「カリウム」ってどんな栄養素なの?

私たちが健康的な日常生活を送る上で欠かせない栄養素の1つに、ミネラルがあります。主なものとしてカルシウム・マグネシウム・亜鉛・鉄などがありますが、カリウムも欠かせないミネラルです。カリウムとはどのような栄養素なのでしょうか?栄養機能食品や特別用途食品を例に挙げて見ていきましょう。

ミネラルは体内で合成できない

ミネラルとは、生体を構成する酸素・水素・炭素・窒素を除いたものの総称。「無機質」と呼ばれることもあります。

ミネラルは、体の各組織を構成したり、正常に体が機能したりする上で必須の栄養素です。私たちは体内でミネラルを合成することができません。このため、日頃の食事から摂取することが必要となります。

不足すると欠乏症を起こしたり、体調が悪化したりしますが、だからと言って過剰に摂取すると、過剰症を起こすこともあり危険です。

通常の食事をすればカリウムの欠乏症も過剰症も心配無用

カリウムについては、健康な人の場合、下痢や大量の汗をかいたりしない限り、欠乏症が起こることはほとんどありません。また、カリウムはさまざまな食品に含まれていますが、通常の食事で過剰摂取となる可能性は低いとみられています。

カリウムにはさまざまな作用がありますが、特に日本人は海外と比べてナトリウムの摂取量が多いことから、ナトリウムの排泄を促すカリウムの摂取が重要と考えられています。

カリウムを多く含む食品

「食事摂取基準2020年版」によると、カリウムの1日あたりの「目標量」は、男性の15歳以上が3,000㎎以上、女性では2,600㎎以上と設定されています。

カリウムはさまざまな食品に含まれています。野菜・フルーツをはじめ、豆類やイモ類、肉類や魚介類など多岐にわたります。

野菜は、ホウレンソウ・ニンジン・ニラ・小松菜・シソ・カボチャなど。特に切干大根はカリウムがリッチです。

フルーツでは、バナナ・キウイフルーツ・アンズ・イチジク・サクランボ・モモなどがあります。干し柿や干しブドウにも豊富に含まれています。

豆類を見ると、特に大豆製品に多く含まれています。納豆をはじめ、オカラ・湯葉・豆腐・豆乳などです。イモ類は、サツマイモ・ジャガイモ・ナガイモ・サトイモなどがあります。

魚介類は、サワラ・タイ・カンパチ・マグロ・メカジキ・カツオなど。肉類については、豚のモモやヒレ、牛肉のモモ、鶏肉のささみなどです。

海藻類にも多く含まれ、ワカメ・アオサ・コンブ・ヒジキのほか、焼きノリなどがあります。

栄養機能食品では「正常な血圧を保つのに必要な栄養素」と表示可能

カリウムは、ほかのミネラルとともに栄養機能食品制度の対象成分。栄養機能食品とし販売する場合、商品への成分配合量について国が定めた基準を順守しなければなりません。カリウムは下限値が840㎎、上限値が2,800㎎。つまり840㎎~2,800㎎の間ならば、企業の任意で配合量を決めることができます。

商品パッケージに表示できる有効性は、「カリウムは、正常な血圧を保つのに必要な栄養素です」。この表示の一部を切り取って、例えば「血圧を正常に!」などと表示することはNGで、違法となります。

有効性の表示とともに、注意喚起表示の記載も必須となります。カリウムを配合した栄養機能食品の場合、「本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。1日の摂取目安量を守ってください。腎機能が低下している方は本品の摂取を避けてください」と記載します。

カリウムは特別用途食品「経口補水液」の主成分の1

カリウムはナトリウムとともに、特別用途食品(病者用食品)である「経口補水液」の主成分でもあります。

具体的な配合基準を見ると、100mlあたりにナトリウム92~138mg、カリウム59~98mg、塩素106~212mg、ブドウ糖1.0~2.6g。また、ナトリウムとブドウ糖の濃度比については1:1~1:3.5と規定しています。

病者用食品として販売するためには、消費者庁による許可を得る必要があります。許可されると、商品パッケージに「感染性胃腸炎による下痢・嘔吐の脱水状態に適する旨」を表示できます。

一方、カリウムやナトリウムを強化した一般的な食品・飲料は、国が定めた基準に合致しておらず、国の審査も受けていないことから、病者用食品で訴求するような効果はありませんので、間違って利用しないように注意してくださいね。

健康な人には栄養機能食品がオススメ

腎機能が低下している方や高齢者では、医師がカリウムを制限することがあります。そうした方にとってはカリウムの摂取量に注意が必要となりますので、健康食品を利用する前に、必ず医師に相談して指示に従いましょう。

また、前述した特別用途食品の「経口補水液」も病者用ですので、健康な方は利用しないようにしてください。

健康な人でカリウムを補強したい場合は、栄養機能食品がオススメ。一般的なサプリメントの場合は過剰摂取となる恐れがあるため、配合量の上限値が設けられている栄養機能食品を利用しましょう。

ABOUTこの記事をかいた人

フリーライター。食品、サプリメント、医薬品、医療、通販などの分野を中心に取材・執筆活動。玉石混交の情報が氾濫する中で、正しい情報の発信を目指します。千葉ロッテマリーンズを応援。仕事で疲れた時は、MISIAさんの歌が一番の癒し。