インターネット通販などで見られる「送料無料」という表示に対し、運送業界では不満が大きく、表示の見直しを求めています。これを受けて、消費者庁は「送料無料」表示の見直しを検討し、2023年12月19日に結論を取りまとめました。「送料無料」表示をめぐる動向について解説します。
商品配送には必ず経費がかかる
インターネット上の販売サイトやショッピングモールで買い物をする際に、気になるのが送料ですよね。実店舗で商品を購入した場合は持ち帰ることができますが、通販の場合は商品を自宅まで届けてもらう配送サービスが必要です。
商品配送にかかる料金が送料ですが、販売サイトでは「送料無料」と表示していることが一般的となっています。購入する私たちにとって「送料無料」はうれしいのですが、よくよく考えて見ると、商品配送には必ず経費がかかることから、「本当に無料なの?」「なぜ無料にできるの?」という疑問も浮かんできます。
送料設定の仕組みは複雑!

通販の送料設定の仕組みは単純ではありません。まずはデジタルショッピングモールについて見てみましょう。
アマゾンを例にとると、アマゾン公式の「Amazon.co.jp」で注文するか、それ以外のマーケットプレイス出品者から注文するかによって送料の仕組みが違ってきます。
「Amazon.co.jp」の場合、注文金額2,000円以上で送料が無料となり、2,000円未満では410円または450円がかかります。プライム会員の場合は注文金額に関係なく無料です。これに対し、マーケットプレイス出品者の場合、送料は出品者が自由に設定できます。このため、非常識と言えるほどの高額な配送料金を設定しているケースもあります。
一般的な販売サイトの場合はどうでしょうか。この場合も、送料の設定は単純ではありません。というのも、通販会社が配送業者へ支払う運賃は、取り扱う商品の量や配送の頻度によって変わってくるからです。
これに各通販会社の販売戦略も加わり、各販売サイトでは「送料無料」、「〇〇〇円以上の注文で送料無料」、「全国一律〇〇円」など独自の設定を行っています。配送する地域によっても送料は異なり、大都市圏は安く、地方は高くなります。
また、「送料無料」と表示していても、通販会社が全額負担しているケースもあれば、一部を商品代金に含めているケースもあります。
配送業界が「送料無料」表示に反対する理由とは?
今では「送料無料」表示は一般的となっていますが、これにクレームをつけたのが配送業界です。
2024年4月からトラックドライバーの時間外労働が制限され、ドライバー不足によって輸送力が低下するという「物流の2024年問題」が社会的課題に浮上。これに対応するため、政府は2023年6月2日に「物流革新に向けた政策パッケージ」を策定。対策の1つに、「送料無料」表示の見直しが盛り込まれました。
これを受けて、消費者庁は意見交換会を立ち上げて検討を重ねました。意見交換会では、物流業界の団体が「送料無料」表示の見直しを強く要求しました。その理由に挙がったのが、商品が無料で配送されているという誤解が消費者間に広がり、物流業界の地位が低下するという懸念。さらに、トラックドライバーの運賃が上昇しない一因という声も聞かれました。
消費者庁、「送料当社負担」「送料込み」の表示を推奨
ただ、そうした物流業界の主張は根拠が乏しく、消費者庁は2023年12月19日、「送料無料」表示の見直しについて結論を出し、法的規制を見送ると発表しました。
法的規制は困難とされたわけですが、消費者庁では「送料無料」と表示する場合、通販会社にその説明責任を求める方針を示しました。つまり、「送料無料」表示を行う場合には、誰が送料を負担しているのかを明記することを求めたわけです。または、販売促進のために「送料無料」表示を行っていることが伝わるように、「〇〇キャンペーン中のため送料無料」という表示を求めています。
さらに、「送料無料」表示に置き換わる表示方法として、通販会社が送料を負担することを明確にした「送料当社負担」という表示や、商品代金に送料も入っていることがわかる「〇〇円(送料込み)」といった表示を推奨しています。
消費者庁が示した方針は罰則を伴う義務ではありません。しかし、配送業者は「物流の2024年問題」で頭を痛めており、個々の通販会社にとっても協力しなければならない状況にあります。今後は、表示方法を切り替える動きが出てくると予想されます。
あなたもできるところから協力を!

日頃、インターネット上の通販サイトやショッピングモールで買い物を楽しむことが多いと思いますが、「送料無料」表示を見かけたら、誰が負担しているのだろうと思いをめぐらせてみましょう。
今回は「送料無料」表示をめぐる動きを見てきましたが、「物流の2024年問題」に対しては、注文時に置き配やコンビニ受け取りなどを選択することで、あなたも貢献できます。まずは、可能な部分から行動を変えることが大切です。






