ポリフェノールと聞いて、「体に良い成分」「フルーツや野菜に含まれている成分」などをイメージすると思います。ポリフェノールは自然界に8,000種類以上も存在し、それぞれの野菜やフルーツなどに特有のポリフェノールが含まれています。私たちが日ごろ口にする食品からは、どのようなポリフェノールを摂取できるのでしょうか。
「フレンチ・パラドックス」をご存じですか?

ワインが好きな方は、「フレンチ・パラドックス」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
フランス人の食肉の消費量は世界トップクラス。なんだか体に悪そうで、生活習慣病が心配になりますよね。ところが、EUのほかの国と比べて、フランス人の心疾患による死亡率は低い傾向にあります。
世界で最も食肉をよく食べる国の1つなのに、心疾患による死亡率が低いというのは、いったいどういうことでしょうか?なんだか矛盾していると感じますよね。
その背景として、フランス人がワインをたくさん飲むことがあります。赤ワインには、ブドウの皮や種に含まれるポリフェノールが多く、これが要因となり、心疾患の発症を抑制しているのではないかと考えられているのです。これを「フレンチ・パラドックス」と呼びます。
ポリフェノールは植物の色素・苦味・渋味成分
ポリフェノールとは、どのような成分なのでしょうか?簡単に言うと、ポリフェノールは、植物が光合成をする際に作り出す色素成分や苦味成分、または渋味成分のことです。
植物が色素成分や苦味成分などを産生する理由について考えてみましょう。動物と違って、植物は自生している場所から動くことができませんが、害虫が寄ってきたり、強い紫外線を受けたりします。
当然、我が身を守るために、何らかの防衛策を講じなければなりません。そこで、果皮などに存在する色素成分や苦味成分などによって、身を守っているわけです。
前述の赤ワインに話を戻すと、赤ワインにはアントシアニンというポリフェノールがたくさん入っています。白ワインと違って、赤ワインはブドウの皮も原材料に使用して製造されることから、皮に多いアントシアンが豊富に含まれているわけですね。
日本人に馴染みが深いカテキンやイソフラボン

ポリフェノールは自然界に8,000種類以上が存在しています。代表的なものに、カテキンやイソフラボンなどがあります。カテキンは緑茶に多く含まれ、日本人がたくさん摂取しているポリフェノールの1つ。イソフラボンは大豆に多く、豆腐をはじめとした大豆製品にもたくさん含まれています。
ブドウのアントシアニン、タマネギのケルセチン、温州ミカンのヘスペリジン、ピーマンのルテオリン、カカオのカカオポリフェノールなども、代表的なポリフェノールとして知られています。
このように、私たち日本人にとって親しみのある食材にも、さまざまなポリフェノールがたくさん含まれているわけですね。
ザクロのエラグ酸・タンニン

色素以外では、ウコンのクルクミン、ザクロのエラグ酸、コーヒーのクロロゲン酸などがポピュラーなポリフェノールとして知られています。これらは、サプリメントや健康食品の主成分としても使用されています。
ザクロは栄養価の高い食品として評価され、エラグ酸やザクロタンニンなどが豊富に含まれています。エラグ酸を豊富に含む食品として、ザクロのほか、イチゴやブドウ、ナッツ類などがあります。タンニンは渋味成分です。ザクロのほか、ブドウの種子などにも豊富に含まれています。
朝食・昼食・夕食に分けて摂取
かつてから「野菜やフルーツに含まれる成分は健康に良い」と言われてきましたが、国内外の研究によって、ポリフェノールの具体的な健康効果がわかってきました。
その研究成果は、日本では機能性表示食品や特定保健用食品(トクホ)に活用され、どのようなポリフェノールにどのような効果があるのかが、知られるようになってきました。
ポリフェノールは日頃の食事からしっかりと摂ることが基本です。その際に、野菜やフルーツは朝食・昼食・夕食など小まめに分けて摂取することが大切です。それは、ポリフェノールが私たちの体内で作用する時間が比較的短いからです。
ポリフェノールは摂取してから数時間ほどで、その効果が大幅に低減することがわかっています。このため、1回の食事で大量に野菜やフルーツを食べるよりも、朝食・昼食・夕食に分けて、それぞれ適切な量を食べることが推奨されています。
日本人の食生活も長寿の理由?

今や日本は世界トップクラスの長寿国となりました。私たちは日常的にポリフェノールがリッチな緑茶や大豆製品をはじめ、温州ミカンやブドウなどのフルーツを口にしています。ひょっとしたら、そうした食生活も影響しているのかもしれませんね。
あなたの健康維持・増進のために、ポリフェノールがリッチな食材を日ごろの食卓に乗せるようにしてみましょう。