「お試し100円」「初回無料」などのインターネット広告を見て健康食品を購入したところ、定期購入が条件だったというトラブルが急増中。トラブルを避けるためには、優良な通販サイトを選び抜く目が必要です。そこで、安心して利用できる通販サイトの見分け方を解説します。
消費者相談が5万2,000件を突破

「お試し〇〇円」といった広告に引かれて、試しに健康食品を1回だけ購入してみようと思ったことはありませんか?でも、注意が必要。1回限りのお試し販売と思わせて、実は定期購入が条件だったというトラブルが多発しているのです。
もともとお試し販売も定期購入も、多くの通販企業が長年採用してきた正当な販売方法。問題は、それを悪用する業者の存在なのです。
2020年に国民生活センターへ寄せられた定期購入に関する相談件数は、5万2,000件(11月30日現在)を突破。急増し始めた2016年の1万3,673件から、4年間で4倍近くに。しかも、寄せられた相談は氷山の一角。実際のトラブル件数は、相談件数の20倍以上と言われています。
トラブル回避!パターンを知って自分を守ろう!
定期購入の仕組みを悪用した手法は、主に3つのパターンに分かれます。
一つ目は、「お試し100円」などと1回限りのお試し販売と見せかけて、実際には「最低4回の購入」などを条件とするケース。この場合、4回分の総額が請求されます。
二つ目は、購入回数の条件はなく、いつでも解約できると表示しているが、中途解約した場合には、初回分のお試し価格が通常価格に戻ってしまうケース。事実上の解約料として請求されるわけです。
三つ目は、解約は電話による手続きに限定しているにもかかわらず、電話がつながらないケース。連絡が取れずにいる間に解約期限が過ぎて、次回分を支払わざるを得なくなります。
国民生活センターによる3度の注意喚起も効果なし
2016年から、国民生活センターは3度にわたって注意喚起を実施。しかし、定期購入トラブルは減るどころか、年々増加しています。
背景には、新規参入するインターネット通販業者の増加も。さらに問題なのは、意図的に消費者を誤認させている業者の存在。業界・行政関係者の話を総合すると、特定の十数社に関する相談件数が突出して多いそうです。
では、特定の業者を取り締まれば解決するかと言うと、それほど簡単ではありません。と言うのも、そうした業者は行政処分を受けても、社名や屋号を変えるなどして同様の商法を繰り返すからです。
トラブル源となる通販サイトの特徴

トラブルを避けようと思えば、問題のある販売サイトを見抜く力を身に付けるしかありません。読者の皆さんが、自力で対応する以外に良い方法がないのです。
問題のある通販サイトには共通点が見られます。まず、広告で「お試し〇〇円」「初回無料」などと派手に表示している一方、さっと見て1回限りのお試し販売なのか、定期購入なのかが不明。そこから離れた場所に、定期購入であることを目立たないように、小さな文字で表示している点も共通しています。
返品方法や解約方法を記載したページへのリンクが、目立たないように貼られているのもよくあるパターン。また、解約を申し出るために電話してもつながらないという相談が増加中です。
次に、申し込みの最終確認画面の表示が不十分なことがあります。定期購入の契約条件が記載されていない事例や、「注文内容を確認する」などのボタンが設定されていない事例が報告されています。
定期購入トラブルを起こす通販サイトでは、健康食品の誇大な効果を派手に表示していることも共通点。誇大な広告で消費者の関心を引き、1回限りのお試し販売と見せかけて申し込み画面へ誘導する、という手法です。
利用しようとしている通販サイトがこれらに該当する場合は、“赤信号”が点滅していると考えてください。
安心できる通販サイトの共通点
次に、安心できる優良な通販サイトの特徴を見ていきましょう。
優良な通販サイトでは、広告で定期購入かどうかがひと目で分かるように表示しています。これと合わせて、定期購入で申し込んだ場合の価格を表示していることも共通点。もはやこの段階で、トラブル発生の心配はほぼないでしょう。
さらに、申し込みの最終確認画面でも定期購入であることを明記。単品購入だと勘違いした場合であっても、最終確認画面で気づき、修正が可能です。
何よりも安心できるのは、解約時の対応。優良な通販サイトでは、解約の条件・方法を分かりやすく表示しています。電話もつながりやすく、販売サイトによってはメールによる対応が可能な場合もあります。
トラブルを回避するためには広告を最後までよく読み、確認することが大切。「返品」「解約」のページも必ず目を通しましょう。
インターネット通販には、原則としてクーリング・オフ制度がありません。安心できる優良な通販サイトを見分けられるように、今回の情報を参考にしてくださいね。
特商法の改正法案を国会提出へ
定期購入トラブルの急増を受けて、消費者庁は取り締まりに懸命。しかし、“焼け石に水”の状況にあり、抜本的な対策を求める声が強まっています。
このため、消費者庁は次期通常国会へ特商法の改正法案を提出する計画です。消費者庁の検討会が取りまとめた報告書で、法改正の方向性が示されました。具体的には法執行の強化、解約を妨害する行為の禁止、解約権の民事ルールの創設などを提言。ガイドラインの改正も求めています。
本来は消費者にメリットが多い定期購入

本来、お試し販売も定期購入も、通販業界が工夫して生み出し、普及させてきた正当な販売方法。消費者にとっては、毎回購入するという面倒が省けたり、通常価格よりも安く買えたりするメリットがあります。
自分に合う健康食品の利用を習慣化し、ヘルシーな毎日を送る上で、ぜひ優良な通販サイトで定期購入のメリットを享受してください。