ポリフェノールとは?

健康ブームで注目されているポリフェノールですが、「ポリフェノール入りチョコレート」「ポリフェノールが豊富なコーヒー」といった宣伝を見かけます。ところで、このポリフェールとはどのようなものでしょうか?ポリフェノールの基礎知識と上手な摂取方法について解説します。

ポリフェノールってなんだろう

ポリフェノールは、植物が光合成を行うときにつくられる成分です。ほとんどの植物に存在しますが、とくに色彩の濃い野菜や果物に多く含まれています。あなたもご存知の緑茶の「カテキン」や大豆の「イソフラボン」も、ポリフェノールの一種です。植物は害虫に襲われても、また日光の強い紫外線を受けても、その場から走って逃げることができません。そこで、色素成分や苦味・渋味成分を作り出して、自分の身を守っています。これらの成分のもとになるのが、ポリフェノールというわけです。

ポリフェノールは、とくに果物の皮や種、野菜の茎や葉などに多く含まれています。料理番組で「おいしく食べるために野菜の“アク”を抜きましょう」といいますが、ポリフェノールはこの“アク”にもたくさん含まれています。ということは、私たちは日ごろの食事で、ポリフェノールが豊富な部分を捨てているわけですね。少しもったいない気がします。

ポリフェノールの種類

ポリフェノールが実際に何種類あるのかは、はっきりしていません。現時点で判明しているだけでも8,000種類以上あります。ポリフェノールは、色素成分の「フラボノイド系」とそれ以外に大きく分けることができます。

フラボノイド系の代表的なポリフェノールには、次のようなものがあります。

(カッコ内は当該ポリフェノールを豊富に含む食品の例)

  • カテキン(緑茶)
  • アントシアニン(ブドウの果皮やブルーベリー)
  • イソフラボン(大豆)
  • カカオポリフェノール(カカオ)
  • ケルセチン(タマネギやリンゴ)
  • ルチン(そば)

色素以外の非フラボノイド系(フェノール酸系、タンニン類)の代表的なポリフェノールには、次のようなものがあります。

  • クルクミン(ウコン)
  • クロロゲン酸(コーヒー)
  • エラグ酸(イチゴやザクロ)
  • リグナン(ゴマ)
  • クマリン(パセリや明日葉)

ポリフェノールによる健康への効果

ポリフェノールと聞くと、反射的に「体にいい成分でしょ」と思いますよね。そのとおりで、ポリフェノールを豊富に含む食品を摂取すると、私たちの体のなかで健康に役立つ作用が発揮されます。ポリフェノールには多くの種類があり、種類によって化学構造が違います。健康に及ぼす効果も、カテキン、アントシアニン、イソフラボンなど、それぞれのポリフェノールによって大きく違ってきます。

ここで押さえておきたいポイントは、ポリフェノールはひと括りにできないこと。

体全体の調子を保つためには、イソフラボンが豊富な豆腐や納豆だけをたくさん食べてもダメ。大切なのは、いろいろな野菜や果物を食べて、さまざまな種類のポリフェノールをまんべんなく摂取することです。これを基本に置きながら、あなたが特に補いたいポリフェノールを含む食品を日ごろの食事にプラスしてみてはいかがでしょうか。その際に、サプリメントなどの健康食品を代用することも有効な手段となります。

ポリフェノールは体内で吸収されるの?

フランス人の肉類の摂取量は世界トップクラスなのに、心臓病で死ぬ人が少ないのは、ポリフェノールをたくさん含む赤ワインの飲酒量が多いからだという有名な学説があります。また、日本人の長寿は、イソフラボンなどが豊富な大豆製品をしっかり摂っていることも一因と考えられています。ポリフェノールが健康に役立つという研究成果は多数報告されているのですが、その一方で長い間、研究者を悩ませ続けてきた問題があります。それは、「ポリフェノールは腸から吸収されないのでは?」という疑問です。しかし、最近の研究により、腸で吸収されやすいポリフェノールと、吸収されにくいポリフェノールがあることがわかってきました。

吸収されやすいポリフェノールには、カテキン、クロロゲン酸、イソフラボン、フラバノールなどがあり、吸収率は5~30%程度。腸から吸収されたポリフェノールは血中に取り込まれます。一方、アントシアニンやタンニンなどは、吸収されにくいポリフェノールとして報告されており吸収率は0.1%程度です。

ここで「腸からほとんど吸収されないアントシアニンのようなポリフェノールは、健康の役に立たないのでは?」と、疑問が湧きませんか?しかし、吸収率が悪いポリフェノールについても、多くの研究によって健康に役立つこと自体はわかっているのです。その要因の1つとして、吸収されずに腸内にとどまったポリフェノールが腸内で働くことが挙げられます。一方、それだけでは説明のつかない健康への効果も報告されています。吸収率が悪いにもかかわらず、さまざまな健康への効果を発揮するポリフェノール――これを「ポリフェノール・パラドックス(矛盾)」と呼ぶ研究者もいます。

上手な摂取の仕方とは?

最後に、ポリフェノールを上手に摂取するためのポイントを紹介します。「ポリフェノールをたくさん含む野菜や果物を夕食でたくさん食べているから、私は大丈夫」と思っていませんか?答えはNOです。上手な摂取方法は、朝食・昼食・夕食ともに、ポリフェノールを豊富に含む野菜や果物をこまめに取ること。なぜなら、私たちの体のなかでポリフェノールが働く時間は短く、3時間ほど経過すると効果が大きく減退してしまうから。長時間にわたって効果を持続することができないため、3度の食事でこまめに摂取すると効果的です。ポリフェノールは果物の皮や種、野菜の葉や茎などにたくさん含まれています。でも、いくら健康に良いからと言っても、種や茎などを食べるのは気が進みませんね。

そこで、サポートしてくれるのがサプリメントなどの健康食品。皮・種・茎・葉などから成分を抽出するため、食事から摂取しにくいポリフェノールを効率的に補うことができます。「えっ、果物の皮?農薬は?」と思う方もいるはず。農薬が心配な方は、有機栽培による原料を使用した製品を利用するとよいでしょう。

ポリフェノールを賢く摂取して、あなたの悩みの軽減にお役立てください。

ABOUTこの記事をかいた人

フリーライター。食品、サプリメント、医薬品、医療、通販などの分野を中心に取材・執筆活動。玉石混交の情報が氾濫する中で、正しい情報の発信を目指します。千葉ロッテマリーンズを応援。仕事で疲れた時は、MISIAさんの歌が一番の癒し。