河川や地下水から高濃度の「有機フッ素化合物」が検出されたというニュースを耳にすることがあります。自宅の水道水を飲んだり、料理に使用したりしても、健康に問題が生じないかと心配ですね。有機フッ素化合物とはどのような物質で、どのような規制が設けられているのでしょうか?また、水道水を飲み続けても大丈夫なのでしょうか?有機フッ素化合物をめぐる問題について見ていきましょう。
テレビや新聞で報じられる気になるニュース
ここ最近、河川や地下水から高濃度の有機フッ素化合物の「PFAS(ピーファス)」が検出されたというニュースが、テレビや新聞、インターネット上などで報じられるようになりました。
2024年3月下旬には、東京都が実施した調査により、都の21の自治体で、国の目標値を上回る有機フッ素化合物のPFASが検出されたという報道がありました。
また、環境省では38都道府県の河川・地下水を中心とした約1250カ所で調査を実施し、その結果、16都府県の約110カ所で、国の値を超える有機フッ素化合物のPFASが検出されたと報告しています。
有機フッ素化合物って何?

健康に悪影響を及ぼしそうな物質が、全国の多くの河川や地下水から高濃度で検出されたということで、不安を感じている方も少なくないと考えられます。ところで、有機フッ素化合物とは、どのような物質なのでしょうか?
有機フッ素化合物は、私たちの身の回りの商品に幅広く利用されています。例えば、テフロン加工のフライパン、ワックス類、塗料、化粧品、撥水スプレーなどがあります。非常に安定性に優れた物質なのですが、その半面、自然環境の中で分解されにくく、蓄積されやすいという特性があります。
有機フッ素化合物は炭素とフッ素が結合した化合物。そのうちの一部を総称して、PFASと呼びます。
PFASのうち、河川・地下水から高濃度で検出され、問題視されているものに、「PFOS(ピーフォス)」「PFOA(ピーフォア)」「PFHxS」などがあります。
どうして問題となっているの?
「PFOS」や「PFOA」などの有機フッ素化合物は、環境中で分解されにくいという特性があります。環境中に残留して蓄積し、長期的な毒性の疑いがあることから、問題となっています。
「PFOS」や「PFOA」については、既に製造や輸入が禁止されていて、新たに排出される可能性は低いと言えます。一方、これまでに使用されたものが排出され、土壌中に残った「PFOS」や「PFOA」が、河川や地下水へ溶け出した可能性が指摘されています。
自然環境の中で蓄積しやすいという特性が、各地の河川・地下水から高濃度で検出される要因となっているようです。
発がんやコレステロール値上昇に関連
「PFOS」「PFOA」については、動物実験で、肝臓の機能や仔動物の体重減少などに影響を与えることが確認されています。
人に対しては、発がん、コレステロール値の上昇、免疫などとの関連が報告されています。ただし、どの程度の量を摂取した場合に、身体に影響を及ぼすかという点については、はっきりとしたデータがありません。今のところ、PFOSやPFOAが主な要因と考えられる健康被害の発生は報告されていません。
水道水を飲み続けても大丈夫?
これらの有機フッ素化合物を高濃度に含む水を摂取した場合、健康に悪影響を及ぼすことが懸念されますが、どの程度の量・濃度で人体にどのような影響を与えるのかについては、今のところ確かな知見がありません。
あなたは、「水道水をこれまでどおり飲んでも大丈夫?」と心配になっているかもしれませんね。
そこで、まず現在の規制について説明します。日本では「PFOS」と「PFOA」の目標値(暫定)として、「50ng/L」の値を設けています。これは、体重50㎏の人が、1日に2リットルの水道水を生涯にわたって飲用し続けても、健康に悪影響を及ぼさないと考えられる濃度です。
「50ng/L」の値は、慎重な検討を経て設定されたもので、これを少しオーバーしたとしても、すぐに健康被害が生じるとは考えにくいのですが、国や自治体では、目標値を超えた水の飲用を控えるように呼びかけています。
また、全国の各自治体では年に数回、水道水の原水や浄水、蛇口から出る水道水を検査しています。検査項目には「PFOS」と「PFOA」などの有機フッ素化合物も含まれ、安全性をチェックしています。
このため、過度な心配は不要と考えられますが、今後の状況を注視しつつ、あなたがお住まいの地域の情報をキャッチするようにしましょう。
国内で製造される食品・ドリンク製品への影響は?

水道水の安全性に加えて気になるのは、国内で製造される加工食品やドリンク製品への影響。しかし、今のところ十分なデータはありません。今後、行政機関で検討が進むとみられています。
有機フッ素化合物をめぐる問題は、私たちが毎日利用する水道水の安全性に直結することから、不安になる方も多いと思われますが、まずはお住まいの地域の情報を収集(自治体のホームページなど参照)して、冷静に判断することが大切です。





