新型コロナウイルス感染症の流行は、まだまだ収まる気配がありません。新型コロナに不安を感じている方は多いのですが、そうした消費者心理につけ込むような健康食品の広告が後を絶ちません。コロナ禍に便乗した広告に引っかからないために、注意すべきポイントを解説します。
巷にはびこる誤解
健康食品に用いる成分には、免疫機能に働きかけると報告されているものもあります。機能性表示食品では「免疫機能を維持する働き」を訴求した届出もありますが、新型コロナに効くわけではありません。新型コロナだけでなく、インフルエンザや風邪を予防する効果も持っていません。大切なのは、勝手に拡大解釈をしないことです。
もし、健康食品で新型コロナやインフルエンザを予防できると思っているとしたら、まったくの誤解です。健康食品はあなたの「健康を維持・増進」するために存在しますが、医薬品のように疾病を予防・改善する機能はありません。
相次いだ逮捕や行政処分
新型コロナの流行に伴って、インターネット上で見られるようになったのが、「免疫力を高める」「新型コロナに効く」「インフルエンザを予防」といった健康食品の広告。
こうした表示は、医薬品医療機器等法(薬機法)や景品表示法に違反します。実際に、警察による逮捕・起訴、消費者庁による行政処分が相次ぎました。
コロナ禍に便乗した広告
ビタミン・ミネラル、納豆や海藻など
新型コロナが日本ではやり出した2020年1月以降、どのような成分・素材で違法な広告が見つかったのかを見てみましょう。
ビタミンではビタミンA・C・D、ミネラルでは鉄・亜鉛・セレン。一般食品では納豆、ニンニク、みそ・大豆、緑茶、海藻、大麦があります。
もちろん、ミネラル・ビタミンは特有の効能効果が確認されていますし、納豆や海藻なども健康に良いことはわかっています。しかし、新型コロナやインフルエンザを予防・改善する効果については、十分なデータがありません。
朝鮮ニンジン、水素水、乳酸菌、タンポポ茶・・・
一般的によく知られる健康食品の成分・素材でも、事実と異なる効果が宣伝され、問題となりました。朝鮮ニンジン、水素水、マヌカハニー、乳酸菌・ビフィズス菌、タンポポ茶、ラクトフェリン、エルダーベリー、カテキン、フコイダン、ミドリムシなどです。
これらのなかには、風邪や上気道感染症に対する予防効果を試験したものもありますが、十分に信頼できるデータはありません。
さらに、月桃、パパイヤの葉、柿渋、甘草、5-ALA(5-アミノレブリン酸)、ユーカリ、CBDなどでも、消費者を誤認させる広告が報告されています。
※商品や商材が問題なのではなく、あくまでも新型コロナやインフルエンザに対する宣伝に関してです。
こんな表現がある広告にご用心!
「免疫」「疾病名」が出てくる販売サイトには近づかない
では、どのような宣伝文句に注意すべきでしょうか。ここでは、誰もがすぐに「怪しい」と判断できるキーワードを紹介します。
消費者に誤認を与える広告で、もっとも多いのが「免疫」という用語です。
実際に国の指導を受けたキーワードとして、「免疫力向上(アップ)」「免疫力の活性化」「免疫強化」「腸管免疫向上」などがあります。広告に「免疫」という言葉が出てきたら、用心しましょう。
「怪しい」販売サイトを判断するための2つ目のキーワードは「疾病名」です。例えば、「インフルエンザ予防」「風邪予防」「感染症予防」といった言葉が広告に出てきたら、絶対に信用しないでください。十分な科学的根拠もなしに、ウソの宣伝によって買わせようとしているからです。
疾病名の表示は薬機法などで厳しく禁止されていますので、疾病名を広告に使う企業は、コンプライアンスが欠如していると言えます。売買契約でも消費者トラブルが起こりやすいと考えられるため、疾病名が出てくる販売サイトには近づかないことです。
「抗ウイルス」「抗菌」をうたう販売サイトにも注意を!
「新型コロナに効く」とはっきり宣伝していない場合であっても、注意が必要です。例えば、「抗ウイルス」「ウイルス撃退」「殺菌」「抗菌」などのキーワードも、取り締まりの対象となっています。広告でこれらの言葉を見かけたら用心してくださいね。
ここまで、「怪しい」と気づくためのキーワードを紹介してきましたが、広告によっては多数の写真やイラストを交えて、あたかも新型コロナに効果があるかのように印象づけるケースもあります。このため、広告全体を見て判断することも大切です。
また、SNS上の健康食品の広告も問題視されています。広告なのか、第三者の評価なのかが不明なアフィリエイト広告も多いので、SNSを活用する場合には十分に注意しましょう。
信頼できる販売サイトを選ぶポイント
健康食品は医薬品のように疾病を予防・改善できません。この点を理解して正しく利用すれば、あなたの健康をサポートしてくれる頼もしい存在です。
健康食品を上手に利用する第一歩は、安心できる販売サイトを選ぶこと。違法な広告をする販売サイトの運営事業者は、定期購入トラブルといったほかの面でも、消費者に迷惑をかける傾向があります。
一方、法令を順守した広告を心がける販売企業では、品質管理や顧客サービスなどでも“真面目”に取り組んでいる可能性が高いと考えられます。くれぐれも、販売サイトは慎重に選ぶようにしましょう。