インターネット通販で買い物をするときに、あなたはどのようなキャッシュレス決済によって商品代金を支払っていますか?コンビニでの後払い決済、電子マネー、コード決済など多種類のキャッシュレス決済があります。便利な反面、さまざまな消費者トラブルが発生しています。どのような点に注意すればよいのでしょうか?具体的なトラブル事例やその傾向を紹介します。
後払い決済では定期購入トラブルが多い

政府のPIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)には、全国の消費者の相談が登録されています。2025年3月28日に開催された内閣府の消費者委員会・専門調査会では、国民生活センターからキャッシュレス決済に関する相談の現状が報告されました。
まず、後払い決済から見ていきましょう。後払い決算は、ネット通販で注文した商品が届いた後に、コンビニや金融機関で支払う方法。代表的なトラブルとして、次のような事例があります。
「SNSを見ていて育毛剤の広告が表示された。『通常1万2,000円の商品が1,980円で購入できる』とあったので、販売サイトにアクセスして申し込んだ。支払いはコンビニ後払い決済にした。すぐに申込完了メールが届いたが、『2回受け取りが条件の定期購入です』と記載があった。広告には、2回受け取りが条件とは書いていなかったと思う」。
後払い決済に関するトラブルは、定期購入契約に関するものが多いという特徴があります。この要因の1つとして、決済事業者による販売サイトのチェックが甘いことが考えられます。また、決済金額が少額なことから、被害に遭った方はあきらめる傾向にあります。
一方、販売サイト側では、トラブル発生によって後払い決済事業者から契約を切られても、別の決済事業者と契約して、同様の販売を続けることが可能なことも、トラブルが後を絶たない要因とみられます。
詐欺に悪用されるプリペイド式電子マネー
次に、プリペイド式電子マネーのトラブル事例を紹介します。プリペイド式電子マネーは、スマホアプリやカードに現金をチャージして買い物をするという方法です。
プリペイド式電子マネーに関するトラブルを見ると、詐欺に悪用されるケースが目立っています。
例えば、パソコンのサポート詐欺などがあります。パソコンの使用中に突然、警告画面が表示され、慌てた方もいるのではないでしょうか。警告画面に記載している電話番号へかけたところ、サポート代金としてコンビニでプリペイド式電子マネーを買うように指示され、コード番号を伝えてしまい、全額奪われるというケースがあります。この場合、支払った金額を取り戻すことはほぼ不可能となります。
「〇〇ペイ」のコード決済で高額の被害も
QRコードやバーコードを読み取って支払うコード決済は、今やキャッシュレス決済の主流となりつつあります。コード決済には、大手ECモールなどが運営している「〇〇ペイ」などがあります。トラブルの代表例として、次のような相談が見られます。
「ネット検索で見つけたサイトで7,000円のシャンプーを購入した。しばらく待っても商品が届かないのでサイトに問い合わせたところ、『配達業者が紛失した。完売商品なのでQRコード決済アプリに返金する』との返事があった。指示に従って、無料通話アプリで通話しながら言われるままに番号を入力したり、ボタンをタップしたりしているうちに、QRコード決済アプリに紐づいた銀行口座やクレジットカードから、合計70万円を送金していた」。
これはコード決済を悪用し、スマホの通話アプリの仕組みに詳しくない方を“カモ”にした詐欺と考えられます。LINEなどの通話アプリで通話し、返金するための操作であると説明しながら、実際には送金させていたというケースです。意外と思われるかもしれませんが、この手法による被害は多数報告されています。
後払い決済のトラブルが増加中
相談件数の推移を見ると、特に増加しているのは後払い決済に関するものです。このため、国民生活センターでは2025年7月2日、消費者に向けて注意喚起しました。
後払い決済に関する相談のうち、販売方法に問題があるものは、2024年度に約4万4000件に上りました。前年度の約3万4000件から、一気に1万件ほど増加しています。
クレジットカードを持たない方でも気軽にネット通販で買い物ができることから、後払い決済の利用者は多いのですが、対応がいい加減な販売サイトから注文すると、思いがけないトラブルに遭ってしまいます。
また、販売サイト側が真摯に対応しないため、決済事業者に相談しても、「うちは請求をしているだけ。販売業者と話してほしい」という対応になりがちです。
注文前に販売サイトをしっかりと確認しよう

キャシュレス決済でトラブルに遭わないようにするためには、注文前に信用できる販売サイトかどうかを十分に確認しましょう。
定期購入コースなのかどうかをはじめ、解約方法、連絡先(実際に連絡が取れるかどうかも含む)などを確認するとともに、証拠を残すために、申し込み画面をスクリーンショットによって保存しておくことが大切です。
悪質な事業者の場合、あなたが不慣れな通話アプリなどに誘導することもありますので、怪しいと感じたら相手の話に乗らないようにして、最寄りの消費生活センターへ相談しましょう。