皆さんは、「フェアトレード」とパッケージに記載された商品を見たことはありますか?コーヒーやチョコレート、バナナにワインなど日本でも多くの商品で目にすることが増えてきました。しかし、それがどのような取引をされている商品かまではご存知でない方も多いでしょう。 フェアトレード=「良いもの」となんとなく想像はつくかもしれません。実は、フェアトレードはとても奥が深いのです。そこで今回は、フェアトレードとは何か、メリットやデメリット、フェアトレード商品の選び方などじっくりと紹介していきます。
フェアトレードとは?
フェアトレードは直訳すると「公平な取引」を意味します。簡潔に言えば、発展途上国で生産され物を適正な価格で取引することです。
従来の取引とフェアトレードの違いって何?
まずは、従来の取引とフェアトレードを比較してみましょう。
【従来の取引とフェアトレードの比較】
従来の取引 | フェアトレード | |
取引価格 | 安い価格 | 適正な価格 |
消費者 | 安く購入できる | 少し割高 |
生産者の収入 | 安定しない | 安定 |
商品品質 | 標準または低下 | 向上 |
コーヒーや紅茶、チョコレートにバナナなどは日本でも比較的安く購入することができますよね。時々、ものすごい安い値段で売り出されているのを見て品質は大丈夫なのかと不安に思うことはありませんか?
これらの多くを生産している発展途上国は、その立場の弱さから先進国より安く買いたたかれてしまうことが多いのです。すると、農薬をたくさん使うことで品質が低下したり、強制労働を強いられ生産量の生活環境が劣悪になってしまいます。
フェアトレードとは、その名のとおり「公平な取引」。適正な価格で取引されれば、生産者の生活は安定し、技術も品質も向上します。消費者は、少し割高にはなるものの、安全で美味しい物を手に入れることができるのです。
フェアトレードの必要性
先進国からフェアトレードを見てみると、お金を出して発展途上国の手助けをして、安全で良い品質のものを手にすることができると若干上から目線のようにも思えますよね。
もし、適正な価格での取引ができなければ、生産者はお金を得るために生産力を高めようとします。例えば、畑を広げるため森林を伐採したり農薬を使って無理にたくさん作ろうとするのです。大地や空気が汚されるだけでなく、環境が破壊されてしまうと、もはや世界的規模で捉えるべき問題だと言えるでしょう。
環境破壊の影響がすでに世界各国でおこっておます。巨大ハリケーンや大雨による河川の氾濫など自然の猛威に人は無力です。世界の未来を考えれば、先進国も発展途上国もフェアトレードは必要性の高い事項と考えられますね。
フェアトレードのデメリット
フェアトレードは生産者の生活の安定や品質の向上を促したり、過酷な労働に児童労働の解放などのメリットだけではありません。曖昧な基準であるため、改善しなければならない問題点もいくつかあるのです。
【フェアトレードのデメリット】
- 基準となる法律がない
- 昔ながらの技術が衰退
- やや高めな商品価格
そもそもフェアトレードが始まった当初は明確な基準がなく、各国によって規定や基準が異なっていました。それをまとめる機関として、国際フェアトレード認証ラベル機構が設立されました。しかし、法的効力や設定された基準を守れなくても罰則がありません。 蓋を開けてみれば、設定された基準以下の取引だったり、生産者に支援が届かないことも。反対に機械が導入され技術が向上するのと同時に昔ながらの方法が衰退してまうなどのデメリットも生まれます。フェアトレードには、改善すべき部分や課題がまだまだありそうです。
フェアトレード商品の選び方
フェアトレードの商品には、下記の3種類があります。
- 国際フェアトレード認証ラベル
- 世界フェアトレード機関認証ラベル
- 企業や団体独自のフェアトレードラベル
お店でフェアトレード商品を買いたいときには、上記3つのラベルが記載されたものを選べばよいもですが、必ずしもラベルが記載されているわけでもないのです。
フェアトレードには基準となる法律がありません。上記の1や2の国際的な機関もありますが、機関の認証を得たり加盟をしなくても3のように企業や団体が独自基準を設定し、その基準をクリアした取引をフェアトレード商品として販売しても問題はありません。現在の日本で多く販売されているのが、3の企業や団体独自のフェアトレード商品なのです。
国際的な機関の認証を受けていないフェアトレード商品って本当に大丈夫なの?と心配になる方も多いでしょう。実は、日本の企業や団体の中には、国際的な機関が定める基準よりもはるかに厳しい基準を設けているところもあるのです。また、フェアトレードという言葉が広がる前から現地の生産者たちと直接取引を行い、正当なまたはそれ以上の取引価格や技術向上のサポート、産地のさまざまな活動支援をプラスアルファで行っている企業や団体も存在しています。 発展途上国の生産者の生活や技術の向上、そして地球の未来を救う鍵となるフェアトレードをもっと広めていくためには、私たち消費者もフェアトレードの正しい知識や情報を得ることが大切です。
フェアトレード商品を選ぶ際には、「どんな支援や活動を行っている企業なのか」を自分で調べ、目を向けると良いでしょう。