カナダ・韓国などでは既に規制が導入され、厳しく取り締まっています。

このため、ステマを行う国内外の事業者にとって、日本は格好のターゲットとなっています。日本の消費者は、悪質な手口の“カモ”にされ続けてきたわけです。

2023年3月にステマ規制を告示、遅くても秋までにスタート

これまで景品表示法により、「このサプリメントを飲めば1カ月で8㎏も痩せられる」などの大げさな効果をうたう表示や、実態のない「通常価格」と比較した特売セールなどの表示を取り締まってきました。

しかし、事業者の広告であることを隠して宣伝する行為自体を規制する規定がなく、取り締まることができませんでした。

こうした現状にメスを入れようと、消費者庁は景品表示法(景表法)にステマ規制を導入することを決定しました。2023年3月に告示し、周知期間を設けて、遅くとも23年秋を目処にスタートする予定です。

「広告」「PR」「プロモーション」をチェックして

新たな規制は、景表法の「指定告示」にステマを追加するという内容。表示がステマと認定された場合、消費者庁は事業者に対し、違法な表示であることを消費者に周知したり、再発防止策を構築したりすることを命令します(措置命令)。ただし、課徴金は課せられません。

新たな規制が本格的にスタートするまでの間に、事業者はステマの疑いのある表示を削除するか、または「広告」「PR」「プロモーション」などと明記し、事業者の広告であることを消費者が判断できるようにしなければなりません。

つまり私達に出来る防衛策としては、「広告」「PR」「プロモーション」の文字を確認し、広告宣伝か個人の主体的記事か判断することです。

困難なステマの排除

新たな規制が導入されれば、抑止力が働き、ステマの多くが市場から消えると予想されています。しかし、完全に排除されるとは限りません。一見したところ、ステマかどうかがはっきりしない巧妙な手口も多数存在するからです。

このため、タレントやインフルエンサーが推奨しているようなケースについては、引き続き、「ひょっとしたらステマかも」と冷静に考えてみるようにしましょう。

ABOUTこの記事をかいた人

フリーライター。食品、サプリメント、医薬品、医療、通販などの分野を中心に取材・執筆活動。玉石混交の情報が氾濫する中で、正しい情報の発信を目指します。千葉ロッテマリーンズを応援。仕事で疲れた時は、MISIAさんの歌が一番の癒し。