五大栄養素のひとつである「ミネラル」は、わたしたちの体に必要不可欠です。しかし、ミネラルがどんな働きを持ち、不足するとどのような症状が起きるのかご存知ですか?今回はミネラルの働きやミネラル豊富な食べ物について説明します。
「ミネラル」は五大栄養素のひとつ
ミネラルは、生きていく上で必要不可欠な栄養素です。
人間の体は、約95%が酵素・炭素・水素・窒素の4元素で構成されており、残りの約5%はミネラルで構成されています。自然界に存在するミネラルは、なんと100種類以上。その中で人間の体に必要なミネラルは全16種類あり「必須ミネラル」と呼ばれています。必須ミネラルと言われる栄養素は、カルシウム・リン・カリウム・硫黄・塩素・ナトリウム・マグネシウム・鉄・亜鉛・銅・マンガン・クロム・ヨウ素・セレン・モリブデン・コバルトです。
ミネラルの働きとは?
ミネラルは体を構成するだけでなく、身体機能にとっても重要です。必須ミネラルには「主要(多量)ミネラル」と言われる体内に比較的多いミネラルと、「微量ミネラル」というそれ以外のミネラルがあり、それぞれのミネラルが相互作用しながら代謝を行っています。
【主要(多量)ミネラル】
ナトリウム |
カリウム |
カルシウム |
マグネシウム |
リン |
イオウ |
塩素 |
【微量ミネラル】
鉄 |
亜鉛 |
銅 |
マンガン |
ヨウ素 |
セレン |
クロム |
モリブデン |
コバルト |
ミネラルの働きはそれぞれ違うため、全ての必須ミネラルをバランスよく摂取することが大切です。
ミネラルが不足するとどうなるの?
ミネラル不足は、だるさや集中力が続かないといった状態をはじめ、様々な体調不良を引き起こします。
カルシウム・銅・リンの不足による骨粗鬆症や、鉄分不足による貧血なども起きやすくなります。ミネラルは相互に作用しあっているため、特定のミネラル不足から起きる訳ではありません。また近年では、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー疾患が急増したのは、ミネラルをはじめとする複数の栄養素不足が関係しているとも言われています。
摂り過ぎNGなミネラル
先ほど「ミネラルをバランスよく摂取することが重要」だとお伝えしましたが、体に必要だからといって摂り過ぎても健康に良くありません。摂り過ぎに特に注意したいミネラルは下記の2つです。
●ナトリウム
日常生活で不足することはほとんどありません。ナトリウムは塩や醤油、漬物など様々な食材に含まれているため、摂り過ぎに注意しなければいけません。人間が生きていくために必要な塩分は1日あたり2g程度で、これは調味料を使用しなくても食材だけで摂取できる量です。日本人の食塩目標摂取量は成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満とされていますが、多くの人はそれ以上の食塩を摂取しています。ナトリウムの摂り過ぎは、高血圧や動脈効果などのリスクを高めます。
●リン
リンは歯や骨を構成する大切なミネラルです。リンも通常の生活で不足することはなく、過剰摂取に気をつける必要があります。リンは多くの食材に含まれているだけでなく、食品添加物としても使用されているため、知らないうちに摂り過ぎてしまう可能性があります。リンの摂り過ぎは、骨の代謝障害や副甲状腺機能などのリスクを高めます。リンの1日の摂取量は成人男性で1000~3000mg、成人女性の場合は800〜3000mgとされています。
ミネラルが豊富に含まれている食べ物
ミネラルをバランスよく摂るには普段の食生活を気をつけることが大切です。バランスの良い食事を取れば、ミネラルを十分に摂取することが可能です。現代を生きる人が不足しがちな4種類のミネラルが豊富に含まれている食材をご紹介します。
①カルシウム
【カルシウムを多く含む食べ物】
- 野菜:小松菜、菜の花、水菜、切り干し大根など
- 豆類:納豆、木綿豆腐、厚揚げなど
- 魚:骨ごと食べられる小魚
- 海藻類:ひじきやとろろ昆布など
- 乳製品:牛乳、チーズ、ヨーグルト
1日の目標摂取量は成人男性3,000mg以上、成人女性は2,600mg以上です。成長期の子どもは700mg〜1000mgと多くのカルシウムが必要です。しかし摂取しすぎると、他のミネラルの吸収が邪魔されてしまいます。骨や歯を構成している重要なミネラルであるカルシウムは、ミネラルの中で最も多く人の体に存在しています。
②カリウム
【カリウムを多く含む食べ物】
- 果物:バナナに最も多く、干し柿や100%ジュースも多く含まれている
- 野菜・いも:いも類は全体的に多い
- 肉・魚:特に刺身に多い
- 海藻類:ひじきやとろろ昆布、納豆など
- 調味料:黒砂糖、だし
- 乳製品:牛乳
1日の目標摂取量は成人男性3,000mg以上、成人女性は2,600mg以上です。カリウムは「血圧の調整」を行うミネラルと言われています。血圧が気になる方はカリウムを豊富に含んでいる食材を食べるようにしましょう。汗をかくと水分と一緒にカリウムも失ってしまうため、脱水症状になった時は、水分とカリウムの補給が必要です。
③鉄
鉄は2種類あり、肉や魚などの動物性食材に含まれている「ヘム鉄」と野菜や豆類などの植物性食材に含まれている「非ヘム鉄」に分かれます。ヘム鉄はタンパク質に包まれているため、非ヘム鉄と比較して吸収されやすいです。一方、非ヘム鉄は吸収率が非常に悪く、一緒に摂る食材の影響を受けやすいという特徴があります。
【ヘム鉄を多く含む食べ物】
- 肉:豚肉・牛肉・鶏肉など
- 魚:かつお・いわし・まぐろなど
- レバー類
【非ヘム鉄を多く含む食べ物】
- 豆類:大豆・小豆・ココアなど
- 野菜:緑黄色野菜(ほうれん草・小松菜など)
- 卵
- 貝類:しじみ・貝柱・ほたてなど
- 海藻類:海苔・わかめ・ひじきなど
1日の目標摂取量は年齢や月経の有無により異なりますが、男性は18~29歳で7.0㎎、30~69歳は7.5㎎、70歳以上の男性は7.0㎎です。女性(月経なしの場合)の場合は、18~29歳で6.0㎎、30~69歳は6.5㎎、70歳以上は6.0㎎です。鉄は「血液を作る」ミネラルなので、不足すると貧血を起こします。貧血になると、体が重く感じたり、息が切れやすくなる、顔色が悪くなるなどの症状がおきます。貧血予防には、鉄分だけでなくタンパク質や赤血球の合成に必要なビタミンB12や葉酸も摂取しましょう。
④マグネシウム
【マグネシウムを多く含む食べ物】
- 海藻類:ひじき、とろろ昆布、わかめ
- ナッツ類:アーモンド、カシューナッツ
- 魚:イワシなど
- 野菜:ほうれん草
- 豆類:納豆、豆腐など
1日の目標摂取量は男性の場合は18〜69歳は340mg〜370mg、70歳以上は320mgです。女性は18〜69歳で270mg〜290mg、70歳以上は270mgとなっています。マグネシウムは体内で合成できないミネラルなので、食材などから必ず摂取しなければいけません。しかし、年々マグネシウムの摂取量は減少していると言われています。マグネシウムは酵素の活性化に関与している他、体内のナトリウム、カリウム、カルシウムなどの濃度調整も行なっています。
サプリメントや健康食品を上手に使って、手軽にミネラル補給を。
ミネラルの働きや不足した際の症状などを紹介してきましたが「全てのミネラルを食事から摂るのは難しい」と思っている方もいるのではないでしょうか。そんな方にはサプリでの補給も一つの手段です。
まとめ
ミネラルは私たちにとって大切な栄養素で、中でも必要不可欠なミネラルは「必須ミネラル」と呼ばれています。必須ミネラルは不足しても多く摂り過ぎてもよくありません。そのため、バランス良く摂取することが大切です。夏に起きやすい熱中症は、水分だけでなくミネラル不足も影響しています。健康に過ごすためにも、ミネラル不足に気をつけて生活しましょう。