プラントベース食品とは?

「大豆を使用したハンバーグ」「オーツ麦からつくったミルク」など、植物性の原材料を使用し、食肉や牛乳に似せて製造された加工食品が話題となっています。これらは「プラントベース食品」と呼ばれ、市場規模は年々拡大しています。プラントベース食品が注目されている理由や、商品パッケージの表示の注意点などについて解説します。

プラントベース食品と代替肉

プラントベース食品とは、植物性の原材料でつくられた食品のこと。国内では、「大豆ミート」「ライスミルク」「植物ツナ」をはじめとした多様な商品が流通しています。大豆・米・麦といった植物性の原材料を使用しますが、見た目や風味は食肉、牛乳、魚肉などとそっくりに仕上げています。かつては採食主義者やマクロビオティックに取り組む方などを中心に支持されてきました。しかし、今では一般消費者も健康面などを評価し、利用するようになっています。

もっともポピュラーなのが「代替肉」。大豆・小麦・エンドウマメ・ソラマメなどを原材料に用いてつくられます。大豆を使用した「大豆ミート」、小麦を使用した「グルテンミート」は消費者間で認知度が高まっています。植物性の原材料を使った代替肉を総称して、「プラント(植物)ベースミート」や「オルタナティブ(代替)ミート」、または「フェイク(偽)ミート」と呼びます。

ただし、「プラントベースミート=代替肉」ではありません。代替肉には、プラントベース食品のほかに、「培養肉」もあります。培養肉は、動物の可食部の細胞を培養してつくられます。また、タンパク源と広くとらえれば、昆虫食もあります。直近ではコオロギを原材料に使った菓子などが話題に上りました。

なぜ、注目されているのか?

プラントベース食品の人気は上昇中で、メーカー各社も取り組みを強化する傾向にあります。プラントベース食品は、「脱ミート」という世界的な潮流に乗って拡大。大手ハンバーガーチェーンをはじめ、外食業界でも食材として導入する動きが加速しています。農林水産省が公表した調査報告書(2019年度)によると、特に米国では市場拡大が顕著で、「プラントベースミート」の市場が今後15年以内に11兆円を超えると予想されています。

日本国内でも同様の動きが見られます。(一社)日本植物蛋白食品協会によると、粒状大豆タンパク質の生産量は、2010年の2万3,560トンから2020年には約3万6,000トンへと増加しています。代替肉を中心としたプラントベース食品の市場が拡大している背景には、次のような理由があります。

1つ目は、消費者の健康志向にマッチしていること。食肉や乳製品といった動物性の食材は取りすぎると、生活習慣病の原因となります。このため、植物性の食材を増やして、健康を維持するという動きが強まっています。

2つ目は、持続可能な食生活への貢献。世界規模で見ると、将来的に食肉は供給量が不足すると予測されています。この「たんぱく質危機(プロテイン・クライシス)」に対応するために、プラントベース食品が注目されているわけです。これに加えて、家畜の飼育・出荷などを含めると、二酸化炭素排出量を削減する観点でも評価されています。

商品パッケージの表示の注意点

国内のプラントベース食品市場を見ると、「大豆ミート」「ライスミルク」「代替バター・チーズ」「植物ツナ」などが売られています。これらについては、主な原材料として食肉・魚・牛乳・バター・チーズなどを使用していません。しかし、「100%植物性」であるかどうかは、十分に確認する必要があります。たとえば、商品名が「大豆でつくったミートボール」ならば、消費者の多くは「100%大豆を使用している」と考えがち。しかし、100%使用でない商品もあります。この場合、ほとんどの企業では使用割合を記載していますので、しっかりと確認しましょう。

また、食品添加物については、動物性のものが含まれていることもあります。この場合、表示ルールを順守している企業では、「原材料は植物性です(食品添加物を除く)」などと表示しています。「オーツミルク」「ライスミルク」「代替バター」「植物ツナ」などの表示も同様です。商品を選ぶ際には、商品パッケージの表示をよく確認することが大切です。

非遺伝子組み換え原料の確保は?

「大豆ミート」に代表されるプラントベース食品の今後の課題として、非遺伝子組み換え原料の確保が挙げられます。世界的にプラントベース食品の需要は拡大傾向にあります。一方、非遺伝子組み換え大豆などの流通量には限りがあるため、奪い合いとなる構図が予想されます。奪い合った結果、商品価格に跳ね返る可能性も十分にあります。今後、どのようなかたちで市場が形成されていくのか、気になるところです。

健康的な食事に貢献

近い将来、プラントベース食品は身近なものとして、多くの家庭の食卓に並ぶようになるでしょう。健康のために、取り入れてみてはいかがでしょうか。特に肉類やチーズ、バターなどを多く取る方にはおススメです。また、遺伝子組み換え食品を避けたい方は、商品パッケージの原材料欄などをしっかりと確認してから商品を選択するようにしましょう。

ABOUTこの記事をかいた人

フリーライター。食品、サプリメント、医薬品、医療、通販などの分野を中心に取材・執筆活動。玉石混交の情報が氾濫する中で、正しい情報の発信を目指します。千葉ロッテマリーンズを応援。仕事で疲れた時は、MISIAさんの歌が一番の癒し。