2015年の制度開始以降、右肩上がりで届出件数が増加している機能性表示食品。その一方で、行き過ぎた効果をうたう不適切な広告も増えています。そうした事態を重く見た消費者庁は2023年12月、異例の注意喚起を行いました。機能性表示食品の広告をめぐる問題について解説します。
届出の範囲を逸脱した表示が横行
「血圧が高めの方に」「睡眠の質を向上」など、食品・成分の効果をうたうことができる機能性表示食品は、2024年2月17日現在で届出件数が8000件を突破しています。
機能性表示食品の広告は、消費者庁へ届け出た表示の範囲内で行うことがルール。しかし、届出の範囲を逸脱した表示が溢れかえっているのが現状です。
悪質な販売会社の混在が顕著に
届け出た表示の範囲を逸脱して宣伝した場合には、景品表示法や健康増進法に違反する恐れがあります。
逸脱した表示とは、どのようなものでしょうか?最も多いのが、著しい痩身効果です。
機能性表示食品の利用による体重減少は、食事制限や軽い運動を行いながら数週間~3カ月にわたって摂取して、数百g~最大1㎏程度。それにもかかわらず、広告で「1カ月で5㎏も減少」などとうたうと、逸脱した表示とみなされます。
2023年に3件の景品表示法違反が発生
大げさな宣伝が行われると、私たちは適切な商品選択が困難になります。このため行政機関では、一般的な健康食品と同様に、機能性表示食品についても取り締まりを本格化させています。
機能性表示食品の広告が景品表示法違反に問われた最初の事例は、2017年11月に遡ります。16社・19商品が対象となりました。その後、いったん沈静化した時期もあったのですが、2023年になって立て続けに3件の行政処分が行われました。
23年6月に1件、12月に2件(それぞれ1社)。いずれも景品表示法違反として、再発防止策の構築などを求める措置命令が出されました。この背景には、機能性表示食品がハイペースで増加し続け、それに伴って不適切な表示も増えていることがあります。
「国が痩せると認めたサプリ」はデタラメ

2023年の3件の違反事例を見ると、写真やイラストを用いて見た目でわかるほどの痩身効果を印象づけたり、「3週間で60.8㎏→47.2㎏まで痩せた方法がすごい!」と表示したりしていました。当然ながら、各販売会社はそのような効果を裏づける根拠を示すことはできませんでした。
また、「国が痩せると認めたサプリ」と表示して、あたかも国の許可を得ているかのような説明も散見されました。機能性表示食品は国による審査や許可は不要で、届出のみで効果をうたうことができます。
消費者庁が異例の注意喚起

不適切な広告が横行している事態を踏まえ、制度を所管する消費者庁は2023年12月5日、一般消費者に向けて異例の注意喚起を行いました。注意喚起のポイントは以下の5点です。
(1)機能性表示食品は事業者の責任で、科学的根拠に基づき特定の保健の目的が期待できる旨を表示できる制度である。
(2)事業者が消費者庁に届け出た内容は、消費者庁のホームページで誰でも確認できる。
(3)購入や使用の際に、届出内容を確認できるので活用してほしい。
(4)「消費者庁または国が機能性表示食品の効果を認めているかのような表示」などの行き過ぎた広告は問題となる。
(5)公表されている届出内容を超えた広告を鵜呑みにしないこと。
商品選択時の注意点
機能性表示食品は効果が表示されているため、どのような目的で利用するのかがわかりやすく、消費者の支持を広げています。しかし、広告は大げさなものが多く、商品選択は慎重にならざるを得ません。適切に商品選択するには、消費者庁のホームページ(https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc01/)で公開されている届出情報を確認する必要があります。
届出情報では、安全性や機能性の確認結果などが報告されています。科学に疎い方にとっては苦痛となる記述も多いのですが、少なくとも「様式Ⅰ:届出食品の科学的根拠等に関する基本情報(一般消費者向け)」を確認することをオススメします。
特に、安全性については「医薬品との相互作用に関する評価」を確認するようにしましょう。服薬している方にとっては、機能性表示食品の摂取により、薬の効果が低減したり、増強したりするなど、深刻な悪影響を与える可能性がありますので注意が必要です。
機能性については、その良し悪しを判断することは簡単でありまん。届出の大半は、研究論文を集めて判断する「研究レビュー」によりますので、強いて言えば、評価の対象とした研究論文が数本程度しかない商品を避けるのも1つの方法です。実施された研究が乏しく、販売側が行った“都合の良い”研究のみを根拠としている可能性があるためです。
ただし、わずか数本の研究論文しかない研究レビューであっても、それぞれの研究が信頼性の高いケースもごく稀にありますので、一概にすべてがダメとは言えません。
広告は届出表示と比べて判断

広告については鵜呑みにせずに、届け出た表示内容と見比べて、オーバーな表現がないかなど、冷静に判断してくださいね。
これらの点に注意しながら、あなたにとって本当に必要かどうか、どの程度の効果が期待できるかなどについて、慎重に考えた上で利用するようにしましょう。






