機能性表示食品制度の課題とは? トクホとどう違うの?

紅麹をめぐる問題を機に、機能性表示食品制度の在り方が問われています。同制度はどのような課題を抱えているのでしょうか?また、特定保健用食品(トクホ)とどう違うのでしょうか?

機能性表示食品制度はガラス張りの仕組み

紅麹をめぐる問題は今のところ(2024年4月28日現在)、健康被害の発生原因や、製品との因果関係がはっきりしていません。しかし、健康被害を生じた方が摂取した製品が機能性表示食品であったことから、機能性表示食品制度の在り方が問われています。

機能性表示食品制度は消費者庁が所管。国への届出によって、機能性をうたうことが可能となる仕組みです。届け出る情報は、安全性・機能性の科学的根拠、品質管理の状況、表示内容など。

消費者庁は届出書類に不備がないことを確認した上で、同庁ホームページ上に届出情報を公開します。世の中のすべての人が届出情報を閲覧できます。このような仕組みは世界的に見ても珍しく、世界最先端のガラス張りの制度といわれています。誰もが届出情報をチェックすることが可能で、安全性や機能性の根拠に不審な点があれば、国へ申し出ることができます。

トクホは国による許可制

機能性表示食品制度が届出制であるのに対し、トクホ制度は安全性や機能性を国が審査し、表示を許可する仕組みとなっています。許可された製品にはトクホマークを貼付します。

機能性表示食品制度は2024年4月28日現在で、約8,000件の届出が公開されています。一方、トクホの許可件数は約1,000件で、ここ数年は大幅に減少しています。その背景には、トクホの場合、製品を市場へ投入するまでに、億単位のコストと長い期間を要することがあります。

表示できる機能性の内容は、どちらの制度も似ています。ただし、機能性表示食品の場合、「50代以上の膝の違和感を軽減」「成人女性の骨の成分維持に役立つ」というように、トクホよりも試験結果を忠実に反映させた表示内容となっています。

不十分な健康被害情報の収集・報告

紅麹をめぐる問題を機に、消費者庁では機能性表示食品制度の見直しを進めています。紅麹を配合した機能性表示食品を摂取した人で、健康被害が生じたためです。

同制度の問題点は多岐にわたります。紅麹の問題を通じて浮かび上がった課題に加え、2015年4月の制度開始以来、これまでに指摘されてきた主な課題を紹介します。

まず、安全性対策については、健康被害情報の収集・報告の在り方が挙げられます。機能性表示食品の届出ガイドラインには、速やかに国へ報告する旨が記載されていますが、義務ではなく、事業者の判断に委ねています。具体的にいつまでに報告すべきかといったルールも設けられていません。

野放しの状態にある新規成分

また、トクホの場合、新たに使用される成分(新規成分)については、内閣府の食品安全委員会が安全性を評価します。これに対し、機能性表示食品制度にはそうした仕組みがなく、野放しの状態にあります。

このほか、機能性表示食品では食経験によって安全性を確認する手法が認められていますが、各社の届出情報を見ると、わずか1年~数年程度の食経験をもって安全性を確認したとするケースが少なくありません。これは、届出ガイドラインに、何年以上の食経験が必要であるのかを明記していないためと考えられます。

散見される不適切なヒト試験

次に、機能性に関する課題を見ていきましょう。

機能性表示食品の機能性については、最終製品(販売する商品)を用いたヒト試験、または研究レビューによって評価します。研究レビューとは、データベース上で国内外の研究成果を収集し、総合的に判断する手法。ヒト試験と比べて費用が格段に小さくて済むことから、届出のほとんどが研究レビューによるものとなっています。

ヒト試験によって確認した場合は、研究論文が公開されます。その中には、問題が指摘されるものもあります。

例えば、「誰に」「どのようなことをして」「誰と比べ」「どのような結果となったか」という基本的な点があいまいなケースや、被験者数が少なすぎるケースなどがあります。

また、ヒト試験の被験者は健常者であることが求められますが、被験者に病者が含まれていたケースも発覚しています。

論文1報だけなのに総合判断?

研究レビューについても、多くの課題が指摘されています。

研究レビューは、世界中の多数の研究論文を収集した上で、総合的に機能性の有無を判断する手法です。それにもかかわらず、収集した論文が1報しかない、または2~3報しかない届出が多数存在しています。これでは名ばかりの研究レビューとなり、信頼性が揺らいでしまいます。

さらに、収集した論文の試験方法が不適切なケース、自社にとって都合の良い研究論文のみを収集するケースも散見されます。

トクホだから信頼できる?

今回は機能性表示食品制度の課題を紹介しましたが、トクホ制度も問題点を抱えています。これらは国の制度ですが、機能性表示食品だから、トクホだから信頼できるという先入観は持たないことが賢明です。

健康食品を利用する場合は、あなた自身がさまざまな情報をチェックし、納得して商品を選択するようにしましょう。

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フリーライター。食品、サプリメント、医薬品、医療、通販などの分野を中心に取材・執筆活動。玉石混交の情報が氾濫する中で、正しい情報の発信を目指します。千葉ロッテマリーンズを応援。仕事で疲れた時は、MISIAさんの歌が一番の癒し。