最近よく耳にするようになった「SDGs(持続可能な開発目標)」。気候変動や生物多様性など、なんだか難しそうな話だと思っていませんか。実は、あなたにとっても身近なことなのです。スーパーで有機栽培の野菜を選んだり、食べ残しを減らしたりすることも、SDGsが掲げる目標へ近づくための第一歩。世界共通の取り組みであるSDGsについて解説します。
SDGsとは?

世界の人口は増加を続け、2021年時点で約79億人に上ります。人口の増加が続くと、当然、食料の生産も増やさなければなりません。企業活動や日常生活で使用するエネルギーの確保も必要です。その一方で、地球温暖化の防止も“待ったなし”の状況にあります。
地球環境を取り巻くさまざまな問題を考えると、現在の生活をいつまで続けられるのだろうかと不安になりますよね。そこで、2015年に国連サミットで採択されたのがSDGsです。
SDGsでは、すべての国が協力して解決しなければならない共通課題を明確化。その対象は貧困や飢餓、地球温暖化、経済成長、ジェンダー平等、健康・福祉など広い範囲に及びます。経済成長を続けながら地球環境を守り、世界中の人々が人間らしい暮しを続けて行くための環境整備を2030年までに実現することを目指しています。
17の目標と169のターゲット

SDGsは17の目標と169のターゲット(達成基準)を設定しています。17の目標については、以下の表をご覧ください。

これだけでは、何をどうすればよいのかがわかりませんね。そこで、具体的な169のターゲットを設定しています。
一例を挙げると、貧困については「2030年までに1日1.25ドル未満で生活する人々(極度の貧困)をあらゆる場所で終わらせる」。飢餓については「2030年までにあらゆる形態の栄養不良を解消し、若年女子、妊婦・授乳婦、高齢者の栄養ニーズに対処する」などです。
SDGsへの取り組み、世界と日本の現状は?
世界のSDGsへの取り組み状況を見てみましょう。
貧困は減少傾向にあったのですが、新型コロナウイルス感染拡大で2020年には新たに1億2,000万人前後が極度の貧困を強いられました。2030年の世界の貧困率は7%程度と予想され、「貧困撲滅」というSDGsの目標に届きそうにありません。
飢餓についても、コロナ禍の影響で2020年に世界で新たに1億人前後が経験したと推測されています。安全な水の確保も厳しい状況にあり、129カ国では2030年までに管理された水資源を確保できるメドが立っていません。地球温暖化の防止も危機的な状況です。
このように多くの目標で達成が困難な状況にあり、各国の取り組み強化とスピードアップが叫ばれています。
日本の取り組みも遅れています。「Sustainable Development Report 2021(持続可能な開発レポート)」によると、日本のSDGsへの取り組みは世界第18位。特に気候変動、生物多様性、ジェンダー平等などの分野が遅れていると指摘されています。
食品業界とSDGsの関係
私達が身近に感じる食品の分野でも、もちろんSDGsが関わってきます。日頃、私たちはスーパーなどで気軽に食品を購入していますが、将来も、豊富な種類・量の食品を店頭で購入できるという保証はありません。というのも、食品の安定供給には、世界人口の増加、農産物の生産に影響する気候変動、生産者が持続的に働ける環境、食品工場で使用するエネルギーの確保など、多くの問題が関わるからです。
日本の食品企業も、SDGsへの取り組みに本腰を入れようとしています。社会の一員として、地球環境保全への貢献が求められていることは言うまでもありません。それに加えて、利潤だけを追求できる時代ではなく、SDGsに真摯に取り組まなければ社会的な評価が下がり、消費者にそっぽを向かれる可能性があるからです。
仮に、スーパー店頭にA社とB社の加工食品が並んでいたとします。A社の商品は貧困に苦しむ国の生産者から搾取して製造され、地球温暖化につながる化学肥料で栽培された農産物を原料に使用。一方、B社の商品はフェアトレードによるもので、有機栽培の農産物を使用しています。あなたはどちらの商品を購入しますか?答えは明らかだと思います。
食品企業の取り組み事例

日本の食品企業によるSDGsへの取り組み事例を見ましょう。
多くの食品企業では、人々の健康を守るという目標に対し、健康志向の食品やカロリーを抑えた食品の開発を挙げています。野菜をおいしく食べられる加工食品の開発もその一つ。栄養成分をバランス良く配合した商品や、タンパク質を強化した高齢者向け商品の開発もあります。
また、工場で出る食品ロスや水使用量の削減、工場・オフィスで発生する温室効果ガスの削減について、数値目標を掲げて取り組む食品企業も増えています。
近年では食品の容器包装をプラスチック素材から、紙や植物由来バイオマスプラスチックに変更する動きも顕著です。
農産物の生産現場でも、農薬や化学肥料をできるだけ使用しない環境配慮型農業への移行が注目されています。健康への配慮に加えて、生物多様性を守ることや、化学肥料の製造時に排出される温室効果ガスを削減するという狙いもあります。このため、農林水産省が音頭を取って有機農業の推進に力を入れています。
「エシカル消費」を目指そう!

SDGsについて「国や企業の取り組みでしょう?」と思う方もいるかもしれません。しかし、私たち一人ひとりができることは少なくありません。
日本でも「エシカル消費」」という言葉を耳にするようになりました。これは「倫理的な消費」のことで、人・社会・環境に配慮した消費行動を指します。
例えば、買い物でフェアトレード商品やエコ商品、被災地産品を選ぶこともその1つ。地元で生産された農産物を食べる地産地消は、地球温暖化の防止に貢献します。有機食品を選択することは、生物多様性や自然環境の保護、温室効果ガスの削減につながります。
SDGsへの参加は、意外と身近なところにあるのですね。まずは、簡単にできることから実践してみましょう。