大麻草由来成分のCBDを含む健康食品が注目されています。しかし、CBD製品の中には、体に有害なTHCという大麻成分を含む製品も散見され、これに加えて、THCの類似成分を配合した健康食品による重篤な健康被害も報告されています。大麻草由来成分をめぐる最新動向について解説します。
国民生活センターが注意喚起、THC類似成分を含むグミで健康被害

(独)国民生活センターは2023年9月6日、カンナビノイドの「THCH(テトラヒドロカンナビヘキソール)」を含むサプリメントやグミについて、健康被害が報告されたことを受けて注意喚起しました。
THCHは指定薬物となり、2023年8月4日から医療目的以外で、製造・輸入・販売・所持・使用が禁止されています。
カンナビノイドは大麻草に含まれる生理活性作用を持つ物質の総称で、100種類以上が存在し、大麻草由来のものと合成して製造されるものに大別されます。
取り締まりと違法業者の“イタチごっこ”
大麻草由来成分の代表的なものに、「THC(テトラヒドロカンナビノール)」があります。THCは大麻成分で、健康に極めて有害です。THCは幻覚作用、記憶への影響、学習能力低下などを生じさせることがわかっています。また、薬物依存も懸念される物質の1つです。
今回、国民生活センターが注意喚起したTHCHはTHCの類似成分の1つで、THCの化学構造の一部を変えたもの。指定薬物に指定されるまで、インターネット上でTHCTを含む健康食品が販売されていました。
THCの類似成分は順次、指定薬物に指定され、製造・販売が禁止されていますが、“イタチごっこ”の状況にあります。例えば、2023年3月17日に「THCP」「HHC」、同月20日には「THCO」「HHCO」が指定薬物となり、取り締まりが始まりました。しかし、これらのほかにも多数の類似物質が登場し、インターネット上で販売されているのが実態です。
CBDを含む健康食品では違法広告も
読者の皆さんの多くは、カンナビノイドもTHCHもTHCも耳にしたことがなかったかもしれません。しかし、CBD(カンナビジオール)は聞いたことがあるのではないでしょうか?
CBDも大麻草に含まれるカンナビノイドの1つですが、こちらは精神作用がないことから、健康食品への使用が可能となっています。ところが、CBD製品の中には大麻成分のTHCを含むものもあり、製品が自主回収される事例が後を絶ちません。
また、さまざまな効能効果を暗示したCBD製品の違法広告も散見されます。現在のところ、CBDに関する有効性については十分な科学的根拠が整備されていませんので、効能効果を暗示した広告は“虚偽”と認識しましょう。
40代女性は2日間にわたって意識不明に
(独)国民生活センターによると、THCの類似成分であるTHCHを含む健康食品の摂取によって、2022年8月~23年7月の期間に、体調悪化で救急搬送された複数の情報が寄せられています。
20代女性のケースでは、THCHを含むグミを食べた後に気分が悪くなり、幻視が見えると訴えたため、救急搬送されました。
さらに、40代女性の事例はかなり深刻です。女性がインターネット通販で購入したTHCH入りカプセルを飲んだところ、上半身と顔が痺れ、目の焦点が合わなくなりました。激しいめまいの後、救急搬送されたのですが、2日間にわたり意識不明が続き、集中治療室で治療を受けました。
THCの類似成分を含む製品には、サプリメント、グミ、クッキーのほか、電子タバコのリキッドなどもありますが、重篤な健康被害が発生する恐れがあります。「合法です」などと宣伝していたとしても、絶対に購入したり、使用したりしないようにしてくださいね。
大麻取締法の改正で「部位規制」から「成分規制」へ転換
健康食品に合法的に使用できる大麻草由来のCBDであっても、前述したとおり、大麻成分のTHCを含む製品が出回る事例が後を絶ちません。発覚すると、製品の自主回収が求められます。
そうした状況を踏まえ、厚生労働省は関連法規を改正する方針です。2023年10月24日に大麻取締法の改正案を閣議決定し、通常国会へ提出しました。
法改正により、大麻草を原料に用いるCBD製品を対象に、THCの残留限度値を設ける施策を盛り込みました。これは、CBDを含むサプリメントやグミなどに残留するTHCを「ゼロ」にすることが困難という理由からです。
従来、大麻取締法では、食品に使用できる大麻草の部位を「種子」と「成熟した茎」に限定し、それ以外の部位の使用は「大麻」に該当するとしてきました。これを「部位規制」と呼びます。
法改正後には、THCの残留量が基準値を下回ることが要件となります。つまり、「部位規制」から「成分規制」へ転換することになるわけです。
行き過ぎた広告を鵜呑みにしないで!

健康食品は健康維持に役立つものでなければなりません。しかし、精神作用を持つ有害物質を含む製品も流通しています。
今後、CBDを配合したサプリメントなどが流行するという見方が出ていますが、大麻成分の混入による健康被害を防ぐために、事業者側の品質管理が問われそうです。
また、CBD製品に限った話ではありませんが、健康食品を選ぶ場合には、行き過ぎた広告を鵜呑みにしないように注意することも大切です。






