導入:当社で扱う商品に対して、お客様からさまざまなご質問を頂きます。特に「天然マグネシウム」は人気商品の一つで、興味深い質問がいくつか届いています。例えば「にがりで豆腐はできるけど、マグネシウム水溶液でもできますか?」「にがりの成分とマグネシウム水溶液の違いは何?」などです。ご質問はされていないものの、これらについて疑問を持っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。そこで、実際にマグネシウム水溶液で豆腐が作れるのかを試してみました。
マグネシウムとは
マグネシウムは、体にとって必要なミネラルの一種です。体内に存在するマグネシウムの約50~60%が、リン酸マグネシウムや炭酸水素マグネシウムとして骨に沈着しています。さまざまな食べ物に含まれるマグネシウムの吸収は、主に小腸で行われます。不要になったマグネシウムは腎臓で排泄されます。
マグネシウム水溶液とは
マグネシウム水溶液とは、マグネシウムを水に溶かした液体です。溶けた物体(マグネシウム)のことを溶質、溶解した物体(水)を溶媒といいます。溶質と溶媒を合わせたものが溶液です。水溶液は無色透明で時間が経っても濃度が変わらず、どの場所でも濃度が同じという特徴があります。
【実験1】豆乳にマグネシウムを入れると固まるの?
実際に豆乳にマグネシウム水溶液を入れると固まるかどうかを調べました。その実験レポートの詳細と結果をお伝えします。
マグネシウムをどれくらい入れると豆乳は固まるの?
実際にマグネシウム水溶液と豆乳を使って、液体からどのような変化があるかを見ていきます。
(条件)
- 豆乳は無調整、大豆固形分 8%以上のものを使用
- 常温の豆乳を使用
- マグネシウム水溶液は「天然マグネシウム ミネラル濃縮液」を使用
- 豆乳100ccに対して1~30滴まで1滴ずつどんどん加えていく
マグネシウム水溶液の滴数 | 豆乳の変化 |
1~5滴 | サラサラしている |
6~10滴 | サラサラしている |
11~15滴 | サラサラしている |
16~20敵 | サラサラしている |
21~25滴 | ほんの少しとろみを感じる |
26~30敵 | ほんの少しとろみを感じる |
結果、豆乳は液体から固体にはなりませんでした。豆腐を作るための条件として、豆乳を加熱する必要があるようです。
マグネシウム水溶液を加えるだけでは固まらないのは、加熱していないからかもしれません。実際に豆腐を作るには、どんな工程があるのかを調べてみました。
豆腐はどうやって作るの?
豆腐は、材料があれば自宅でも簡単に作れることをご存じでしょうか。大豆から作るのか、豆乳から作るのかによっても風味が変わるのが豆腐作りの楽しいところです。大豆から作る場合はどんな大豆を使うのかによっても味の変化を感じることがあります。
ここでは、手軽に作ることができる豆乳を使った豆腐の作り方を紹介します。
豆乳で作る豆腐
豆乳を使ったざる豆腐の作り方から紹介します。豆乳は、成分無調整のものを用意します。また、大豆固形成分10%以上のものがおすすめです。
(必要な材料と道具)
- 豆乳:2カップ(400cc)
- にがり:約小さじ1杯
- さらしまたは木綿の布など
- ざる
- おたま
- 計量カップ
- 木べら
- 料理用温度計
(作り方)
- 中火から弱火で焦がさないよう混ぜながら豆乳を70℃~75℃に温める
- なべ底へにがりを入れ木べらで豆乳を混ぜる ※にがりを入れ10秒ほど混ぜる
- かき混ぜ終えたらすぐに蓋をして10分待つ ※10分経っても固まっていない場合は、さらに5分待ち様子を見る
- 10分待っている間に網付きバットにさらし(ガーゼなど)をセットしたざるを用意する
- 豆乳が固まっていることを確認し、ふきんに豆腐の元を移す
- 水気を切りやすくするためにふきんの4点の端をつまみ軽くひねって10分待つ
- しっかり水気が切れたことが確認できたら完成
【実験2】豆乳を加熱してマグネシウム水溶液を入れたら固まるか?
豆乳から豆腐を作るには、加熱する必要があります。これを踏まえ、下記の条件で再度実験を行ってみました。
(条件)
- 豆乳は無調整、大豆固形分 8%以上のものを使用
- マグネシウム水溶液は「天然マグネシウム ミネラル濃縮液」を使用
- レンジを使い豆乳100mlを加熱する(A)
- (A)にマグネシウム水溶液を1~30滴まで1滴ずつどんどん加えていく
(結果)
レンジで温めた豆乳に12滴ほど入れた時点で、急に豆乳が凝固しました。手元に温度計がなかったため何℃の豆乳だったのかは不明ですが、レンジのメーカーの説明書を確認するとおおよそ80℃近い温度になっていた可能性があります。加熱しすぎた豆乳にマグネシウムが反応し、一気に固まったため炒り卵のような状態になったと考えられます。試しに味を確認してみましたが、豆腐らしい味ではなくやや苦い感じがしました。そこで、もう少し条件を変えてチャレンジしてみました。
あらかじめ豆乳ににがりを加えて加熱するとどうなるか?
レンジを使って豆腐を作る場合には、あらかじめ豆乳ににがりを加えて加熱する方法がほとんどです。レシピ通りに行えば、豆腐が作れるかもしれません。
(条件)
- 豆乳:100ml(無調整、大豆固形分8%以上のものを使用)(A)
- マグネシウム水溶液:20滴(天然マグネシウム ミネラル濃縮液)(B)
- AとBを耐熱容器に入れ、500Wのレンジで最初は30秒で、その後は10秒ずつ計2分加熱する ※レンジで豆乳が急激に沸騰するのを防ぐため
- 軽くラップをする
- 3分余熱で様子を見る
(結果)
秒数 | 豆乳の様子 |
30秒 | とろみはあるが固まらない |
31~40秒 | とろみは強くなるが固まらない |
41~60秒 | とろみは強くなるが固まらない |
61~70秒 | ボンとレンジ内で音がし固まり始める |
71~80秒 | 緩いが固まっている |
※本来は2分間加熱の予定でしたが、これ以上加熱すると爆発する気がしたので中止し3分間余熱(レンジ内)で様子を見ました。
ラップを開けると、うっすら透明な液体があり、その上と容器のふちに爆発音がしたときに付着したものが見えます。スプーンですくってみると、固まっています。木綿というよりは絹ごしのような感じです。味は、苦味が感じられおいしくありません。天然マグネシウム1滴は、おおよそ0.05mlにあたる量になると思います。つまり約10mlを入れたことになります。豆乳から豆腐を作るには、凝固剤となるマグネシウムの濃度と熱、タンパク質の割合(%)のバランスが大事です。にがりとして「天然マグネシウム」を使用することは控えた方がよさそうです。
にがりとは
にがりは、海水から食塩を取った残りのもので塩化マグネシウムが主成分になります。広辞苑でにがりを調べると、「海水を煮詰めて精製した後に残る母液」と表現されています。にがりは、微量のミネラルが含まれた粗製海水塩化マグネシウムと海水から塩化マグネシウムだけにしたものを精製し純度を高めたものの2種類です。
にがりといっても市販されているものによって、含まれる成分が異なります。これは、汲み上げた海水を利用し、天日干しや釜茹でなど熱を加え煮詰める方法で作られますが、使う海水に含まれる成分の違いがあるためです。食用塩公正競争規約によると、ナトリウム(Na)・カリウム(K)・マグネシウム(Mg)・カルシウム(Ca)・塩素(Cl)・硫酸(H2SO4)・窒素(N)を主成分とし、それ以外の成分を1%以上含まないものが、にがりとされています。
どうして塩化マグネシウムやにがりで豆乳が固まるの?
豆腐は、簡単にいうと豆乳を固めたものです。豆乳を固めるために、凝固剤が必要になります。
凝固剤には6種類あります。
- 硫酸カルシウム
- 塩化マグネシウム
- グルコノデルタラクトン
- 塩化カルシウム
- 硫酸マグネシウム
- 粗製海水塩化マグネシウム(塩化マグネシウム含有物)
グルコノデルタラクトン以外のものは塩で反応する凝固ですが、グルコノデルタラクトンは酸に反応して凝固する特徴があります。グルコノデルタラクトンは、豆乳の中に入れると溶け出し徐々にグルコン酸が生成されます。グルコン酸はpHを下げてpH 4.2~4.5にするため、タンパク質は溶けなくなり固まるのです。
まとめ
「天然マグネシウム」(マグネシウム水溶液)でも、豆乳を加熱すると豆乳が固まることがわかりました。ただ、にがみが残ることもあり「おいしい豆腐ができます」とは言い切れないです。本来、「天然マグネシウム」は飲み物や食べ物に入れて摂取することを前提としていますので、今回は実験として楽しんで読んでいただけると嬉しいです。また、豆乳や牛乳を加熱した後に入れる場合は、凝固しやすくなるということがわかりましたので、もしソイラテやホットミルクに入れる際は滴数入れてみて、様子を見ながら使用してくださいね。