栄養バランスのとれた健康に良い食事とは?

家族や自分自身の健康を考えると、日々の食事をどうすればよいのかと悩みませんか?“健康に良い”という食品の情報が溢れ、何を信じてよいのかもわかりません。実は、栄養バランスが良くて健康に役立つ食事はとてもシンプル。その基礎知識を紹介します。

同じ食品をたくさん食べるのは危険

例えば、納豆はビタミンKやビタミンE、カリウムなどが豊富で、もちろん健康に良い食品です。テレビの情報番組で、納豆が健康に良いと紹介されると、その翌日にスーパー店頭から納豆がなくなります。

しかし、同じ食品ばかりたくさん食べてもあまり意味がありません。ビタミン・ミネラルは必要以上に摂取しても無駄になり、むしろ過剰摂取による健康被害を招いてしまいます。

健康のためには、特定の食品をたくさん食べるのではなく、栄養バランスが大切ということ。では、栄養バランスのとれた健康に良い食事とはどのようなものでしょうか。

とてもシンプルな世界共通の考え方

 

日本人の理想的な食事を説明する前に、海外の状況を見てみましょう。

米国には肥満の人がたくさんいて、心臓疾患やガンなどで死亡する人が多いです。そこで、米国国立がん研究所が1990年代に打ち出したのが、「デザイナーフーズ計画」。ガン予防に役立つ約40種類の食品を突き止めました。

現在、米国政府は健康的な食事をパターン化した「マイプレート」と呼ばれるフードガイドを作成し、国民に向けて発信しています。多くの先進諸国では米国と同じようなフードガイドを採用し、日本でも独自のものを作成しています。

それが「食事バランスガイド」です。

「食事バランスガイド」をご存知ですか?

野菜盛りだくさん1

日本人の理想的な食事内容については、農林水産省と厚生労働省が「食事バランスガイドライン」(図を参照)を作成し、活動を広げております。

「食事バランスガイド」では、1日に何をどのくらい食べればよいのかを示しています。ポイントは次のとおりです。

・主食(ご飯、パン、麺)はご飯ならば中盛りで、4杯程度。

・副菜(野菜、キノコ、イモ、海藻料理)は、5皿程度。

・主菜(肉、魚、卵、大豆料理)は、3皿程度。

・牛乳・乳製品は牛乳ならば、1本程度。

・果物はミカンならば、2個程度。

ところで、「食事バランスガイド」に沿った食生活を送ると、どのような効果が得られるのでしょうか。

全国11カ所の45~75歳の男女約8万人を対象とした調査結果が報告されています。それによると、食事バランスガイドをもっとも順守しているグループは、もっとも順守していないグループと比べて、死亡するリスクが15%も低いことがわかりました。つまり、長生きできる可能性が高まるということですね。

栄養バランスのほか、日本人の食事に特有の問題もあります。それは塩分の過剰摂取。毎食しょう油を使う人、みそ汁が大好きな人、濃い味が好きな人では、間違いなく塩分を取りすぎています。塩分の取りすぎは脳卒中などの原因になり、塩分を控えることが大切です。

厚生労働省「食事バランスガイド」について

https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou-syokuji.html

子どもの「イライラ」は朝食抜きも原因に

Adorable upset little kid with brown eyes wearing casual clothes and hat against blue background looking at camera

近頃、朝食を抜く子どもが増えていますが、これは心配ですね。栄養バランスだけでなく、エネルギー不足から、身体のだるさや気力の低下につながります。心の健康や学習の面でも問題が生じる可能性が高くなります。

全国の小学生から大学生までを対象とした調査では、毎日朝食を食べる人とそうでない人を比べ、精神状態の違いを調べました。その結果、毎日朝食を食べる人では「イライラする」「集中できない」といった訴えが少なかったそうです。

また、岡山県内の中学生を対象とした調査では、朝食の摂取と学業成績の関連を探りました。中学2~3年生については、朝食をほとんど毎日食べる子どもは、週に2~3回またはほとんど食べない子どもと比べて、通信簿の平均点が高かったそうです。

高齢者にはタンパク質が必要

五目豆

高齢の両親には、どのような食事が良いのでしょうか。日本人の高齢者をめぐっては、低栄養や『フレイル』が大きな問題となっています。『フレイル』とは、年をとって体や心の働きが弱くなった状態のこと。

高齢者に必要な食事も基本は「食事バランスガイド」に沿った内容ですが、これに加えて、タンパク質を含む食品を意識して取ることがポイントとなります。

高齢になると筋肉量が減少し、日常生活で必要な動作が困難になります。さらに、筋タンパクの合成が遅くなるので、タンパク質を多めに摂取することが必要です。魚・肉・豆料理をしっかりと取るようにしましょう。

ここまで説明してきたように、「食事バランスガイド」に沿った食事と塩分控えめの食事は、もちろんすべての世代にとっての基本となります。これに加えて、子どもには朝食、高齢者にはタンパク質が豊富な食品を意識した食生活が、あなたと家族の健康を守ることにつながるのです。

食事内容を見直して家族の健康を守る

Nutritionist with young woman client talking about meal plan and healthy products during a medical consultation in the office

栄養バランスのとれた健康に良い食事は、とてもシンプルですが、実行に移すことが課題といえます。今回の記事を読んで、まず、食生活を見直す必要性に気づくことが大切なのではないでしょうか。

忙しくて手間をかけられない日は、食事を補完する意味で、健康食品やサプリメントの利用も有効です。今一度、日ごろの食事内容を見直してみませんか?

ABOUTこの記事をかいた人

フリーライター。食品、サプリメント、医薬品、医療、通販などの分野を中心に取材・執筆活動。玉石混交の情報が氾濫する中で、正しい情報の発信を目指します。千葉ロッテマリーンズを応援。仕事で疲れた時は、MISIAさんの歌が一番の癒し。