「パントテン酸」と聞いてもピンとこない方も多いのでは?ビタミンの1種であるパントテン酸は、私たちの健康にとって必要不可欠な栄養素。バランスの良い食生活を送っていれば欠乏する心配はありませんが、偏った食事が多い方は注意が必要です。パントテン酸の重要性について解説します。
パントテン酸とは?

ビタミンB群の1種のパントテン酸。水に溶ける(水溶性)ビタミンの一つです。パントテン酸の名称は、ギリシャ語の「どこにでも存在する」を意味する言葉に由来します。
パントテン酸はもともと、1933年に酵母の成長を促進する物質として発見されました。その後の研究により、パントテン酸が不足するとラットの成長が遅くなったり、鶏が皮膚炎を発症したりすることがわかり、ビタミンの1種であると判明していきます。
名称の由来の通り、パントテン酸はさまざまな食品に含まれています。これに加えて、私たちの体内の腸内細菌によってもわずかながら合成されます。このため、偏った食事を摂らない限り、不足することはありません。
パントテン酸はどのような働きをするの?
パントテン酸は「コエンザイムA」などの補酵素を構成する成分として、私たちの体内で重要な働きをします。
補酵素は英語でコエンザイムと言います。サプリメントの原料に使用される「コエンザイムQ10」も補酵素の一つです。補酵素は文字通り、酵素を補う役割を持ち、酵素が体内で十分に働くために不可欠なもの。食品からしっかりと摂取する必要があります。
補給するなら栄養機能食品がオススメ
こうした働きを持つことから、パントテン酸は消費者庁の栄養機能食品制度の対象であり、一定要件の下、食品にその効果を表示することが認められています。
栄養機能食品制度では「パントテン酸は、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です」という表示を定めています。同時に、「本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください」という注意喚起表示も必須とされています。
パントテン酸と同じビタミンB群のナイアシンやビオチンも栄養機能食品制度の対象であり、同様の表示が認められています。もし、あなたが「最近外食が多くてビタミンB群の不足が心配」と感じていたら、栄養機能食品でこれらの栄養素を補給することがオススメです。
というのも、栄養機能食品ならば、1日あたりの不足量を適切に補給できるからです。一般的なサプリメントや健康食品の場合は、必要以上の量のパントテン酸が含有されているケースもあり、適切な補給にならないことがあります。
これに対して、「水溶性ビタミンならば、摂取しすぎても体外に排出されるから大丈夫」と思っている方もいるでしょう。しかし、これは間違った情報を鵜呑みにしていると言えます。食事からのパントテン酸の過剰摂取による健康被害はほとんど報告されていませんが、サプリメントによって大量に摂取した場合はその限りではありません。
不足するとどうなる?
一方、パントテン酸が欠乏すると、私たちの体にどのような影響が出るのでしょうか。
パントテン酸が不足すると、細胞内のコエンザイムA(補酵素)の濃度が低下します。その結果、成長が止まったり、手や足のしびれ、頭痛・不眠・疲労、胃の不快感を伴う食欲不振などが起こったります。
ただし、必要以上に摂取しても、健康に良い効果をもたらすわけではなく、むしろ弊害が心配されます。基本的に、ビタミン類は欠乏すると体に悪影響がはっきりと表れますが、摂り過ぎると健康被害が生じます。このため、適切な摂取量を知り、適量を補給することが大切です。
パントテン酸を豊富に含む食品

では、パントテン酸は1日あたりに、どのくらい摂取すればよいのでしょうか。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、1日あたりの目安量は成人女性(18歳以上)で5mg。男性の場合は18~49歳が5mg、50歳以上が6mgです。
パントテン酸はさまざまな食品に含まれていますが、特に豊富に含む食品を紹介します。100gあたりで見ると、肉類のレバーが上位に並びます。もっとも多いのが鶏のレバーで、100gあたりに10.1mgを含みます。豚や牛のレバーにも多く含まれています。高級食材のフォアグラも同様です。
このほか、干しシイタケ、チーズホエーパウダー、パン酵母、からすみ、米ぬか、卵黄、ひきわり納豆、茶などにも多く含まれています。
偏った食事を避けることが大切
パントテン酸は聞き慣れない栄養素の一つですが、私たちの体を正常に機能させるために必要不可欠なものなのです。
健康を守るためには、パントテン酸など各種のビタミン類を適切に食事から摂取することが基本です。ぜひ、野菜・穀類・肉類・魚介類などのバランスを考えた食事を心がけてくださいね。