夏場は厳しい暑さと疲れで食欲が落ちますが、日差しが和らぎ、秋の気配が漂い始めると、食欲も元に戻ってきます。秋になると、食欲をそそるさまざまな食材が旬を迎え、食卓を彩ります。旬の食材はほかの季節と比べて栄養成分が豊富で、健康にも役立ちます。秋に食べたい野菜やフルーツ、魚を紹介します。
秋においしいカボチャ、ニンジン、ゴボウ…
まず、秋に旬を迎える野菜を見ていきましょう。秋が旬の野菜で、日々の食卓に乗せたいのは、カボチャやニンジン、ゴボウといったところです。カボチャについては夏から収穫が盛んになりますが、追熟すると味が良くなるため、秋が旬となります。
秋の雰囲気を楽しめるユリ根、銀杏も忘れてはなりません。茶碗蒸しなどにぴったりの旬の食材です。
イモ類では、サツマイモ、ジャガイモ、サトイモなどがあります。さらに、秋と言えばキノコのシーズン。シイタケやシメジをはじめ、マイタケ、マツタケ、エノキなどが旬を迎えます。
秋のフルーツと言えばブドウ、柿、イチジク…

秋はフルーツがおいしい季節。代表的なものとして、真っ先に頭に浮かぶのはブドウや柿などですね。また、ナシやリンゴ、モモ、ザクロ、イチジクもあります。
栗も忘れてはなりません。栗は生のまま食べることがほとんどないため、野菜だと思っている方も少なくないと思われますが、栗は木に実るフルーツに分類されます。秋になると、栗ご飯を楽しむご家庭も多いことでしょう。
秋の食卓に欠かせないサンマ、戻りカツオ
秋にシーズンを迎える魚類の代表選手は、何と言ってもサンマですよね。漢字で「秋刀魚」と書くように、秋が旬で細身の銀色の姿を上手く言い表しています。かつては安価な大衆魚として、毎日楽しむことができましたが、最近では漁獲量の減少に伴う価格上昇により、そうはいかなくなってきました。
カツオ(戻りガツオ)も、秋の味覚として古くから親しまれてきました。ほかにも、秋サケ、スズキ、イナダなどがあります。
また、アユは6月~10月頃が釣りの解禁期間ですが、9月頃に獲れるアユは脂がしっかりと乗っています。
旬の食材が優れている理由とは?
「野菜もフルーツもスーパーに行けば1年中売られているので、旬でなくてもよいのでは?」と思う方もいることでしょう。しかし、思い出してください。祖父母や親から「旬のものをしっかりと食べるように」と言われたことはありませんか?
旬の食材は、そもそもほかの季節に収穫されたものと比べて、味覚に優れています。さらに、近年の研究によって、ほかの季節と比べて栄養価が高いこともわかってきました。
女子栄養大学では、カボチャやニンジン、ホウレンソウなど約40種の食材を対象に、含有成分を分析しました。その結果によると、ほとんどの野菜で時期によって栄養価に違いがあることが判明。3カ月ほど栄養価が高くなる時期があり、旬の時期と重なっていることがわかったのです。反対に、旬以外の時期には、栄養価が低くなる傾向が認められました。
特に、収穫時期によって成分含有量の違いが顕著なのが、β-カロテンやビタミンC。β-カロテンについては、トマトでは最大の月と最小の月で約2倍、ブロッコリーでは約4倍も開きがあります。ビタミンCも、ホウレンソウで約4倍も違うと報告されています。
風味も旬に収穫されたものの方が優れていますが、栄養価については大きく違うケースがありますので、やはり旬の時期にしっかりと食べることが大切と言えるでしょう。
秋が旬の食材にはどんな栄養成分が含まれているの?

次に、秋が旬の食材に含まれる栄養成分を見ていきましょう。
カボチャはβ-カロテンが豊富で、食物繊維も100gあたりに2.8g含まれています。ゴボウは食物繊維がリッチな野菜として知られ、100gあたりに水溶性食物繊維が2.3g、不溶性食物繊維が3.4gも含まれています。
サツマイモは100gあたりにビタミンC29mg、カリウム480mg、食物繊維2.2gとなっています。
ブドウは、ポリフェノール類のアントシアニンやレスベラトロールを多く含んでいます。柿にはβ-カロテンやβ-クリプトキサンチンといったカロテノイド類や、ビタミンCが豊富。また、栗にはビタミンB1、ビタミンC、カリウムなどが含まれています。
魚類は良質なたんぱく質の宝庫ですね。たんぱく質だけでなく、サンマには鉄分、ビタミンA、カルシウムが豊富に含まれています。また、戻りガツオは脂が乗っていて、健康に役立つDHAやEPAといった脂肪酸がリッチです。
旬の野菜やフルーツは財布にも優しい

ここまで見てきたとおり、旬の食材は栄養価がほかの時期よりも高く、しっかりと食べれば健康維持にも役立ちます。それに加えて、旬に時期には価格が低下する傾向があり、財布にも優しいです。
食欲の秋には、栄養価の高い旬の食材をしっかりと食べて、夏の疲れを癒し、健康維持に努めましょう。