カフェインはどのくらいまでなら摂取しても大丈夫?

緑茶やコーヒーを飲み過ぎて眠れなくなったり、栄養ドリンクやエナジードリンクを飲み過ぎて体調がおかしくなったりしたことはありませんか?その原因はカフェインの過剰摂取。カフェインはある程度までならば、摂取しても健康上のリスクはないと言われていますが、過剰摂取すると悪影響が生じます。カフェインについて解説します。

カフェイン含有量が意外と多いのが「玉露」

カフェインは、コーヒー豆・カカオ豆・茶葉・ガラナなどに含まれる成分。コーヒーや茶葉から抽出されたカフェインは、コーラなどの清涼飲料水に、苦味の用途で食品添加物として利用されています。

カフェインを多く含むドリンク類は、エナジードリンク、コーヒー、緑茶など。エナジードリンクには100㎖あたりにカフェインが約30~300mg、コーヒーには60mg、紅茶には30mg含まれています。

エナジードリンクについては、商品によって含有量が大きく異なりますので、表示をよく読んでから購入しましょう。

茶類では「玉露」がもっとも多く、100㎖中に160mg含みます。せん茶・ウーロン茶・ほうじ茶が20mg、玄米茶が10mgです。

カフェインは睡眠に関わる「アデノシン」の働きを阻害 

カフェインを含むドリンク類を飲むと、頭がすっきりしたり、興奮した状態になったりします。このため、起床後や仕事の息抜きなどに、コーヒーやお茶を飲むわけですね。

カフェインは、神経を鎮静させる働きを持つ「アデノシン」という物質と化学構造が似ています。アデノシンは睡眠などに重要な役割を果たしているのですが、その働きが発揮されるためには、「受容体」と呼ばれる場所に結合しなければなりません。

しかし、アデノシンの構造と似ているカフェインが、その「受容体」に結合してしまう結果、アデノシンが結合できなくなり、神経を鎮静させる働きが阻害されます。このため、カフェインを含むドリンク類を飲むと、眠れなくなるのですね。

中枢神経や消化管を刺激、心拍数の増加や下痢も

ある程度の量ならば、エナジードリンクやコーヒー、緑茶を飲んでも問題ありませんが、カフェインを過剰に摂取すると、健康への悪影響が出てきます。

中枢神経系が刺激される結果、心拍数が増加して心臓がドキドキしたり、興奮したり、眠れなくなったりします。また、消化器官が刺激され、人によっては下痢や嘔吐を生じることもあります。

さらに、過剰摂取を長期にわたって続けると、人によっては高血圧のリスクが高まることも。妊娠中の方では、胎児の発育に悪影響を与えたりします。

健康な成人はコーヒーをマグカップ3杯まで

では、カフェインはどのくらいの量までならば、心配しなくてもよいのでしょうか。一方、どのくらい摂取すると健康に悪影響が出るのでしょうか。

実は、日本ではカフェイン摂取量の明確な基準や、具体的な摂取目安量を設定していません。そこで、海外の状況を紹介します。

世界保健機関(WHO)では妊婦さんに向けて、コーヒーの摂取量を抑えるように呼びかけています。1日のカフェイン摂取量が300mgを超える妊婦さんについては、流産や新生児の低体重リスクを抑えるために摂取量を制限するように注意喚起しています。

欧州食品安全機関は、健康な成人の場合、カフェインの摂取量が1回あたり200mgならば急性毒性の恐れはないと公表しています。習慣的な摂取については、妊婦さんなどを除く健康な成人の場合、1日あたり400mg以下ならば、健康上の懸念はないとの見解です。妊婦さんの場合は、1日あたり200mg以下ならば、胎児に健康上のリスクが生じないとしています。

カナダでは、次のように年代別に分けて説明しています。健康な成人は1日あたり400mg以下(マグカップ入りコーヒーで約3杯)、妊婦さんや授乳中の方、妊娠を計画中の方は300mg以下(同約2杯)、4~6歳は45mg以下、7~9歳は62.5mg以下、10~12歳は85mg以下を推奨しています。

ルイボスティーなどカフェインを含まないドリンクの活用も!

世界各国の基準を総合的に見ると、妊婦さんなどを除く健康な成人の場合は、コーヒーならば1日あたりマグカップ3杯までに抑えることが、健康のために大切と言えるでしょう。

コーヒーや緑茶は仕事・勉強の息抜きに欠かせませんが、健康を考えると、1日に何度かは、カフェインを含まないものを取り入れることをオススメします。

カフェインを含まない飲み物の代表的なものとして、ルイボスティー、杜仲茶、麦茶、ハトムギ茶などがあります。カフェインの摂り過ぎが気になる方は、これらも取り入れてみましょう。

また、農薬や化学肥料の使用が気なる方には、オーガニックのコーヒーやルイボスティーなどが流通していますので、活用してみてはいかがでしょうか。

カフェインの摂り過ぎは健康に悪影響を与えますので、特に妊娠中や授乳中の方は、くれぐれも注意してくださいね。

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フリーライター。食品、サプリメント、医薬品、医療、通販などの分野を中心に取材・執筆活動。玉石混交の情報が氾濫する中で、正しい情報の発信を目指します。千葉ロッテマリーンズを応援。仕事で疲れた時は、MISIAさんの歌が一番の癒し。