“スーパーフルーツ”や“奇跡の果実”と呼ばれるサジー。その栄養価の高さが評価され、生鮮サジーをはじめ、サジージュースなどが注目されています。健康サポートが期待されるサジーとは、どのような果物なのでしょうか?サジーの原産地や歴史、栄養成分などについて見ていきましょう。
秋ごろに黄色やオレンジ色の実をつける
サジーは、グミ科ヒッポファエ属の落葉小高木。サジーベリーやシーバックソーン、シーベリーとも呼ばれます。日本ではサジー(沙棘)が一般的です。
サジーは3メートル前後(種類によってもっと大きく育つものもある)の高さに成長し、9月から10月にかけて、鮮やかな黄色やオレンジ色の実をつけます。1cm程度か、またはそれよりもやや小さいサイズの果実です。
果実は小粒でかわいらしい姿をしていますが、収穫は容易ではありません。というのも、果実の周りには鋭い棘がたくさんあるからです。これに加えて、産地では極寒の中での作業を伴うこともあり、サジー農家はたいへんな苦労をして収穫しています。
原産地はユーラシア大陸の広い範囲に分布し、モンゴル、中国、ロシアのほか、中央アジア、ヨーロッパなどが知られています。日本では北海道で栽培が行われていますが、今のところ、大規模な取り組みは始まっていません。
極寒の地にも、砂漠にも自生
サジーは高温な地域でも、マイナス40度といった極寒の地でも、また寒暖差の激しい地域でも自生しています。さらに、紫外線に強い土地や雨量の少ない土地、塩分の多い土地など、多くの植物にとっては悪条件の土地でも育つという生命力の強さも特長で、砂漠や高地にも自生しています。
そうした特長を生かして、砂漠の緑化などの環境面でもサジーが注目されています。世界中で砂漠化が大きな問題となっていて、今や陸地の4分の1が砂漠になっていると言われています。砂漠化を防ぐ上で砂漠の緑化が課題となっていますが、その手段として地域によってはサジーの植林が進められています。
古代ギリシャ時代からサジーを利用

サジーの歴史は古く、古代ギリシャ時代にすでに用いられていたという記録が残っています。チベットの古書にも登場するなど、世界各地で古くから利用されていたと伝えられています。また、中国やインドなどでも古い時代から、健康に良いフルーツとしてサジーの実が食されてきました。
近代になると、旧ソ連や中国が国家プロジェクトとして、サジーの研究開発に取り組んできました。旧ソ連では、宇宙開発をめぐる米国との競争が激化した1950年代から60年代にかけて、サジーの研究開発が進展。そのなかで、宇宙飛行士のための宇宙食として、サジーを使用した食品が開発されました。中国でも、1970年代からサジーの研究開発が進められてきました。
近年では食品企業による研究が始まり、動物実験やヒト試験などによって、サジーの健康への効果が確認されています。そうした研究成果を基に、サジーを原材料に使用したジュースやサプリメント、化粧品などが登場しています。
果実には200種類以上の栄養成分
サジーの実は黄色~オレンジ色で、種類によって色合いは異なります。果実にはさまざまな成分が含まれ、200種類以上に上ります。
特に、鉄分がリッチなことが特長です。日本サジー協会によると、サジージュース100gあたりに鉄分を平均で約4mg含みます。プルーンも鉄分がリッチなフルーツとして知られていますが、プルーン100%ジュースの約20倍の量を含んでいます。サジーは鉄分の含有量が最も多いフルーツと言われています。
ビタミンCもリッチです。サジージュース100gあたりに平均で約254mgも含まれています。
鉄分・ビタミンCだけでなく、各種のミネラル類やビタミン類、アミノ酸をはじめ、ポリフェノール類、有機酸(リンゴ酸やキナ酸)、食物繊維なども豊富に含みます。
このようにサジーは栄養価が高く、スーパーフードとして高い評価を得ています。また、“奇跡の果実”と呼ばれることもあります。
北海道産の冷凍サジーも入手可能

サジーは日本国内でも入手できます。インターネット通販では、中国産などの冷凍サジーが販売されています。その中には、北海道産サジーもあります。
生鮮サジーはそのままでも楽しむことができますが、酸味が強いことから、酸っぱい味が苦手な方は、ハチミツを加えて食したり、ほかの果物と一緒にミックスジュースにしたりして楽しむことがオススメ。果実酒やジャムの材料として利用することも可能です。
生鮮・ジュース・サプリメントなどが流通
世界各地で古代から愛用されてきたサジー。私たち日本人にとってはまだまだ馴染みがありませんが、その栄養価の高さに関心が集まっています。
生鮮だけでなく、ジュースやサプリメントなども販売されています。この機に、あなたの嗜好や生活スタイルに合わせて、健康維持に役立つサジーを試してみてはいかがでしょうか。