エナジードリンクが人気の理由と落とし穴

エナジードリンクはスタイリッシュなデザインと独特の味わいが受けて、若い人を中心に支持を広げています。夏場には1日に2本、3本と飲む方もいますが、サイダーやコーラなどと違って健康被害も心配です。エナジードリンクが人気の理由と、その落とし穴について解説します。

エナジードリンクと栄養ドリンクの違い

エナジードリンクには定義がありませんが、一般的にカフェインやビタミン類などが入った炭酸飲料を指します。スポーツ時に、または仕事や勉強が大変なときに利用される傾向があります。「もう少しがんばろう」という場合、真っ先に栄養ドリンクを思い浮かべる方も多いはず。

さて、エナジードリンクは栄養ドリンクと似ていますが、どう違うのでしょうか。どちらもカフェインを配合していますが、エナジードリンクはカフェイン以外にビタミン類やアミノ酸などを添加。栄養ドリンクはタウリンなどをプラスしています。

次に分類の仕方で見ると、エナジードリンクは「清涼飲料水」。ジュースやサイダーなどと同じ扱いとなります。一方、栄養ドリンクは「医薬部外品」です。医薬部外品のため、もともとはドラッグストアや薬店・薬局で販売されていましたが、規制緩和によってコンビニでも扱われるようになっています。栄養ドリンクは「疲労回復」といった効能効果を表示できます。これに対し、エナジードリンクは清涼飲料水であり、効能効果を表示できません。

エナジードリンクが人気の理由

コンビニ店頭をのぞくと、さまざまな種類のエナジードリンクが並んでいます。価格は通常の清涼飲料水と比べて1.5~2倍以上と割高です。なぜ、エナジードリンクは支持されているのでしょうか。その理由として、主に次の2点が挙げられます。

1つ目は、容器のデザインや広告がスタイリッシュで、「カッコいい」イメージがあること。商品のネーミングも、オシャレなものやインパクトのあるものが多いです。これに対して栄養ドリンクのCMはどうでしょうか。汗だくの男性がスポーツしたり、山に登ったりするシーンが印象的ですね。かつては「24時間戦えますか」という宣伝が一世風靡しましたが、働き方改革が叫ばれる現在では完全にNG。容器のデザインを考えても、「人前で飲むのはちょっと…」となりそうですね。

2つ目の理由は、独特の味を楽しめて、喉を潤すという清涼飲料水の本来の機能を備えていること。エナジードリングは容量が200㎖以上のものが多く、ガブ飲みしたい方に向けた500㎖サイズの商品も登場しています。

エナジードリンクの落とし穴

若い層を中心に人気のエナジードリンクですが、問題もあります。

最大の問題は、カフェインの過剰摂取につながりやすい点です。厚生労働省がまとめた情報によると、先進国では成人(妊娠中の女性を除く)のカフェイン摂取量を1日あたり「最大400㎎程度」とする傾向にあります。これ以上摂取すると、健康被害が発生する可能性が出てくるわけです。

では、エナジードリンクにはどのくらいカフェインが含まれているのでしょうか。海外商品では100㎖あたり70~80㎎程度のカフェインを含むものもあり、注意が必要。これに対し、日本国内で製造された商品では100㎖あたり10~50㎎程度含むものが主流です。

もし、カフェイン含有量が100㎖あたり50㎎で300㎖サイズのエナジードリンクを1日に3本飲めば、それだけで簡単に「400㎎」を超えてしまいます。過剰摂取となり、健康を害する可能性が出てくるわけです。

これまでにエナジードリンクによる死亡例は、国内外を含めて4件報告されています。4件とも20代の若者でした。このため、オランダやイギリスではエナジードリンクを購入できる年齢を定めています。この点、日本の規制はかなり緩い状況にあります。

利用する場合の注意点

エナジードリンクを利用する場合、まず、カフェインの過剰摂取にならないように注意することが必要です。そのためには容器に表示されているカフェイン含有量を確認しましょう。同時に、コーヒーや紅茶などを飲む方は、それらに含まれるカフェイン含有量も考慮しなければなりません。コーヒーには100㎖あたり60㎎、玉露には160㎎、紅茶には30㎎のカフェインが含まれています。

喉が乾く夏場には、エナジードリングを何本も飲む方が増えそうですが、これは危険です。そうした方は、カフェイン含有量が少ない製品を選ぶようにしましょう。最近ではノンカフェインのエナジードリンクも販売されていますので、特に未成年者の場合、そうした商品の方が安心できます。

また、妊娠中の女性はそもそもカフェインを避けた方が賢明ですので、当然、エナジードリンクはおススメできません。1日あたりのカフェイン量が300㎎を超えると、流産や新生児が低体重となるリスクが高まります。

紅茶・コーヒー・緑茶の方が健康的

エナジードリンクはカフェインだけでなく、カロリーの過剰摂取にも注意が必要です。人気ブランドのエナジードリンクは、ジュースやサイダーなどと同程度のカロリーを含みます。毎日飲んだり、たくさん飲んだりすると、カロリー摂取量も過剰となってしまいます。

このことから筆者はエナジードリンクをあまりおススメしていません。「もう少しがんばりたい」という時には、カフェインと健康に役立つポリフェノール類を含み、しかも低カロリーである紅茶・コーヒー・緑茶などを適量飲む方が健康的と言えるでしょう。

ABOUTこの記事をかいた人

フリーライター。食品、サプリメント、医薬品、医療、通販などの分野を中心に取材・執筆活動。玉石混交の情報が氾濫する中で、正しい情報の発信を目指します。千葉ロッテマリーンズを応援。仕事で疲れた時は、MISIAさんの歌が一番の癒し。